更新日: 2023.08.03 年収

子どもには年収「600万円以上」を稼がせたい。大学進学は必須?

子どもには年収「600万円以上」を稼がせたい。大学進学は必須?
「子どもには平均よりも高い、年収600万円以上を稼がせたい」と思う親から、そのために大学進学は必須であるのか、と以前相談がありました。果たして、年収600万円を稼ぐために、大学進学は必須なのでしょうか。学歴と年収について考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

年収600万円は一般的に高収入な年収水準である

年収600万円という収入額は、一般的には高収入な部類に入ります。「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、全ての学歴を合計した際の年収(企業規模10人以上の企業において、きまって支給する現金給与額を12倍し、そこに年間賞与その他特別給与額を加算したもの)は496万5700円になります。一般的な収入額と比較して、年収600万円がいかに高水準であるかがよく分かります。
 

年収600万円を狙うなら大学卒の方が有利!

続いて、学歴を高校卒に絞ると、平均年収は434万5500円となっています。年収が最も高い55歳から59歳のときであっても、平均年収は499万1100円であり、年収600万円にはなかなか届きません。
 
一方で、大学卒に絞ってみると、平均年収は587万1900円であり、600万円という年収もかなり現実的な水準になっています。ピーク時の55歳から59歳の間の年収は794万6100円となっており、年収600万円を大きく超え、800万円も見えてきます。なお、40歳から44歳の間の平均年収は639万4700円と、大学卒の場合は40代でも年収600万円を超えてきます。
 
この点を鑑みると、子どもに確実に年収600万円を稼いでほしいと思うのであれば、大学進学をさせた方が、その確率はより高くなりそうです。
 

年収600万円を稼ぐために、高学歴であることは必須ではない

とはいえ、年収600万円を稼ぐためには、大学卒業という学歴要件は必須ではありません。平均年収を見ると、業種によっては高校卒であっても年収600万円を超えているようです。
 
例えば、「電気・ガス・熱供給・水道業」では、30歳から34歳の間で年収587万600円となっており、年収600万円も見えてきます。その後35歳から39歳になるころには、659万7600円となっており、高校卒でも年収600万円を達成できます。
 
ここから考えるに、学歴は年収600万円を達成するために重要な要素のひとつではあるものの、必須となる要素でもないといえます。業種や職業次第では、高校卒でも年収600万円は達成できそうです。
 

大学進学にかかる費用は?

子どもの大学進学について検討しているのであれば、大学の学費の存在についても考えておかなければなりません。日本政策金融公庫の令和3年度「教育費負担の実態調査結果」によれば、大学の入学費用は国公立大学でも67万2000円、私立理系大学ともなると88万8000円となるようです(入学していない大学への納付金も含む)。
 
在学費用は、家庭教育費も含め、国公立大学でも年間103万5000円と大きな金額がかかります。私立理系大学なら、183万2000円とかなりの金額になります。4年間の総額(それぞれの場合において、在学費用を4倍し、そこに入学費用を加算したもの)は国立大学で481万2000円、私立理系大学なら821万6000円となります。
 
貯金などで対応できればよいですが、そうでない場合は銀行などの教育ローンを利用することになります。または、子どもが奨学金を利用していくことになるでしょう。
 
いずれにせよ、大学に進学するには大きな額の学費が必要です。大学進学に当たっては、最低でも4年間で480万円程度の学費が準備できるよう、早めに準備しておきたいところです。
 

年収600万円以上稼ぐために、大学進学は必須ではない

あくまでも統計上のデータですが、学歴は高校卒の場合に比べて大学卒の方が、平均年収は高い傾向にあります。子どもが年収600万円以上稼げるようになる確率を少しでも上げたいのであれば、大学進学をさせた方がよいでしょう。
 
しかし、大学進学したからといって、必ずしも年収600万円以上を稼げるわけではありません。世の中には大学に進学せずとも600万円以上稼いでいる方もいます。大学進学は、子どもの人生に大きな影響を与えるイベントです。年収だけにとらわれず、最終的には本人の希望もくみ取りつつ決定していくべきでしょう。
 

出典

日本政策金融公庫 令和3年度「教育費負担の実態調査結果」
e-Stat 令和4年賃金構造基本統計調査
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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