更新日: 2023.07.10 年収
大企業と中小企業の「年収差」はいくら?年収で見るならやっぱり大企業勤めが良い?
そこで大企業と中小企業とで、実際にどれくらいの年収差が生じるのか、確認していきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
単純な月収は大企業の方が多い
「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、令和4年6月分の給与の平均は、大企業(従業員数1000人以上)においては34万8300円となっているようです。中企業(従業員数100人から999人)においては30万3000円、小企業(従業員10人から99人)については28万4500円となっています。
月給だけ見ても、大企業と中小企業とではおよそ4万5000円から6万4000円程度の差がついています。
年換算すると、大企業は417万9600円です。中企業の場合は363万6000円、小企業であれば341万4000円となっています。ここから、大企業と中小企業における月給を年換算した場合の差は、およそ54万4000円から76万6000円ほどになります。
賞与を含めた年収においても大企業の方が多い
大企業と中小企業の年収差を考えるに当たって、賞与の存在を忘れてはなりません。賞与は基本給をベースに計算されることが多く、基本的に毎月の給与が高い大企業ほど、賞与の額も大きくなります。
令和4年の「毎月勤労統計調査」によれば、全労働者の夏季賞与の平均支給額は、大企業(従業員数1000人以上)では77万625円、中企業(従業員数500人から999人とします)であれば53万3425円、小企業(従業員数30人以上の規模とします)であれば42万545円となっています。夏季賞与だけでも、大企業と中小企業との間には、およそ23万7000円から35万円程度の差がついています。
そして年末賞与は、大企業では72万9125円となっています。中企業は52万8993円、小企業だとおよそ42万9038円です。年末賞与における大企業と中小企業との差は、およそ20万円から30万円になります。
これまでの調査結果を踏まえると、賞与を含めた年収は、大企業の場合はおよそ567万9000円、中企業ではおよそ469万8000円、小企業ではおよそ426万4000円となります。
最終的な年収差は、大企業と中企業との間はおよそ98万1000円、大企業と小企業との間はおよそ141万6000円にまで開くことが予想されます。やはり年収だけを見る場合、基本的には大企業で働いた方がよさそうです。
必ずしも大企業の方が中小企業よりも高年収とは限らない
確かに統計上は、大企業に勤める方が、中小企業に勤めるよりも高年収です。ある程度高い年収を得たいと考えるのであれば、大企業を選択する方が安定的でしょう。
しかし、中小企業であっても大企業並みの給与形態となっている会社も、存在しないわけではありません。また、中小企業内でも成果を出し、社内で認められ出世することで、大企業で働く場合よりも高い収入を得られることもあり得ます。
一方で、多くの人が集まる大企業は、その分出世争いが熾烈なことが多く、給与が伸び悩むという可能性もゼロではありません。さらに、人によっては大企業の環境や働き方が合わないこともあります。そういう人は中小企業で働いて出世した方が、最終的な年収が高くなることもあります。
一般的には大企業の方が中小企業よりも年収が高い!
一般的には、中小企業よりも大企業に勤めている人の方が高年収だといわれますが、統計上も大企業の方が中小企業より、年収が98万1000円から141万6000円程度高くなることが分かります。
しかし給与形態は会社によって異なるため、必ずしも中小企業で働くよりも、大企業で働く方が高い年収を得られるとは限りません。
「少しでも年収を高くしたい」と考えるのであれば、平均的な年収だけでなく、働き方や将来のことも踏まえ、就職先や転職先の企業について、長期的な目線から考えてみてください。
出典
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況 賃金の推移
e-Stat 毎月勤労統計調査 全国調査 夏季賞与(令和4年)
e-Stat 毎月勤労統計調査 全国調査 年末賞与(令和4年)
執筆者:柘植輝
行政書士