更新日: 2024.01.05 年収

ボーナスありの年収500万円とボーナスなしの年収500万円、どちらがお得?

執筆者 : 中村将士

ボーナスありの年収500万円とボーナスなしの年収500万円、どちらがお得?
年収が同じであっても、ボーナス(賞与)がある場合とボーナスがない場合で、手取り収入が異なることがあります。年収が同じであれば、手取り収入が多い方がお得だと、誰もが思われるのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、「ボーナスありの年収500万円とボーナスなしの年収500万円ではどちらがお得か?」について、具体的な金額を計算し、検証していきます。
中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

損得の判断基準は社会保険料の多寡

手取り収入は、以下の計算式によって算出します。
 
手取り収入(可処分所得)=収入-(社会保険料+税金)
 
つまり、給与・賞与から天引きされているのは社会保険料と税金です。上記計算式中の用語については、以下のとおりです。


・収入:額面金額
・社会保険料:健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料の合計額
・税金:源泉所得税額、住民税額の合計額

それぞれの金額は、以下の計算式により算出します。


・健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料=標準報酬月額(標準賞与額)×保険料率
・雇用保険料=額面金額×保険料率
・源泉所得税額:課税支給額から社会保険料を引いた金額と国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表」を照らし合わせて算出
・住民税額:「特別徴収税額の決定通知書」による

なお、源泉所得税額と住民税額については、最終的には年収によって精算しますので、ボーナスの有無による違いはありません。
 
したがって、本記事で検証すべきは、ボーナスの有無により納付する社会保険料に違いは生じるのか、また、違いが生じるのであれば納付額が少ないのはどちらか、ということになります。
 

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検証結果はボーナスなしの方がお得

以下では、ボーナスありの年収500万円とボーナスなし(月給のみ)の年収500万円の納付すべき社会保険料について、具体的に計算していきます。計算をするに当たり、それぞれ図表1のように設定します。
 
図表1

ボーナスありの場合 ボーナスなしの場合
給与 31万5000円× 12ヶ月 42万円× 12ヶ月
賞与 63万円× 2回
合計額(年収) 504万円 504万円

ボーナスありの場合の社会保険料の合計額は79万8300円

まず、ボーナスありの場合について検証します。標準報酬月額、標準賞与額、健康保険料率(介護保険料を含む、以下同じ)、厚生年金保険料率、雇用保険料率はそれぞれ以下のとおりとします。なお、それぞれの保険料率については令和5年12月時点の自己負担分を採用します。


・標準報酬月額:32万円
・標準賞与額:63万円
・健康保険料率:5.91%(東京都の場合)
・厚生年金保険料率:9.15%
・雇用保険料率:6/1000(一般の事業の場合)

健康保険料を計算すると、以下のとおりです。


(1)給与に係る健康保険料= 32万円× 5.91%× 12ヶ月=22万6944円
(2)賞与に係る健康保険料= 63万円× 5.91%× 2回=7万4466円
(3)合計額=30万1410円

厚生年金保険料を計算すると、以下のとおりです。


(1)給与に係る厚生年金保険料= 32万円× 9.15%× 12ヶ月=35万1360円
(2)賞与に係る厚生年金保険料= 63万円× 9.15%× 2回=11万5290円
(3)合計額=46万6650円

雇用保険料を計算すると、以下のとおりです。


(1)給与に係る雇用保険料= 31万5000円× 6/1000 × 12ヶ月=2万2680円
(2)賞与に係る雇用保険料= 63万円× 6/1000 × 2回=7560円
(3)合計額=3万240円

したがって、この場合の社会保険料の合計額は79万8300円(= 30万1410円+ 46万6650円+ 3万240円)となります。
 

ボーナスなしの場合の社会保険料の合計額は77万1192円

次に、ボーナスなしの場合について検証します。標準報酬月額、標準賞与額、健康保険料率、厚生年金保険料率、雇用保険料率はそれぞれ以下のとおりとします。なお、それぞれの保険料率についてはボーナスありの場合と同じです。


・標準報酬月額:41万円
・健康保険料率:5.91%
・厚生年金保険料率:9.15%
・雇用保険料率:6/1000

健康保険料を計算すると、以下のとおりです。
 
(1)給与に係る健康保険料= 41万円× 5.91%× 12ヶ月=29万772円
 
厚生年金保険料を計算すると、以下のとおりです。
 
(1)給与に係る厚生年金保険料= 41万円× 9.15%× 12ヶ月=45万180円
 
雇用保険料を計算すると、以下のとおりです。
 
(1)給与に係る雇用保険料= 42万円× 6/1000 × 12ヶ月=3万240円
 
したがって、この場合の社会保険料の合計額は77万1192円(= 29万772円+ 45万180円+ 3万240円)となります。
 

まとめ

本記事では、「ボーナスありの年収500万円とボーナスなしの年収500万円ではどちらがお得か?」について、判断基準を「手取り収入が多い方が得である」として検証してきました。検証結果は図表2のとおりです。
 
図表2

ボーナスありの場合 ボーナスなしの場合
給与 31万5000円× 12ヶ月 42万円× 12ヶ月
賞与 63万円× 2回
年収 504万円 504万円
健康保険料・介護保険料 30万1410円 29万772円
厚生年金保険料 46万6650円 45万180円
雇用保険料 3万240円 3万240円
社会保険料合計額 79万8300円 77万1192円

なお、年収が同じ場合、ボーナスの有無は所得税と住民税には影響がありませんので、検証の対象から外しております。所得税も住民税も、年収を基に算出するからです。したがって、社会保険料の納付額が少ない方が手取り収入は多く、お得であるということができます。
 
本記事での検証によると、「ボーナスなし(月給のみ)の方がお得」という結果になりました。この原因は、健康保険料や厚生年金保険料の算出に用いられる標準報酬月額や標準報酬額にあります。
 
今回の場合、ボーナスありのときの標準報酬月額(32万円)は額面金額(31万5000円)より高く、ボーナスなしのときの標準報酬月額(41万円)は額面金額(42万円)より低くなりました。この結果、同じ年収であっても社会保険料の納付額に差が生じました。
 
したがって、「年収が同じであれば、ボーナスがない方が必ず得である」とは言い切れません。年収によっては反対の結論が出る可能性があるからです。ただ、給与の受け取り方によって手取り金額に差が生じることがあるということを、本記事ではご理解いただけたかと思います。
 

出典

全国健康保険協会「令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)」
全国健康保険協会「標準報酬月額・標準賞与額とは?」
日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内」
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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