更新日: 2024.01.11 年収

42歳会社員、年収が「350万円」から上がらず、貯金は「100万円」です。今からでも転職を考えたほうがよいでしょうか?

42歳会社員、年収が「350万円」から上がらず、貯金は「100万円」です。今からでも転職を考えたほうがよいでしょうか?
「長年働いているのに給料が上がらない」「物価も上がっていて将来のお金が不安……」と感じている人も多いかもしれません。
 
近年ではリモートワークやFIRE(経済的自立と早期リタイアを意味する言葉)などが浸透してきており、働き方が大きく変化してきています。将来の経済的な不安を解消するために転職を考えるのは間違った選択肢ではありません。
 
ただし、転職を安易に考えると、さらに経済的なリスクを高める結果となる可能性もあります。現在の年収だけでなく、将来のライフプランなどを考慮して長期的な計画を立てることが重要です。
御手洗康之

執筆者:御手洗康之(みたらい やすゆき)

CFP、行政書士

年収350万円は、多いのか少ないのか?

年収を転職の基準と考える場合、そもそも年収350万円は本当に少ないのでしょうか? 国税庁が公表している「民間給与実態統計調査結果(令和4年分)」によれば、1年を通じて勤務した給与所得者5078万人の平均給与は458万円となっています。ただし、これは性別、年齢、雇用形態などの条件が混ざった平均値であり、個々の状況により実態は変わってきます。
 
例えば事業所規模が大きいほうが平均給与が高かったり(※1)、業種間でも平均給与に数百万円の開き(※2)があったりします。また、給与が400万円以下の割合は男性で34.9%に達しています。およそ3人に1人が年収400万円以下となりますが、実際にこれらの人すべてが今の給与ではやっていけないということは考えにくいのではないでしょうか。
 
年間350万円では足りないと感じる場合には、収入が少ないことよりも支出が多すぎないか一度チェックしてみることも有効です。平均的な支出は家族構成などによっても変わるので一概に支出が多すぎるとはいえませんが、節約への意識づけに役立つかもしれません。
 
※1.10人未満規模の平均給与(371万1000円)、5000人以上規模の平均給与(538万4000円)など
※2.電気・ガス・熱供給・水道業の平均給与747万円、宿泊業・飲食サービス業の平均給与268万円など
 

転職で失敗するパターンは結局これ

筆者自身も転職を経験しており、転職自体は悪いことではないと考えています。次の内定をもらってから会社を辞めたほうがいいと聞くこともありますが、私は前の会社を辞めてから転職活動を始めており、それが失敗だったとも感じなかったので転職の進め方に正解はないでしょう。
 
ただし、転職後の給与の不満や社風のミスマッチなど「こんなはずではなかった……」となるのは、程度の差こそあれ転職先に関する調査不足が原因になり得ます。また、自分の要望を100%実現できる転職先はないと考えておくほうが建設的です。転職にあたり自分が優先するもの(ゆずれないもの)が年収なのか、人間関係なのか、仕事内容なのかなどを明確にしておく必要があります。
 

50代以降に転職するなら年収以外も十分検討しましょう

ある程度年齢が高くなってから転職を考える場合は、年収以外のことを優先することをおすすめします。役職定年(55歳もしくは57歳を役職定年とする企業の割合が多いようです)を設けている企業もあり、一般的にいえば50代以降に年収が大きくアップすることは少なくなると考えられるからです。
 
これからの時代は、年収だけでなく高齢になっても働き続けられるかも重要なポイントの1つになりそうです。長く働き続けることができれば、年金受給開始までに資産を取り崩さず、もしくは取り崩す額を小さくできるからです。そうなれば、年金の繰下げ受給も視野に入るので、年収以上に将来の経済的なリスクを軽減できる可能性が高まります。
 
年収が低いことを理由にこれから転職を考えようという人は、十分に検討してから実行するようにしましょう。年齢が上がるにつれて、年収以外の面にも目を向けることが重要です。
 

出典

国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査結果
 
執筆者:御手洗康之
AFP、FP2級、簿記2級

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