更新日: 2023.08.10 年収

年収が高いと損をすることも!? 「コスパの良い年収」ってどういうこと?

年収が高いと損をすることも!? 「コスパの良い年収」ってどういうこと?
年収の計画を立てる際に、「コスパの良い年収」という視点は重要であるといわれています。しかし、具体的にはどういう意味なのでしょうか?
 
本記事では、効果的な年収設定のメリットや利用できる制度、コスパの良い年収を狙うことのメリットやデメリットについて詳しく解説します。

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コスパの良い年収とは

コスパの良い年収として、「年収に応じた税率のバランスから考えたパターン」と「児童手当がもらえる年収を考えたパターン」の主な2つのパターンについて紹介します。
 
例えば、年収900万円と700万円を比較した場合、手元に残る資金の割合が多いのはどっち? というイメージです。具体的には所得税率を加味した場合、年収900万円より700万円のほうがコスパは良いのでは? という見方になります。
 

税金のバランスから考えるコスパの良い年収とは

図表1は所得税率の表ですが、ここからは計算を交えてご紹介します。年収の700万円、900万円を計算してみると税率が変わるため、コスパの良い年収を狙うという考えからいくと、899万円までに抑えたほうが良いと考えられます。
 
【図表1】

課税される所得金額 税率 控除額
1000円 から 194万9000円まで 5% 0円
195万円 から 329万9000円まで 10% 9万7500円
330万円 から 694万9000円まで 20% 42万7500円
695万円 から 899万9000円まで 23% 63万6000円
900万円 から 1799万9000円まで 33% 153万6000円
1800万円 から 3999万9000円まで 40% 279万6000円
4000万円 以上 45% 479万6000円

出典:国税庁 No.2260 所得税の税率
 

例)

・700万円 × 0.23(税率)- 63万6000円 = 97万4000円
・900万円 × 0.33(税率)- 153万6000円 = 143万4000円

700万円の年収に占める税金の割合は97万4000円(13.91%)に対して、年収900万円の年収に占める税金の割合は143万4000円(15.93%)です。約2%も変わってくるため、年収は900万円未満に抑えるほうがコスパは良いという一つの見方ができます。
 

児童手当から考えるコスパの良い年収とは

児童手当についても所得制限があるので、実例を交えて解説します。図表2が、所得制限の表となります。
 
児童手当は、12歳到達後の最初の3月31日までの間にある児童(小学校修了前の児童)を養育している方に支給されます。ただし、前年(1~5月までの月分の手当については前々年)の所得が一定額以上の場合には、児童手当は支給されません。
 
【図表2】 単位:万円

扶養親族等の数 自営業者
(国民年金加入者)
サラリーマン
(厚生年金等加入者)
0人 460 532
1人 498 570
2人 536 608
3人 574 646
4人 612 684
5人 650 722

出典:厚生労働省 児童手当制度の概要
 

例)

・子どもが2名の場合だと、自営業者は年収を536万円以下、会社員だと608万円以下に抑えると児童手当が取得できるのでコスパが良いと考えられます。
 
・子どもが3名の場合だと、自営業者は年収を574万円以下、会社員だと646万円以下に抑えると児童手当が取得できるので、コスパが良いと考えられます。

あくまでも、児童手当と年収のコスパの良さを考える際には、年収基準を超えるか超えないかの線引きとして参考にするとよいでしょう。
 

コスパの良い年収を狙うメリット・デメリット

本項では、コスパの良い年収を狙うことのメリットとデメリットをご紹介します。税金や利用できる制度、さらには将来必要になる資金などを交えて解説します。
 

コスパの良い年収を狙うメリット

コスパの良い年収を狙う主なメリットとして、以下の3点があります。
 

【税金の節約】

特定の年収範囲では税率が変動するため、その範囲内で収入をコントロールすることで、支払う所得税の額を最適化できる可能性があります。例えば、少し収入を抑えることで、所得税率が下がり、結果的に税金の負担が軽減されます。
 

【利用できる制度の増加】

一部の支援制度や補助金は、年収が一定の額以下である場合に限られています。コスパの良い年収を狙うことで、これらの制度を利用できるようになることがあります。例として、前述でご紹介した児童手当などがあります。
 

【資金の再配分】

年収を一定のレベルに抑えることで節約される税金や受け取れる補助金などは、他の投資や貯蓄、教育などの人生の目標に再配分することができます。これにより、長期的な資産形成や人生設計が有利になることがあります。
 

コスパの良い年収を狙うデメリット

コスパの良い年収を狙うことには、一見魅力的な側面があるものの、いくつかのデメリットも存在します。以下で、主な2つのデメリットを紹介します。
 

【将来的な不確実性への対応が困難となる】

昨今の電気代高騰や物価高など、経済状況の変動によって生活費が増加する可能性があります。年収を一定のレベルに抑える戦略は、そうした変動に対するリスクを高める可能性があります。
 

【生活水準の向上が見込みにくい】

年収をコントロールすることで、税金や支援制度の最適化は図れるかもしれません。しかしその一方で、より豊かな生活や将来の目標への投資が制約される可能性があります。
 

まとめ

「コスパの良い年収」は、税金や支援制度のメリットを享受する一方で、将来の不確実性や生活水準の向上という観点からは慎重に検討する必要があります。
 
コスパが良いからといってもそれに執着せず、個人の生活目標や将来の計画に応じた年収設定をしていきましょう。
 

出典

国税庁 No.2260 所得税の税率
厚生労働省 児童手当制度の概要
 
※2023/8/10 記事を一部修正いたしました。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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