更新日: 2023.07.15 年収
お盆の帰省で有休を申請したら、「会社が困るから」と拒否された! これって違法? 有休は取得できないの?
本記事では、お盆で帰省するために有給休暇を利用したいと上司に伝えたら拒否された場合、どうすればいいのか、また違法ではないのか、解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年次有給休暇の取得や理由は原則自由
一般的に「有休」と呼ばれることも多い年次有給休暇は、法律によって付与日数や要件、取得時季に関する内容が定められています。労働基準法39条の規定により、一定の要件を満たすすべての労働者は年次有給休暇を取得する権利を与えられています。
働き始めてから半年経過していない場合は基本的に有給休暇を取得できませんが、通常の週5日働くようなフルタイム勤務の場合、勤続半年以上かつ全労働日の80%以上で実際に働いていると10日分、年間で最大20日まで有給休暇を取得する権利が付与されます。
有給取得日は労働者が指定し、使用者である会社側は原則労働者が指定して請求した日に付与しなければならないとされています。つまり、自分自身が有給休暇を取得したい日を自由に選択し、会社に申請することで休める仕組みになっています。取得理由も明らかにする必要はなく、もし理由を提示するように求められても「私用のため」で問題ありません。
お盆は繁忙期だから休めないと言われたら?
お盆に帰省するために有休を使いたいと伝えても「その時期は会社の繁忙期だから休まれては困る! 有休を使うのは無理だよ」などと拒否される場合もあります。これは違法となるのでしょうか。取得は原則自由ですが、場合によっては労働者側から有給休暇取得申請を行っても希望するタイミングで使えないこともあります。
労働基準法39条5項で「使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」と定められていて、時季変更権が会社側に認められています。
つまり、従業員に休まれると会社経営が傾きかねないようなタイミングでは取得を控えてもらい、その代わり、別で取得してもらうことができます。事業内容的に繁忙期にあたるときではなく、同じ日に従業員の多くが休暇申請した場合も含まれます。
ただし、単に仕事が忙しいから、繁忙期だからといった理由で時季変更権を行使できません。
「事業の正常な運営を妨げる場合」とは具体的にどのような場合が当てはまるのでしょうか。決まった正解があるわけではありませんが、下記のような事情があると認められる可能性が高いかもしれません。
●従業員の大部分に休まれると業務遂行が困難となる
●少数の有給休暇取得や体調不良等による欠勤の可能性を考慮して、代替人員の確保や準備等の必要な措置を講じても対策が困難である
もし、毎年お盆シーズンが多忙になることがあらかじめはっきり分かっている場合は、一時的に人員を増やすなどの対策も必要になると思われます。そのような対策を全く行わず、単に「お盆は忙しいから有休をとるな!」というのは無理があると言えるでしょう。
どうしてもお盆に夏季休暇をとりたい場合は?
冠婚葬祭や子どもの参観日などを理由に、どうしてもそのタイミングで休暇を取得しなければいけない事情もあるかもしれません。その場合、本来有給休暇の取得理由を明らかにする義務はありませんが、ケース・バイ・ケースで上司に相談するのも1つの方法です。やむを得ない事情だと分かると柔軟に対応してくれる可能性もあるためです。
有給休暇の取得を拒否された場合は、具体的な理由を確認しましょう。その上で、将来的なトラブル防止のためにも、いつであれば問題なく取得できるのかも明確にしておくことをおすすめします。
まとめ
今回は、お盆に帰省するために有休を使いたいと上司に伝えたら拒否された場合、違法になるのかどうか、解説しました。
今は問題が起きていない場合でも、年次有給休暇の取得をめぐるトラブルを防止するために、会社にとって「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合」が存在するのか、確認しておくことをおすすめします。
出典
e-Gov法令検索 労働基準法
厚生労働省 年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー