更新日: 2023.09.04 年収

「就職氷河期世代」と売り手市場の「Z世代」、当時と今で平均年収はいくら違う?

執筆者 : 柘植輝

「就職氷河期世代」と売り手市場の「Z世代」、当時と今で平均年収はいくら違う?
就職に苦労した「就職氷河期世代」と比較して「Z世代」は売り手市場だといわれます。就職の難易度に差のある両者において、平均年収という面で見ると、どのように違いが出るでしょうか。
 
就職氷河期世代(おおよそ1990年代から2000年代に就職活動をした世代)とZ世代(1990年代中盤から2010年代に生まれた世代)がそれぞれ社会に出て働きはじめた当時の収入や就職状況について、まとめてみました。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

就職氷河期と売り手市場、就職難易度の差は?

就職氷河期世代の時代とZ世代の時代とでは、就職難易度にかなりの差があるようです。正社員として就職することの難易度を図る方法にはさまざまなものがありますが、ひとつ有名なものに「有効求人倍率」があります。
 
有効求人倍率とは、求職者1人当たりにどれだけの求人があるかを示す指標です。1を上回れば、1人に1件以上の求人がある、いわゆる「売り手市場」になって、求職者に有利な状況になります。逆に1を切れば、1件の求人を2名以上で取り合う、いわば「買い手市場」になり、就職の難易度は高くなります。
 
「就職氷河期」に当たる2000年におけるパート職を除いた有効求人倍率は、年度平均でわずか0.49です。1を大きく下回っており、かなりの買い手市場です。数字だけで見れば、2人の求職者に対して1人分も求人がない状態です。その一方で、2021年の有効求人倍率は年度平均で1.16と、1を上回っています。1人に1件以上の求人がある状態となり、求職者に有利な売り手市場です。
 
このように、就職氷河期世代とZ世代とでは、売り手市場といわれるだけあってZ世代の時代の方が就職は有利になるようです。
 

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若者の平均年収はZ世代の方が高い

国税庁の「民間給与実態統計調査」によれば、1年を通じて勤務した者の1人当たりの平均給与は、就職氷河期世代が社会に出て働きはじめたであろう平成12年(2000年)においては461万円となっています。それに対して、Z世代が働いている令和3年(2021年)においては、443万円となっています。
 
両者の差は18万円前後であり、驚くほど大きな差があるわけではありませんが、意外にも就職氷河期世代の時代の方が、給与所得者全体で見た平均年収は高くなっています。
 
しかし、2000年と2021年とで、25歳から29歳の若者の給与で比較してみると、結果は異なってきます。Z世代の時代において、25歳から29歳の平均給与は371万円となっているのに対し、就職氷河期世代の場合は25歳から29歳においては平均358万円となっており、Z世代の時代の方が13万円ほど若者の給与水準が高くなっているようです(いずれも男女計の数値で比較)。
 

就職氷河期世代の抱える問題と政府の対策

2022年現在における就職氷河期世代(39歳から48歳)の人口は1705万人ほどです。そのうち、非正規雇用労働者と完全失業者を合わせた数は411万人で、実に全体の24%ほどが正社員として働けていない状態です。不安定な働き方である非正規雇用労働者は、低賃金で昇給も望めず退職金も期待できない、というケースも少なくないといわれています。
 
「民間給与実態統計調査」によれば、2021年時点における40歳から44歳の平均年収は480万円、45歳から49歳の平均年収は504万円になります。ですが、先の非正規雇用労働者の数を踏まえると、実際にはそれ以下の収入で生きるのが日々精いっぱいの非正規雇用の方と、それ以上の年収で将来に備えることのできる正規雇用の方とで、同世代間でも格差が開いているはずです。
 
それゆえ、将来的には、非正規雇用労働者をしている就職氷河期世代の多くが親の介護や自身の老後の問題に直面するものの、それらを解決できずに公的支援を頼るようになり、社会全体における負担の増加が予想されています。
 
それを防ぐため政府は就職氷河期世代に対し、彼らが急ぎ安定した職に就くため・社会復帰をするためのさまざまな支援を行っています。そういった背景もあり、2019年と比較して2022年には、正規雇用となった就職氷河期世代の数は8万人増加しています。
 

まとめ

就職氷河期世代と「売り手市場」のZ世代とで、それぞれが働きはじめたであろう頃の年間平均給与は、当時の給与所得者全体で見ると就職氷河期世代の方が高いものの、25歳から29歳の年代の給与に絞ると、売り手市場というだけあってZ世代の方が高くなっています。
 
就職氷河期世代として社会に出た方の中には、時代の問題で仕方なく非正規労働者として働き出し、今も正社員として働けていない状態が続いている方がまだまだ多いです。今後も国が、少しでも多くの就職氷河期世代を救えるよう継続的な支援をしていく必要がありそうです。
 

出典

国税庁 令和3年分民間給与実態統計調査
国税庁 平成12年分民間給与実態統計調査 1 平均給与
厚生労働省 e-Stat 一般職業紹介状況
内閣府 就職氷河期世代の就業等の動向
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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