「奨学金」を借りたのに、給与が低くて返済できない…「平均年収」の高い業種・低い業種について解説

配信日: 2023.10.25 更新日: 2023.10.27

この記事は約 3 分で読めます。
「奨学金」を借りたのに、給与が低くて返済できない…「平均年収」の高い業種・低い業種について解説
高等教育機関へ進んだ人の約半数が奨学金を利用している時代となっています。ただし、奨学金の返済は40歳近くまで続く場合が多く、大変な思いをしている人も多いことをご存じですか。奨学金の返済負担が重いため、生活が困窮している人もいます。
 
奨学金を利用する際には、その学校に行くことでどんな職業に就けるのか、どのくらいの給料がもらえるのかも頭に入れて検討した方がよいのかもしれません。「働けば返せる」とは限らないからです。
 
本記事では奨学金の返済に苦しまないために、年収が低い可能性が高い業種を紹介します。奨学金利用の参考にしていただければ幸いです。
佐々木咲

執筆者:佐々木咲(ささき さき)

2級FP技能士

奨学金の利用者割合と返済期間

日本学生支援機構の奨学金など、何らかの奨学金を受給している人の割合は図表1のとおりとなっています。奨学金を利用する学生の割合は増加傾向にあり、高等教育に進んだ学生の約半分は奨学金を利用しているようです。
 
図表1
 
図表1
 
独立行政法人日本学生支援機構 令和2年度学生生活調査結果
 
労働者福祉中央協議会のアンケート調査によると、奨学金の返済期間の平均は14.5年となっており、22歳で社会人となった場合には36歳まで返済し続けなければならない計算です。日本学生支援機構の返済期間では最長で20年の設定があることから、40歳を超えても奨学金の返済を続けている人もいるようです。
 

年収が低い可能性が高い業種

奨学金の返済で苦労しそうな業種、つまり収入が低い業種は何でしょうか。図表2は、国税庁が公表している業種別の平均年収です。
 
最も高い業種は「電気・ガス・熱供給・水道業」、次いで「金融業、保険業」、「情報通信業」、「学術研究、専門・技術サービス業、 教育、学習支援業」、「製造業」、「建設業」が続いており、これら上位業種の年収は529万~747万円となっています。
 
平均年収が低いのは、「宿泊業、飲食サービス業」が 268 万円と最も低く、「農林水産・鉱業」、「サービス業」が下位に並んでいます。
 
年収が低い業種のなかで就業者数が多い業種は「サービス業」です。サービス業とは、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、娯楽業、自動車整備業、機械等修理業、職業紹介・労働者派遣業など幅広い範囲の仕事が該当します。
 
サービス業の平均年収は377万円となっているので、手取りにすると300万円程です。月にすると25万円程になるので、家族がいる場合には奨学金の返済は家計を圧迫する可能性が高いといえるでしょう。
 
図表2
 
図表2
 
国税庁 令和4年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-
 

まとめ

仕事を選ぶ際に大切なのは収入だけではありません。しかし、生活のためには無視することもできないでしょう。サービス業など、業界自体の年収が低いということもあるため、奨学金を利用して進学する際は、就職先の給与や返済額をしっかりと考える必要があります。
 
もちろん電気・ガス・熱供給・水道など、平均年収の高い業種に就職したとしても、誰でも高年収を望める保証はありませんが、業種別に給与水準の高低があるということは知っておきましょう。
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 令和2年度学生生活調査結果

労働者福祉中央協議会 奨学金や教育費負担に関するアンケート報告書

国税庁 令和4年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-

 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集