高校生の子どもが大学に進学せず、陶芸家に弟子入りすると言っています。そもそも陶芸家で食べていくことは現実的なのでしょうか?
配信日: 2024.06.24
今回は、陶芸家の仕事や必要なスキル、生計を立てるための現実性、キャリアパスについて説明します。陶芸家として成功するためのポイントについても解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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陶芸家について
陶芸家とは焼き物をつくる職人のことです。成形した粘土を釜で焼いて、食器や花器などをつくり、販売しています。原料となる土や石の産地にこだわったり、伝統的な技法を学んだりして、オリジナリティ溢れる作品をつくる仕事です。陶芸家の仕事の流れを説明します。
まずは、茶碗やコップなど、目的や用途に応じて、デザインを考えます。実際に使用している様子をイメージしながら、大きさや形、色、原料などを細かく決定するのがポイントです。
つぎに、細かく砕いた原料に、水を加えて粘土をつくります。デザインをもとに、ろくろなどを使用しながら、粘土の形を整えます。
成形した粘土を窯で素焼きしたあとに行うのが釉薬による色付けや絵具による彩色です。色付けは粘土の素材を活かしながら全体を著色したり、絵や模様を描いたりします。
色付けや彩色を行った後、釜で本焼きをしたら作品の完成です。できあがった作品は個人で直接販売したり、雑貨店などへ卸したりして収入を得ます。
陶芸家に必要なスキル
陶芸家には作品をつくる「器用さ」が必要です。デザインをもとに、大きさや形、色、窯の温度、焼きあげる時間を微調整して、1点ものの作品をつくります。特にデザイン・成形・色塗りの工程では器用さが求められるでしょう。
知識を学んだり、技術を身につけたりする「努力」も欠かせません。原料の産地や成分、伝統技法などを学び、イメージどおりの作品をつくるために練習して腕を磨きます。
陶芸家として生計を立てるためには、作品を販売する努力も肝要です。販売先の開拓や、売れる作品づくりを研究する必要があります。
陶芸家の収入
陶芸家の収入と生計を立てるための現実性について解説します。厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査「第5−1表 産業、年齢階級別賃金及び対前年増減率」によると、製造業の賃金は月30万6000円です。
最も賃金が高い業種は、電気・ガス・熱供給・水道業の月41万200円で、宿泊業、飲食サービス業の月25万9500円が最も低くなっています。陶芸家の月収は約30万円と、まずまずの収入といえるでしょう。
しかし、無名の陶芸家と売れっ子の陶芸家で大きく収入に差があるのが現実です。知名度や技術力が低い状態で独立すると、作品の買い手が見つからず、陶芸家として生計を立てるのは難しいでしょう。
安定した収入を得るためには、窒元や陶器会社に就職して毎月給与を得ながら、経験を積むのが得策といえます。
陶芸家のキャリアパス
陶芸家になるために、必要な資格や免許、学歴はありません。陶芸家のキャリアパスとしては、学校を卒業後、陶芸家に弟子入りするか、会社に就職するケースが一般的です。
修業を重ねて、必要な知識や技術が備わったら独立するケースもあります。陶芸教室やスクールの講師を兼任して生計を立てている陶芸家もいるようです。
陶芸家として成功するためのポイント
陶芸家として成功するために、2つのポイントをご紹介します。
1つめのポイントは、インターネットやSNSを活用しましょう。ハンドメイドサイトや自身のオンラインショップに出品することで、世界中の人に作品を届けられます。また、SNSで作品の情報や思い、工程などを定期的に発信することで、作品や自身のファンを獲得できる可能性があります。
2つめのポイントは、賞を獲得して実績と知名度を高めることです。有名な陶芸家になれば、作品の価格が上がったり、より多くの人に自身の作品を買いたいと思ってもらえたりします。公募展に積極的に参加し、入選もしくは受賞を狙いましょう。
陶芸家として、現実的に食べていくことは可能です。経済的なリスクを減らす方法として、窒元や陶器会社に就職する道もあります。しかし、陶芸家として独立し生計を立てるためには、修業や販売先の開拓などを怠らない努力が必要といえるでしょう。
出典
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー