更新日: 2023.11.06 年収
月収20万円でも「公営住宅」にはまだ住める?家賃が上がるなら手元に残るお金はあまり変わらない?
さらに、収入が一定以上になると収入基準を超えてしまい、入居資格がなくなります。その場合は、出ていかなくてはならないのでしょうか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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公営住宅の家賃の仕組み
公営住宅に住んでいる場合は、収入が増えると家賃が上がります。公営住宅でなければ家賃はそのままで、自由に使えるお金が増えますが、公営住宅の場合は、手元に残るお金があまり変わらないのではないでしょうか。
公営住宅の家賃の算定方法
公営住宅の家賃は次の式で算定され、家賃算定基礎額は入居者の収入によって決まります。
公営住宅の家賃=(家賃算定基礎額)×(市町村立地係数)×(規模係数)×(経過年数係数)×(利便性係数)
家賃算定基礎額とは、世帯収入に応じて設定される家賃設定の基準となる額のことです。
公営住宅の家賃は、家賃算定基礎額に市町村立地係数などがかけられて計算されるため、収入が増えて家賃算定基礎額が高くなると、公営住宅の家賃は高くなります。
入居者の世帯収入と家賃算定基礎額について、表1にまとめました。収入が高いほど、家賃算定基礎額も高くなることが分かります。
表1
入居者世帯の収入 | 家賃算定基礎額 |
---|---|
12万3000円以下 | 3万7100円 |
12万3001~15万3000円 | 4万5000円 |
15万3001~17万8000円 | 5万3200円 |
17万8001~20万円 | 6万1400円 |
※国土交通省住宅局「公営住宅制度の概要について」をもとに筆者作成
公営住宅の入居条件
公営住宅に入居できる世帯は、以下の通りです。
●現在、住宅に困っていることが明らかであること
●現在同居し、または同居しようとする親族があること
●入居しようとする世帯収入が法令で定められた基準額以内であること
※月収20万円(収入分位25%)以下
※入居者が身体障がい者である場合、または、そのほかの特に居住の安定を図る必要があるものとして政令で定める場合(裁量階層)は、月収26万8000円(収入分位40%)以下
各市町村により独自の入居条件を設けている場合があるため、入居を検討される際は、地域の窓口で確認することをおすすめします。
収入が基準を超過した場合
公営住宅に3年以上入居していて、入居収入基準を超えた場合は、収入超過者となります。この場合、早めに自立して公営住宅を明け渡さなくてはなりません。
基準より高額な収入を得るようになった場合
公営住宅に5年以上入居しており、最近2年間引き続き基準を超える高額の収入がある入居者を、高額所得者とみなします。
公営住宅を貸している事業主体は、高額所得者に対して、期限を定めたうえで公営住宅の明け渡しの請求が可能です。
また、近隣にある同程度の住宅の家賃と同額を請求されるため、以前よりも家賃が高くなるでしょう。
明け渡しの請求がされても入居し続ける場合、期限の翌日から2倍の家賃を徴収される可能性があります。つまり、収入が基準を超えたからといって強制的に退去させられるわけではありませんが、住み続ける場合は、高額な家賃を求められる可能性があります。
収入に合わせて最適な部屋探しをしましょう
公営住宅の家賃は、収入が上がるほど高くなります。家賃が上がれば、社会保険料のことも考慮すると、手元にお金はあまり残らないため、収入が増えたら、一般的な賃貸へ引っ越すほうがよいでしょう。
また公営住宅は、基準の収入を超えたら、部屋を明け渡すように努めなければいけません。
強制退去させられることはありませんが、そのまま何年も住み続けると、最終的には家賃が高額になります。それならば、公営住宅の家賃よりも安く借りられる一般の賃貸アパートを探して住んだほうがよいでしょう。
十分な住居空間を確保しつつ、家賃を安く抑えたい場合は、根気よく部屋探しをしてはいかがでしょうか。
出典
国土交通省住宅局 公営住宅制度の概要について
3 入居者資格(2ページ)
4 入居制度(5)収入超過者、高額所得者(法28条1項、29条1項)(5ページ)
5 家賃制度(1)家賃の決定 〔1〕家賃算定基礎額(5ページ)
(4)収入超過者、高額所得者の家賃制度〔2〕高額所得者の家賃(法29条5項)(7ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー