更新日: 2024.05.13 年収
年収800万円の40代会社員です。自分の所得税がいくらなのか理解できていません。年収800万円の所得税の計算方法や税率を教えてください
執筆者:北山茂治(きたやま しげはる)
高度年金・将来設計コンサルタント
1級ファイナンシャルプランニング技能士、特定社会保険労務士、健康マスターエキスパート
大学卒業後、大手生命保険会社に入社し、全国各地を転々としてきました。2000年に1級ファイナンシャルプランニング技能士資格取得後は、FP知識を活用した営業手法を教育指導してきました。そして勤続40年を区切りに、「北山FP社会保険労務士事務所」を開業しました。
人生100年時代に、「気力・体力・財力3拍子揃った、元気シニアをたくさん輩出する」
そのお手伝いをすることが私のライフワークです。
ライフプランセミナーをはじめ年金・医療・介護そして相続に関するセミナー講師をしてきました。
そして元気シニア輩出のためにはその基盤となる企業が元気であることが何より大切だと考え、従業員がはつらつと働ける会社を作っていくために、労働関係の相談、就業規則や賃金退職金制度の構築、助成金の申請など、企業がますます繁栄するお手伝いをさせていただいています。
所得税率の仕組み
所得税率は課税される所得金額によって7段階に税率が分かれており、以下の金額で段階的に税額が定められています。
195万円未満の部分が5%
195万円以上330万円未満の部分が10%
330万円以上695万円未満の部分が20%
695万円以上900万円未満の部分が23%
900万円以上1800万円未満の部分が33%
1800万円以上4000万円未満の部分が40%
4000万円以上の部分が45%
となっています。
また、住民税は一律10%あることを忘れてはいけません。
実際に計算してみましょう
給与所得が800万円の場合、税金がいくらになるか計算してみましょう。
800万円の税率は23%ですが、800万円×23%=184万円となるわけではありません。800万円のうち195万円未満までの所得については5%で計算します。195万円以上330万円未満は10%、330万円以上696万円未満は20%、695万円以上から900万円未満を23%で計算します。
計算式にすると下記のようになります。
195万円×5%+(330万円-195万円)×10%+(695万円-330万円)×20%+(800万円-695万円)×23%=120.4万円
計算は結構大変ですね。
実際には下記「所得税の速算表」を用います
所得税の速算表を活用した所得税の計算は、上記の例では、800万円×23%-63万6000円=120.4万円となります。計算がずいぶん楽になりますね。この63万6000円を「控除額」といいます。
控除額の計算の考え方は、まず195万円までは10%と5%の差額の5%を195万円に掛けます、次に330万円までは20%と10%の差額の10%を330万円に掛けます、次に695万円までは23%と20%の差額の3%を695万円に掛けます、それぞれの合計を控除額とします。控除額を計算式にすると下記のようになります。
195万円×(10%-5%)+330万円×(20%-10%)+695万円×(23%-20%)=63.6万円
住民税も理解しよう
平成19年までは所得税率は4段階(10%、20%、30%、37%)でした。住民税も3段階(3%、10%、13%)の税率となっていました。
平成19年に地方税が一律10%となり、納税者の負担合計額を同じにするために、所得税率が6段階(5%、10%、20%、23%、33%、40%)となったのです。その後平成27年から、所得金額4000万円以上に45%の税率が追加されて7段階になりました。
<復興特別所得税>
平成25年から令和19年までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)を併せて申告・納付することとなっています。
日本の所得税は高いのか
以上、年収800万円の会社員を例に、所得税の計算方法や住民税などについて見てきました。
所得税の税率は、昭和には最高70%までありましたが、消費税導入後、引き下げられてきました。
実際に適用される税率ごとに、どれくらいの割合の方がいるのかを見ると、財務省令和4年度の資料によれば、最低の税率(5%)が適用される方が約6割を占めます。また、8割強の方にとっては、適用される税率は10%以下となっており、アメリカ、イギリス、フランスに比べると所得の低い層には、日本の所得税は有利といえるでしょう。
出典
国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁 平成19年から所得税と住民税が変わりました(税源移譲)
財務省 所得税の負担はどう変化しているのですか?
執筆者:北山茂治
高度年金・将来設計コンサルタント