更新日: 2023.08.07 年収
【年収と年金】年収で100万円違うと将来の年金額にはどのくらいの差が出る?
そこで本記事では、年収と年金額の関係性を解説するとともに、年収が100万円違うと年金額は具体的にいくらくらい差が出るのかのシミュレーション結果を紹介します。自身の年収を当てはめて、上下の年収と年金額を比較してみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年収と年金額の関係
公的老齢年金には老齢基礎年金と老齢厚生年金があります。
このうち老齢基礎年金の金額を決めるのは、国民年金保険料を納めた月数です。20歳から40歳までの480月分の国民年金保険料をすべて納めると、年収にかかわらず満額の老齢基礎年金を受給できます。つまり、自営業者やフリーランスなど老齢基礎年金のみを受け取る人の年金額には、年収の差は全く反映されないということです。
一方、厚生年金保険の加入者が受け取れる老齢厚生年金(報酬比例部分)の金額は、原則として現役時代の月給やボーナスの額と比例関係にあります。実際の計算には、月給やボーナスの額から算定した「標準報酬月額」と「標準賞与額」という数字を用います。
■標準報酬月額
税引き前の給与(各種手当、年4回以上支給される賞与を含む)を、一定の金額幅で区切った報酬月額の区分(1等級:8万8000円~32等級:65万円に)に当てはめた金額です。
■標準賞与額
税引き前の賞与(年3回以下の支給回数のもの)の金額から1000円未満を切り捨てた額です。支給1回ごとに150万円が上限で、同月に2回以上支給されたときは合算して扱われます。
標準報酬月額と標準賞与額から算出した計算の基礎となる報酬額に、給付乗率と厚生年金保険の加入月数を掛けて支給額が算定されます。
年収が100万円違う場合の老齢厚生年金の差をシミュレーション
年収が100万円増減すると、老齢厚生年金額はどのくらい増減するのでしょうか。以下の条件で、年収200~900万円の人が受け取るおおよその老齢厚生年金額(年額)を、それぞれ図表1にまとめました。
・1980年生まれの会社員
・22歳から64歳まで勤務
・年収には賞与を含む
・期間中の年収の変動なし
・65歳から年金受給開始
【図表1】
年収 | 老齢厚生年金額 |
---|---|
200万円 | 129万円 |
300万円 | 153万円 |
400万円 | 172万円 |
500万円 | 197万円 |
600万円 | 221万円 |
700万円 | 240万円 |
800万円 | 259万円 |
900万円 | 286万円 |
厚生労働省「公的年金シミュレーター」を用いた試算
年収が100万円増減すると、老齢厚生年金額はおよそ19~27万円増減しています。決して小さい金額差ではありませんが、現役時代の年収の差に比べると、老齢厚生年金額の開きは格段に小さいことが見て取れるでしょう(ただし、数字はあくまでも試算であり、実際の年金額とは異なる可能性があります)。
報酬月額が63.5万円を超える場合は頭打ち
老齢厚生年金の支給額は現役時代の給与額などをもとに決まりますが、年収が上がれば際限なく増えるのではありません。報酬月額が63万5000円(年収762万円相当)を超えると標準報酬月額は最高等級の65万円で一定となるため、ボーナスの支給がない場合はそこで頭打ちとなります。
また、ボーナスの支給がある場合も、標準賞与額は150万円×年3回が上限と定められています。つまり、在職期間中の年収が一定の場合、年収が762万円に年間の標準賞与額450万円を足した1212万円になると老齢厚生年金額は理論上の最高額となり、それ以上は年収がいくら増えても老齢厚生年金額は増えない仕組みです。
年収が100万円違うと年金額は20万円前後変わる
公的な老齢年金のうち、老齢基礎年金の金額は年収に左右されません。一方、現役時に会社員だった人などが受給する老齢厚生年金の金額は収入額をもとに決まり、年収が100万円違うと年間の支給額が20万円以上変わることもあります。
ただし、老齢厚生年金の計算の仕組み上、一定の年収を超えるとそれ以上は支給額が上がらなくなることに注意しましょう。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
日本年金機構 保険料額表(令和2年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険)
厚生労働省 公的年金シミュレーター
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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