更新日: 2023.07.11 年収
ボーナス「50万円」の手取りは「39万5867円」!? 税金はどれだけひかれているの?
本記事では、ボーナスの平均額と、ボーナスから引かれる税金や社会保険料、実際の手取りの計算方法について、「ボーナス額面50万円」の場合を例に取りながら、解説します。
執筆者:齋藤彩(さいとう あや)
CFP
ボーナスの平均額は?
まずは全業種、全年齢のボーナスの平均額を見てみましょう。厚生労働省の「毎月勤労統計調査」のデータによると、1人あたりのボーナスの平均支給額は、2022年夏が38万9331円、冬が39万2975円です。
また、同調査において夏の平均基本給は27万5787円、冬は27万1851円であり、夏のボーナスは基本給の約1.41倍、冬は約1.44倍です。
なお、本データは従業員5人以上の会社で、パート勤務を含めた全従業員の平均です。正社員に限ってみると基本給の水準は比較的高くなり、夏の平均基本給は35万7039円、冬の基本給は35万3050円となっています。
単純計算でそれぞれ1.41倍、1.44倍するとボーナスは約50万3424円、約50万8392円となります(※小数点以下切り捨て。夏は2022年9月、冬は2022年2月のデータ。あくまで平均額のため、必ずしも多くの人に共通する実態を示すとは限りません)。
とはいえ、こうした金額がそのまま口座に振り込まれるわけではありません。税金や社会保険料が差し引かれ、残った金額が「手取り」として振り込まれることになります。
ボーナスにかかる税金と社会保険料
ボーナスの手取りは次の式で算出できます。
ボーナスの手取り=ボーナスの額面金額-(所得税+社会保険料)
まず、ボーナスからは所得税が差し引かれます。住民税は普段の給与からは差し引かれますがボーナスからは引かれません。社会保険料は、健康保険料(年齢によっては介護保険料)、厚生年金保険料、雇用保険料が天引きされます。
額面50万円のボーナスの手取りはいくら?
例えば、45歳、額面50万円のボーナスの場合、手取りがいくらになるのかを計算してみます。
※次の条件下で計算します。
・勤務先:東京都
・事業内容:一般事業
・ボーナス支給前月の手取り:28万円
・扶養家族:なし
・社会保険:全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入
額面50万円なので、標準報酬月額50万円、2023年6月現在の保険料率を基に計算します。
健康保険料、介護保険料
45歳なので、健康保険料だけでなく介護保険料も控除されます。健康保険料率は10.00%、介護保険料率は1.82%で合計して11.82%です。しかし、労使折半で会社が半分を負担するため、保険料率に1/2を乗じて計算します。
健康保険料、介護保険料=50万円×11.82%×1/2=2万9550円
厚生年金保険料
厚生年金保険料も労使折半であるため、保険料率に1/2を乗じて計算します。
厚生年金保険料=50万円×18.3%×1/2=4万5750円
雇用保険料
2023年6月現在の雇用保険料率は0.6%なので、雇用保険料は次のように算出されます。
雇用保険料=50万円×0.6%=3000円
控除される社会保険料を合計すると、2万9550円+4万5750円+3000円=7万8300円となります。
控除される所得税
所得税は、ボーナスの額面金額から社会保険料を差し引いた金額に、源泉徴収税率を乗じて算出します。
所得税=(ボーナスの額面金額-社会保険料)×源泉徴収税率
前月の社会保険料を控除した金額が28万円、扶養家族が0人であるため、源泉徴収税率は6.126%です。
所得税=(50万円-7万8700円)×6.126%=2万5833円
ボーナスの手取り
ボーナスから差し引かれる社会保険料は7万8300円、所得税は2万5833円です。
したがって、手取りは50万円-(7万8300円+2万5833円)=39万5867円となります(※状況によって実際の手取りは異なる場合があります)。
まとめ
本記事では、ボーナスの平均額とボーナスから差し引かれる所得税・社会保険料、額面50万円の場合の手取りの計算方法について解説しました。
ボーナスを生活費や住宅ローンの返済にあてる場合があるかもしれませんが、同じ額面でも年齢や扶養家族の有無によって手取りが異なる可能性があるので、注意が必要です。
額面と手取りの金額の違いをしっかり理解し、必要なタイミングで「足りなかった」というような誤算がないようにしましょう。
出典
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和4年9月分結果速報等
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和5年2月分結果速報等
全国健康保険協会 令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
厚生労働省 令和5年度雇用保険料率のご案内
国税庁 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和5年分)
執筆者:齋藤彩
AFP