更新日: 2023.10.02 年収

管理職に昇進すると「残業代」が出なくなる!? 支払い対象になる場合についても解説

管理職に昇進すると「残業代」が出なくなる!? 支払い対象になる場合についても解説
日々頑張って働いてきて、管理職に昇進することはうれしいことでしょう。しかし、世間では「管理職になると残業代が出なくなる」とも言われていることもあり、不安に思う人がいるかもしれません。本記事では、残業代が出なくなる「管理職」とはどんな役職なのか、割増賃金が支払われるケースなどを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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「管理職」とはどんな役職を意味している?

管理職とは、職場(会社)での部・課などの部署のリーダー、またはプロジェクトなどをまとめる役割を担ったトップである人を指しています。一般的には部長・課長・マネージャー・店長などの肩書きを持った人が管理職とされています。
 
管理職に与えられる権限もさまざまで、人員管理や売上と予算管理に関する権限があり、部下たちへの教育や業務管理、労働時間を管理する役割などを担っていることもあります。管理職が、労働基準法で定められている「管理監督者」にあたるかどうかで、残業代などが支払われるのか支払われないのかが違ってきます。
 
管理監督者とは「労働条件の決定その他労務管理について、経営者と一体的な立場にある者」と労働基準法で定義されています。管理監督者に該当するのかは、肩書きでなく勤務実態が次のような条件に当てはまる人なのかどうかで判断されます。
 

<管理監督者となる主な条件>

●労働時間などに関する規制の枠を超えて働かざるを得ない、重要な職務内容であること
●自分の裁量で業務を行う重要な権限と責任を持っていること
●賃金やボーナスなどについて、その役職にふさわしい待遇であること

 

管理職になったら残業代のかわりに手当がつくの?

管理職になった場合に「役付手当(管理職手当)」として残業代の対価的な意味合いを含めて支給する会社もあります。東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」によると、役付手当を支給する企業は 72.6%で、このうち「同一役職の支給額は同じ」と回答した企業は64.8%でした。
 
「同一役職の支給額は同じ」としている企業の平均支給額は、部長8万7470円、課長6万98円、係長2万5597円です。「同一役職でも支給額は異なる」としている企業の平均支給額は、部長9万2559円、課長5万3385円、係長2万9657円でした。
 

管理職でも割増賃金が出るのはどんなケース?

管理監督者は残業代(時間外労働時間の割増賃金)や休日出勤への割増賃金の支払い対象ではありませんが、22時から翌5時の深夜労働に対する割増賃金は支払い対象です。また、管理職であっても管理監督者ではない場合には、残業代(時間外労働時間の割増賃金)の支払い対象になります。
 

<例>
繁忙期に部長Aさんと一般職Bさんが24時まで勤務した場合

(職場の所定労働時間は9時から18時、休憩1時間)
 
●部長Aさん(管理監督者)
22時から24時までの2時間に、深夜労働賃金割増25%が適用
●一般職Bさん
18時から22時までの法定時間外労働賃金割増25%+22時から24時までの深夜労働50%割増が適用

 

まとめ

管理職は、経営者と一体的な立場である管理監督者として、一般労働者よりも重要な権限や責任が与えられます。その役職にふさわしい待遇であることを理由に残業代などが支払い対象外なのです。
 
管理職として十分な権限や賃金などがなく一般労働者と同じような待遇であるのに、残業代などが不当に支払われない「名ばかり管理職」になっていないか、確認してみましょう。
 

出典

東京労働局 しっかりマスター労働基準法

東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)

日本労働組合総連合会 労働基準法の「管理監督者」とは?

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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