公務員夫婦で世帯年収「1000万円」はあります。老後は働かなくていいですか?
配信日: 2023.11.24
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執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
世帯年収1000万円の公務員夫婦が受け取る年金額は?
地方公務員のモデル年金額を基に計算していくと、厚生年金(平成15年の4月以降の報酬比例部分のみと仮定)と国民年金の合計額は令和5年度ベースで合計186万3137円になると推測されます。夫婦2人なら372万6274円となります。
図表
出典:地方公務員共済組合連合会 共済組合員の皆さんへ
さらに、終身年金と有期年金(支給残月数20年)で月額1万7299円を受け取ることができます。すると、世帯年収1000万円の公務員夫婦は、少なくとも20年間毎年414万1450円を受け取ることができます。21年目以降も、392万866円もの年金を受け取れます。
「毎年400万円超えの年金を受け取れる」と聞くと、多く感じられるかもしれません。しかし、標準報酬月額の平均が月収40万6000円ということは、おおむね月当たりの給与が40万6000円前後であることが推定されます。
この金額を12倍して年収換算すると、487万2000円となります。夫婦合わせて974万4000円と、ほぼ世帯年収1000万円と近しい数値です。そのため、世帯年収1000万円の公務員夫婦が、毎年414万1450円の年金を受け取ることは、十分現実的です。
退職金の存在も踏まえると、老後資金は莫大なものになる
総務省の「令和3年 地方公務員給与実態調査結果」によれば、25年以上勤務し、定年退職した場合の地方公務員の退職手当の平均額は2184万3000円になっています(全地方公共団体・全職員から退職勧奨や自己都合退職については除いて集計)。夫婦2人が同じ金額をもらえるとすると、4368万6000円もの金額になります。
仮に65歳で定年して年金を受け取りはじめ、夫婦で95歳まで生きるとすると、30年間で得られる年金と退職金を含めると、老後資金は1億6572万3660円となります。毎月およそ46万円も、老後資金として活用することができます。
また、公益財団法人生命保険文化センターの調査によれば、老後に夫婦2人で最低限度の日常生活を営むには平均で23万2000円、ゆとりある老後生活を送るには平均37万9000円(「最低日常生活費」と「ゆとりのための上乗せ額」の合計額とする)が必要です。
ここから、旅行ざんまいをする・欲しいものをあれこれと買いつづけるなど、よほど金銭的な支出がかさむような生活を送らなければ、老後は働かずとも不自由なく生活していくことができるでしょう。
退職金や年金に頼らないよう資産形成も行っておきたい
これだけ見ると、老後は年金と退職金とで何とかなる、と考えられるかもしれません。しかし、年金も退職金も現役のうちから確定しているものではありません。例えば、病気やけがで定年を待たずして夫婦の一方が退職することとなった場合、将来受け取れる年金や退職金はその分減少してしまうでしょう。
また、年金や退職金の支給制度が変更となる可能性もあります。そういった不測の事態に備え、無理のない範囲で貯金などをして、老後に備えた資産形成を行っておくべきです。
また、老後に働くことは浪費しすぎることを防止し、社会とのつながりを維持するためにも役立ちます。老後に働く必要がなくとも、無理のない範囲で働くことを検討していくのもよいかもしれません。
まとめ
世帯年収が1000万円ある公務員夫婦であれば、定年後に受け取る年金と退職金だけで、働かずとも老後は生活していける可能性が高いです。
とはいえ、老後を迎える前に不測の事態が起こる可能性もあれば、老後に想定外にお金を使ってしまう可能性もあります。
そういったもろもろの可能性を考えると、世帯年収1000万円の公務員夫婦でも、老後は無理のない範囲で働くつもりでいた方がよいのかもしれません。
出典
e-Stat 総務省 令和3年地方公務員給与実態調査結果 第9表-1 団体区分別、職員区分別、退職事由別、年齢別退職者数及び退職手当額
地方公務員共済組合連合会 共済組合員の皆さんへ 年金払い退職給付制度に係る付与率・掛金率等について
公益財団法人生命保険文化センター 老後の生活費はいくらくらい必要と考える?
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
執筆者:柘植輝
行政書士