更新日: 2023.08.03 年収

日本の平均年収は本当に443万円?年収「500万円以下」の人口は何割?

日本の平均年収は本当に443万円?年収「500万円以下」の人口は何割?
日本の平均年収がどれくらいなのか、また、ボリュームゾーンはどれくらいの年収なのか気になったことはないでしょうか。人の前で年収の話を切り出すのは気まずいけれど、周りの年収が気になる人もいるでしょう。そこで、日本の平均年収について確認してみました。

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柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

国税庁によれば日本の平均年収は、一応は443万円といえる

国税庁の「令和3年分民間給与実態統計調査」によれば、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均年収は443万円となるようです。ここから、日本の平均年収は一応443万円といえそうです。
 
ただし、この数値には正社員(正職員も含む)とそうでない雇用形態の両方が含まれています。正社員とそれ以外とに分けてみると、正社員の平均年収は先よりも高い508万円となります。一方で、正社員以外となると198万円と、大きく差が付きます。
 
さらに正社員について男女別に分けてみると、正社員の男性は平均570万円、正社員の女性は389万円となります。正社員以外について見ていくと男性が267万円、女性は162万円となります。一口に平均といっても、そのサンプリング次第で数値は大きく変わります。
 
「自分は正社員で、年収は500万円あるから平均より高い」と考えていると、実は正社員全体の平均年収よりも若干低かった、ということも起こり得るのです。そう考えると、あまり平均年収という概念に振り回されることにも、大して意味がないのかもしれません。
 

年収500万円以下の人口はどれくらい?

1年を通じて勤務した方5269万9000人について給与階級別分布を見ていくと、年収500万円以下の方は男女合わせて68.6%となっています。ここから、日本の大多数の方が、年収500万円以下であることが分かります。数にすると3610万7000人と、非常に多いようです。
 
なお、最も多い年収帯は300万円超400万円以下で、全体の17.4%となっています。人口にすると、914万5000人です。
 
男女別にみると、集計対象となる3060万8000人のうち年収500万円以下の男性の割合は55.1%であり、男性においても大多数の方が年収500万円以下となっているようです。人口にすると、1687万5000人となります。最も多い年収帯は400万円超500万円以下で全体の17.5%に当たり、人口としては537万人です。
 
女性の場合、集計対象の2209万1000人のうち、年収500万円以下の女性の割合は87.1%であり、人数にすると1923万2000人となっています。最も多い年収帯は100万円超200万円以下で、全体の22.5%、人口に換算すると497万1000人です。
 
特に女性は結婚後にパートやアルバイトで時短勤務をして、扶養内で働く方が多いことから、年収100万円超200万円以下の方も多くなっていると思われます。男女で平均年収に差が付いているのも、ここにひとつの大きな理由があるでしょう。
 

別の統計を見ると平均年収が違うこともある

平均年収という概念はあくまでも統計上の数値です。サンプリング方法が変われば平均年収も変わります。
 
例えば、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」において、企業規模10人以上の会社に勤める男女の平均年収は496万5700円となり、先の443万円よりも高くなります(きまって支給する現金給与額を12倍し、年間賞与その他特別給与額を加えた金額)。
 
とはいえ、この結果も年収400万円から500万円の間に収まっています。年収500万円以下の人口や、年収300万円超400万円以下の人口を考えると、やはり日本の平均年収は400万円から500万円の間にあると考えてよいでしょう。
 

平均年収という概念にはとらわれすぎないように注意

日本の平均年収は443万円といわれることもありますが、その金額は統計によって多少違いが出ます。ただ、おおむね400万円から500万円の間にあると考えてもよいでしょう。
 
とはいえ、性別などサンプリング方法によっても平均年収は大きく変わります。「平均年収はあくまでも平均」と参考程度にとどめておきましょう。その上で、自分の年収をどう上げていくか、自分の理想とするライフプランを実現するために年収についてどう考えていくかなど、自身のキャリアやライフプランに向き合うためのひとつの材料としておくことをおすすめします。
 

出典

国税庁 令和3年分民間給与実態統計調査
e-Stat 令和4年賃金構造基本統計調査
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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