更新日: 2023.10.30 年収
【最新】日本の平均年収は「458万円」にアップ! でも「実質賃金」は変わらず生活は苦しい? 過去10年の経済状況を解説
今回は平均給与と実質賃金の推移から、この10年間で国民の経済状況がどのように変化しているのか見てみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
10年間で平均給与はどう変わった?
令和4年分の民間給与実態統計調査によると1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は458万円となっており、対前年比で11万9000円増加しました。10年前である平成25年の民間給与実態統計調査を見ると、平均給与は414万円となっています。
この10年間の平均給与の推移を見ると減少した年も増加した年もありますが、平成25年から令和4年までの間に平均給与は44万円増加しています。しかし、10年前と比べて経済的に余裕ができたと感じる人は少ないのではないでしょうか。そう感じる理由は実質賃金の推移を見ていくことでわかります。
実質賃金とは?
厚生労働省が公表している毎月勤労統計調査に、実質賃金の推移が掲載されています。現金給与総額指数を消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で除して算出したものが実質賃金です。
簡単に説明すると物価と賃金の関係性を数値で表したもので、賃金が上がっても同じくらいの割合で物価が上昇していれば、実質賃金は変わらないことになります。
令和5年8月分の毎月勤労統計調査で確認すると、実質賃金は毎年1%程度の増減を繰り返しています。つまり、平均給与は上昇しているのに実質賃金はほとんど変わっていないということです。
さらに、令和4年4月からは毎月の消費者物価指数が増加し続けており、実質賃金は毎月マイナスが続いています。令和4年から令和5年にかけては特に経済的に苦しくなったと感じる人が多いのではないでしょうか。実質賃金が上がるには物価の上昇よりも大きな割合で給与額が上昇するか、給与額が変わらないのであれば物価が下がる必要があります。
物価の上昇以外にも理由が!
令和4年分の民間給与実態統計調査を見ると、給与所得者のうち源泉徴収により所得税を納税している人の給与総額に占める税額の割合は5.41%となっています。この資料では平成26年分のデータから見ることができ、所得税の納税割合は平成26年の4.64%から毎年少しずつ増えてきています。
また、10年前の平成25年には5%だった消費税も平成26年の4月からは8%となり、令和元年の10月からは10%(軽減税率対象物は8%)となりました。このように物価だけでなく税率も10年間の間に上昇しています。給与額が上がっていたとしても納税額や生活における支出が増加することによって、生活に余裕が生まれにくくなっているのです。
給与額だけでなく実質賃金の推移も見よう!
10年前に比べて平均給与が上がっているにも関わらず実質賃金にはほとんど変化がなく、むしろ令和4年以降はマイナスが続いています。
平均給与の増減だけでは正確な経済状況を知ることはできないため、実質賃金の推移を見ることも必要です。実質賃金の推移から経済的に苦しいと感じている人が増えていることがわかります。今後は実質賃金が上がっていくことに期待しましょう。
出典
国税庁 平成25年分 民間給与実態統計調査
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和5年8月分結果速報
国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査 調査結果報告
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー