勤続20年ですが、いまだに「年収280万円」です。貯蓄も「30万円」しかないのですが、これってやばいですか? 転職を検討すべきでしょうか…?
配信日: 2023.11.19 更新日: 2023.11.28
本記事では、勤続20年で年収280万円、貯蓄30万円の人について、一般的に見てどれくらいの年収や貯蓄の水準なのか、また転職を検討した方が良いのかについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
給与所得者の平均年収は458万円
国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収は男性が約563万円、女性が約314万円、男女計で約458万円です。そのため、現在の年収が280万円の場合、平均よりも少ない年収だといえます。
年収280万円は平均よりは少ないとはいえ、圧倒的に少数派という訳ではありません。同調査では、年収の区分ごとの人数と割合を公開しています。そして、年収300万円以下の割合は男性で19.4%、女性で55.5%、男女計で34.6%です。
年収が280万円でも、給与所得者の中で飛びぬけて少ないとはいえないでしょう。
年収280万円で貯蓄30万円は少ないのか?
年収280万円は平均よりも低い水準ですので、貯蓄も多くはできない場合が多いかもしれません。年収280万円で貯蓄30万円というのは、少ないのでしょうか?
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]令和4年調査結果」によると、年収が300万円未満の世帯の平均金融資産保有額は650万円です。「え? そんなに多いの?」と思う人もいるでしょう。しかし、平均額は特に金額の多い人の影響を受けやすいため、中央値も見ていきます。
中央値は、今回の場合は金融資産保有額が高い人から順に並べた際に中間の順位の人の金額を表します。そして、年収が300万円未満の世帯において、金融資産保有額の中央値は50万円です。
年収280万円で貯蓄が30万円だと、貯蓄額としては少な目といえるでしょう。
勤続年数20~24年で年収280万円は少ないのか?
平均年収280万円で貯蓄が30万円というと、年収も貯蓄も少ない方ですが、飛びぬけて少ないという訳ではありません。しかし、平均年収は勤続年数によって異なります。
「令和4年分民間給与実態統計調査」を見ると、勤続年数が35年未満までは、勤続年数が長くなるにつれて年収も高くなっています。そして、勤続年数が20~24年の給与所得者の平均年収は、男性が704万円、女性が392万円、男女計で597万円です。
そのため、勤続年数20年で年収が280万円は、勤続年数の割には年収が低いといえそうです。
年収を上げたいなら、異業種への転職も選択肢の1つ
年収を上げるために転職を考える人も多いでしょう。その場合、まずは現職と同じ業界・業種内での転職を検討することが多いと思いますが、年収は、業種によってもかなり異なります。
「令和4年分民間給与実態統計調査」では業種ごとの平均年収も公開しており、その結果は図表1のとおりです。
【図表1】
業種 | 平均年収 |
---|---|
宿泊業、飲食サービス業 | 268万円 |
農林水産・鉱業 | 337万円 |
サービス業 | 377万円 |
卸売業・小売業 | 384万円 |
医療、福祉 | 409万円 |
不動産業、物品賃貸業 | 457万円 |
運輸業、郵便業 | 477万円 |
複合サービス事業 | 506万円 |
建設業 | 529万円 |
製造業 | 533万円 |
学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業 | 544万円 |
情報通信業 | 632万円 |
金融業・保険業 | 656万円 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 747万円 |
国税庁 令和4年分民間給与実態統計調査を元に作成
最も少ない「宿泊業、飲食サービス業」と最も高い「電気・ガス・熱供給・水道業」とでは、平均年収に500万円近くもの差があります。
現在平均年収が低い業種で働いており、長年働いていても年収が上がらずに苦しんでいる場合、年収水準の高い業種への転職を検討してみても良いでしょう。
出典
国税庁 令和4年分民間給与実態統計調査
金融広報中央委員会 (参考)家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]令和4年調査結果
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー