更新日: 2024.01.18 年収
稼いでも税金が「高くなってしまう」年収はいくら?
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執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
所得税は累進課税
日本で「税金が高い」「稼いでも税金が高くなる」といったような声があるのには、理由があります。その理由として考えられるものの一つに「日本の所得税制が累進課税である」という点が挙げられます。
累進課税とは、課税対象となる所得が大きければ大きいほど、税率が高くなる仕組みの税制です。
代表的な税金として、所得税が挙げられます。所得税は、課税対象となる所得金額が高ければ高いほど、税率も高くなっていきます。税率は所得に応じて、5%から45%となっています。なお、所得税が5%の税率で発生するようになるのは、給与所得者の場合、年収103万円を超えてからです。
※出典:国税庁「No2260所得税の税率」
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稼いでも税金が高くなるのは、年収いくらくらいから?
先に確認したとおり、日本の税制は累進課税です。結局のところいくら稼いでいようが、そこからさらに稼ぐようになれば、税金自体の額は増えていきます。そのため「税金の額が高くならない年収」というものはないといえます。
もし、ある程度の指標を挙げるとすれば、収入に税金の発生するタイミングが該当するといえるでしょう。具体的には、年収100万円前後がそれに該当します。自治体によっても異なりますが、おおむねこの辺りの年収から、約10%の税率の住民税が発生するからです。
また、年収103万円を超えると、自身に5%の税率で所得税が発生するだけでなく、配偶者の扶養からも外れることになります。そのため配偶者控除の適用がなくなり、扶養者の税金が高くなってしまいます。
そのほか、年収150万円を超えると配偶者特別控除が満額は適用されなくなり、201万6000円を超えると配偶者特別控除自体が受けられなくなります。
いずれにせよ、累進課税がとられている日本においては、基本的にある段階からいきなり税金が高くなるわけではなく、段階的に税率が上がっていきます。扶養者の適用される控除の種類や額が少なくなっていくことで、税金も高くなっていくのです。
なお、以前は年収が130万円以上となると、自ら社会保険に加入しなくてはならず、社会保険料が生じることになっていました。しかし、厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」によると、2023年10月より、年収130万円以上となっても、一定の条件を満たせば連続して2回までは自ら社会保険に加入しなくてもいいとされています。
正確には、労働時間延長等に伴う一時的な収入変動によって年収が130万円を超えたパート・アルバイト労働者に対し、事業主がその旨を証明することで、該当者は引き続き被扶養者として認定されます。
手取り総額が減ることは基本的にない
収入が増えて税金が高くなってしまっても、基本的には、増えた額以上に手取りの総額が減る、ということはありません。
例えば、住民税の税率はおおよそ10%です。大ざっぱにいえば、課税対象となる収入が100万円増えても、税金はおおよそ10万円になります。
同様に、所得税においても税率は5%からとなっているなど、稼いだ全額が税金になるわけではありません。それゆえ、基本は収入が増えて税金が増えても手取りも増えます。
まとめ
家計全体の税金が高くなるのは、パートの主婦が稼ぐ額が年収100万円を超えてからです。そこから103万円、150万円、201万円など、段階的に税金が高くなっていきます。
収入が増えてもそれ以上に税金が発生することはありませんが、税金が増えると負担が重く感じられるのも事実です。もし、できる限り税金を抑えたいというのであれば、税負担が生じず、かつ配偶者控除が受けられる範囲で働くといいでしょう。
出典
国税庁 No1195配偶者特別控除
No1191配偶者控除
No2260所得税の税率
厚生労働省 年収の壁・支援強化パッケージ
執筆者:柘植輝
行政書士