更新日: 2024.02.20 年収
月給「30万円」なのに、1ヶ月分の賞与がたったの「20万円」なのは問題ないの?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
賞与のよくある計算式
神奈川県ホームページによると、賞与は基本給のように支給が義務付けられていたり、最低賃金が定められていたりするわけでもないようです。したがって、支給の有無や算出方法は各企業が自由に決めることができるため、夏冬に年2回支給される企業もあれば、年1回決算時のみに支給される企業もあります。
賞与の計算式については多くの場合、就業規則や賃金規定、個別の労働契約書などに定められています。これについて、最終的な決定方法としてよく見られるのが、基本給をベースとした計算方法です。例えば、基本給の1ヶ月分や2ヶ月分などといった具合です。
賞与の計算式における「基本給」は、どの範囲まで含まれる?
賞与の計算式において、基本給ベースとなる場合、その「基本給」にはどこまで含まれるのでしょうか。冒頭にあるように、月給が30万円で、賞与の計算式が基本給の1ヶ月分である方の場合で考えていきましょう。この場合、ぱっと見ただけでは、賞与は30万円だと思うかもしれませんが、そうではありません。
例えば、月給30万円でも「基本給25万円、住宅手当3万円、固定残業手当2万円で合計30万円」という場合、賞与の額は25万円を基準に計算されます。この場合の住宅手当と固定残業手当は、毎月支給されて額面給与を構成する、いわば固定給ではありますが、基本給とは異なります。
一方で、同じ月給30万円の方でも、基本給だけで30万円であれば、賞与の額としては30万円を基準に計算され、支給されます。このように、基本的に「月給の何ヶ月分」という決まり方の賞与は、基本給のみで各種手当は含まずに算出されるのが一般的です。
最近よく見られる、固定残業代が含まれているような場合も、月給に対して賞与が低くなりやすく、時折トラブルが起こることもあるようです。
ただし、中には各種手当を含んだ固定給総額を基に、賞与を算出するケースも見られます。この点については、しっかりと就業規則などを確認しておくべきでしょう。
賞与からは、税や社会保険料も天引きされる
ここまで見ると「基本給が25万円で、賞与の支給額が基本給1ヶ月分ならば、賞与の額は25万円になるのでは? 支給される賞与が20万円というのは間違っている」と疑問に思う方もいることでしょう。
しかし、実際には間違いではありません。賞与に対しては所得税や住民税、そして厚生年金や健康保険などの社会保険料が発生します。それらは毎月の給与のように天引きされるため、手取り額として手元に残るお金は20万円と、額面賞与より少なくなるのです。
まとめ
賞与は基本給を基に計算されるため、総支給額に比して基本給が小さいと、規定されている月給の月数よりも少なくなることがあります。また、実際の手取り額からは税や社会保険料が差し引かれます。
とはいえ、賞与の計算式や算定基準などは企業によって異なります。疑問に思うことがあれば、就業規則や労働契約書などを確認し、その上で疑問があれば勤務先企業へ確認しておくべきでしょう。
出典
神奈川県ホームページ 賞与、退職金、諸手当を払ってもらえないとき
執筆者:柘植輝
行政書士