「富裕層」「高所得者」「お金持ち」は、同じようで実は違う!自分はどの層に当てはまる?
配信日: 2023.08.26 更新日: 2023.08.28
いずれも「経済的に余裕のある人」「お金を多く持っている人」といったイメージがあるのではないでしょうか。しかしこれらは、厳密にいえば、それぞれ異なる対象を指しています。
そのうち「富裕層」は、2013年以降、増加の一途をたどる世帯です。今回は、富裕層・高所得者・お金持ちの違いや、富裕層の特徴について、ご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
富裕層・高所得者・お金持ちは何が違う?
「富裕層」については、金融ITソリューションを提供する「株式会社野村総合研究所」が定義しており、保有資産から負債額を差し引いた「純金融資産」の合計額が、1億円以上5億円未満の人が該当します。
一方「高所得者」は、収入や所得が850万円以上の人を指し、資産の合計額は関係しません。
また「お金持ち」には明確な定義は存在しませんが、一般的に、自身から見て、理想とする収入・資産を獲得している人といえるでしょう。それぞれ、資産・収入のどちらに注目するか、またはその額がいくらかといった点で、区分されています。
富裕層について定義した「株式会社野村総合研究所」では、各世帯の所有する金融資産額について、定期的に推計をしています。最新の結果(2021年)では、富裕層は139万5000世帯あることが分かりました。
2013年以降の各層における世帯数(全体に占める割合)の推移は、表1のとおりです。
表1
2013年 | 2015年 | 2017年 | 2019年 | 2021年 | |
---|---|---|---|---|---|
超富裕層 | 5.4万世帯 (0.1%) |
7.3万世帯 (0.14%) |
8.4万世帯 (0.16%) |
8.7万世帯 (0.16%) |
9万世帯 (0.17%) |
富裕層 | 95.3万世帯 (1.82%) |
114.4万世帯 (2.16%) |
118.3万世帯 (2.2%) |
124万世帯 (2.3%) |
139.5万世帯 (2.58%) |
準富裕層 | 315.2万世帯 (6%) |
314.9万世帯 (5.95%) |
322.2万世帯 (6%) |
341.8万世帯 (6.33%) |
325.4万世帯 (6.01%) |
アッパーマス層 | 651.7万世帯 (12.41%) |
680.8万世帯 (12.87%) |
720.3万世帯 (13.41%) |
712.1万世帯 (13.18%) |
726.3万世帯 (13.42%) |
マス層 | 4182.7万世帯 (79.67%) |
4173万世帯 (78.88%) |
4203.1万世帯 (78.24%) |
4215.7万世帯 (78.04%) |
4213.2万世帯 (77.83%) |
※(全体に占める割合)は、小数点第3位以下四捨五入
※株式会社野村総合研究所の推計結果を基に筆者作成
調査が始まった2013年以降、富裕層・超富裕層(純金融資産5億円以上の世帯)はともに最多数を記録し続けています。一方で、保有金融資産額が3000万円未満の「マス層」は、減少傾向にあることが分かりました。
富裕層の特徴とは
日本に住む富裕層の特徴として、事業オーナーが多いことが挙げられます。金融資産1〜5億円を持つ人のうち、およそ3人に1人が事業オーナーです。富裕層を目指す場合は、年収の高い企業へ就職するほかに、起業も、選択肢に入ってくるでしょう。
また、将来の「富裕層候補」ともいえる起業家については、金融機関や税理士・弁護士などの外部の専門家に相談したうえで、計画的に進める人が多いことも、大きな特徴のひとつです。
くわえて、家族からの理解を十分に得られており、反対されておらず、仕事やキャリアについての話をよくするといった環境があることも、成功への大きな要素となっています。起業や事業の内容についての具体的なプランがあり、専門家も交えて計画的に準備した人が、経済的に成功する傾向にあるといえるでしょう。
増加する富裕層、キーワードは「起業」
近年では「家計が苦しい」という声も多くなりましたが、実は、富裕層は増加しており、マス層は減少傾向にあることが分かりました。
また、富裕層のおよそ3人に1人が事業オーナーであるという点から、経済的に成功するためのキーワードとして、「起業」があるといえます。経済的な成功を目指す人は、企業に勤める以外の選択肢として、一度、起業も検討してみるとよいかもしれません。
出典
株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー