実はそんなに手取りは多くない? 年収「2000万円」の現実とは
配信日: 2023.12.19
今回は、日本における年収2000万円の方の割合や、手取りの金額、その求め方などについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年収2000万円の人ってどれくらいいるの?
国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、年収2000万円以上の方は、男性が0.9%、女性が0.2%、全体で0.6%でした。全体の年収分布で見ても、年収2000万円超~2500万円以下の人が最も少ない割合になっています。
一方で、全体で見た場合に割合として最も多い年収は、300万円超~400万円以下の16.5%でした。
年収2000万円から手取りを計算する方法
手取りを計算するときは、収入に応じて変動する給与所得や社会保険料などを求めたあとに、所得税や住民税を求める必要があります。今回は、年収2000万円の方を例にして計算してみましょう。なお条件は、以下のように仮定します。
●東京在住で40歳
●控除は給与所得控除と基礎控除のみ
●賞与はないものとする
課税所得を求める
まずは収入から、給与所得控除や社会保険料、基礎控除を引いて課税対象となる「課税所得」を求めます。給与所得控除とは、給与などの収入から控除される金額で、今回の条件では、給与所得控除額は195万円です。
社会保険料は、健康保険や介護保険、厚生年金保険、雇用保険を合わせた金額を指します。全国健康保険協会の健康保険・介護保険・厚生年金保険の保険料額表と、厚生労働省で公開されている雇用保険料率を基に、各種保険料年額を表1にまとめました。
表1
健康保険料と介護保険料 | 厚生年金保険料 | 雇用保険料 | 社会保険料の合計 | |
---|---|---|---|---|
金額 | 98万5788円 | 71万3700円 | 12万円 | 181万9488円 |
※筆者作成
年収2000万円から給与所得控除と社会保険料を引くと、1623万512円です。さらに基礎控除額である48万円を引くと、1575万512円になります。課税所得は1000円未満を切り捨てるため、課税所得金額は1575万円です。
所得税と住民税を求める
所得税と住民税は、課税所得金額を基に計算します。所得税額は、課税所得金額に税率をかけたあとに、控除額を引いた金額です。
日本は累進課税制度を採用しているため、所得金額が大きいほど、所得税の割合も大きくなり、手取りは少なくなります。年収2000万円の場合は、課税所得金額が1575万円ですので、所得税率は33%、控除額は153万6000円です。
住民税は、課税所得金額に対して、所得割10%をかけたあとに、均等割の5000円を足して求めます。
これらを基に計算すると、年収2000万円の方の所得税は366万1500円、住民税は158万円です。
収入から社会保険料・所得税・住民税を引く
これまで求めた社会保険料、所得税、住民税を引くと、年収に対する手取り額を計算できます。今回の社会保険料、所得税、住民税をすべて足した金額は706万988円です。年収2000万円の手取りは、これらを差し引いた金額の1293万9012円になり、月額で換算すると、107万8251円になります。
年収2000万円だと手取りは約1300万円
年収2000万円になると、社会保険料や税金などにより、年間で約700万円もの金額が引かれます。ただし、ふるさと納税などの控除が追加されると変動しますので、注意しましょう。手取りが思ったよりも少ない、あるいは多いと感じた方は、一度自分で計算してみることをおすすめします。
出典
国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告- Ⅱ 1年を通じて勤務した給与所得 者 3 給与階級別分布(第16表)給与階級別給与所得者数・構成割合
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.1410 給与所得控除
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.1199 基礎控除
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.2260 所得税の税率
厚生労働省 令和5年度雇用保険料率のご案内(東京都)
全国健康保険協会 令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
総務省 地方税制度 個人住民税
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