更新日: 2024.05.28 年収
社会人2年目ですが、給与が「3000円」しか上がりませんでした。「昇給アリ」と聞いていたのに、これって詐欺ではないですか? 想像よりかなり少ないと感じてしまいました…
しかし、職場によっては昇給額が思ったより少ない場合もあるでしょう。今回は、昇給額が3000円の場合に、相場とどれほど違うのかについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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社会人2年目の昇給額はどれくらい?
社会人の昇給額は、前年度の給与をベースにおよそ2%~3%程度が目安といわれています。厚生労働省による「令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」によると、令和5年中の賃金の改定状況をみると、1人平均賃金の改定率は3.2%(うち前年より引上げ3.4%、引き下げ0.2%)、前年は1.9%(うち前年より引上げ2.1%、引き下げ2.4%)でした。
これは会社規模と全従業員すべてを含めた数値のため、社会人2年目は平均より少ない可能性があります。昇給の上昇率2%がどれくらいなのか、以下で計算しましょう。
目安は前年給与の2%~3%
昇給額の適正を見極めるには、前年給与を参考にして計算します。例えば、前年度の月収が総支給額で20万円なら、昇給額の目安は2%で4000円です。3%なら6000円まで上がるため、今回のケース3000円は、総支給額20万円ベースなら低い水準といえます。
ただし、この計算は昇給が年に1回の場合です。例えば4月と10月の2回にわけて昇給が設けられているなら、6000円まで上がる可能性があります。
これは総支給額20万円の3%に相当するため、十分水準に届いているといえるでしょう。今回の昇給額に対し疑問を抱いた場合は、雇用契約書を読み返すか、会社に昇給タイミングを確認してください。
昇給額は勤続年数とポジションによって異なる
昇給割合でみると、前年度の給与によって昇給額は変わってくるため、勤続年数が長いほど多くなります。また、役職がある場合、割合を上げたり、役職手当が付与されたりすることもあるでしょう。
勤続年数が短い新卒の場合、昇給の仕組み上、十分な水準に至るまで数年は必要です。そのため、2年目時点で昇給額が少なくても、勤続年数を重ねることで昇給額が多くなることが期待できるかもしれません。
昇給に法律上の規定はない
昇給に関しては、必ず行わなければならないという法律の規定があるわけではなく、企業の就業規則にのっとって企業側が決めるため、昇給額が低くても違法ではありません。年間の昇給額3000円に不満を抱いても、法的な対処はできないのです。
また、就業規則に「昇給は毎年1回行う」と記載されている場合でも、「会社の業績によっては昇給を行わない」というただし書きがされていれば、必ずしも昇給を行う必要はないと解されています。そのため、昇給がなかったとしても、訴訟によって昇給を望むのは難しいでしょう。
令和時代に昇給3000円は低い?
近年は、度重なる物価高から大幅な賃上げを実施する企業が増えました。特に、2022年から2023年にかけて賃金の引き上げ率が高く、歴史的にみても高水準といえるでしょう。春闘に関する報道などを見ると、2024年にはこの傾向がさらに強まっていると思われます。ここからは、昇給額3000円が現在の水準に適しているか検証します。
令和4年水準なら平均に近い
昇給3000円が年内に2回あるなら、令和4年の平均昇給額に近い水準まで届きます。令和4年の平均昇給額は、全体で5534円、大企業なら6478円です。昇給が年間3000円なら低水準ですが、年2回なら十分水準は満たしています。
2023年に平均賃金が大幅に上がっている
令和5年の平均昇給額は9437円で、年間3000円のおよそ3倍、年間6000円でも1.5倍と差があります。昇給額3000円は令和4年の平均と比較すると低水準でしたが、令和5年と比べるとさらに下回ります。
また、企業規模別でみると、令和5年の大企業の平均昇給額は1万2394円、前年の6478円と比べると2倍近い上昇幅にまで上がっています。中小企業でも7420円~9676円の上げ幅です。昇給額3000円は年2回の実施だとしても、最近の水準には至っていません。
ただし、これらの数値には従業員全員の給与を一律で上げる「ベースアップ」も含まれます。昨今は物価上昇が続いているため、従業員の生活を守るべくベースアップを実施する企業が少なくありません。
数値上は平均昇給額と今回のケースで大きな開きがあっても、実質的な差はもう少し縮まるとみてよいでしょう。
スキルアップで昇給額アップを目指そう
新卒2年目で昇給額3000円は、年1回なら低水準、年2回なら平均です。近年は、ベースアップを実施する企業も増加していることから、来年には大幅な昇給が実現する可能性もあります。
たとえ給与が上がらなくても法的には問題はありません。給与アップを目指すなら、普段の業務をしっかりこなし、スキルアップを目指すのが早道でしょう。
出典
厚生労働省 令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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