転職先は「手取り12万円」で、年間休日は「90日」です。時給だと“最低賃金”より低いので、「給与」や「年間休日」を増やしてもらうことは可能でしょうか…?
配信日: 2024.06.26
最低賃金には地域別最低賃金と特定最低賃金の2種類があり、両方が同時に適用される場合には、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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最低賃金に含まれる手当・含まれない手当とは?
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。次の賃金・手当などは最低賃金の計算から除外されます。
・臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
・1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(ボーナスなど)
・時間外割増手当、休日割増手当、深夜割増手当
・精皆勤手当、通勤手当、家族手当
これらを除く基本給と諸手当の部分が最低賃金の対象となります。そのため多くのボーナスや残業代によって賃金が高くても、基本給や諸手当だけでは最低賃金より低い賃金で働いている可能性も考えられます。
手取り12万円は最低賃金よりも低いのか? 低い場合はどうなる?
東京都の場合、最低賃金は時給1113円です。8時間の労働を20日間した場合の額面給与は17万8080円となります。この場合の手取りは約14万円となりますので、手取りが12万円の場合、最低賃金よりも低い賃金で働いている可能性があります。
地方だと最低賃金が最も低いのは岩手県の893円で、8時間労働を月20日間した場合の額面給与は14万2880円となり、手取りが12万円以下となるケースは存在します。
なお、最低賃金未満の賃金で働いていた場合の労働契約において、無効になるのは賃金の部分だけで、契約内容の全てが無効になるわけではありません。
年間休日90日は違法となる可能性がある
労働基準法では休日は少なくとも毎週1日か、4週間を通じて4日以上与えなければならないと定められており、年間52日でも問題ないように思えます。しかし、法定労働時間は1日8時間、1週40時間までと決まっています。
そのため会社は8時間労働の従業員を週に5日、年間(52週)で260日までしか働かせることができません。365日から260日を差し引いた105日が労働基準法による年間休日の下限となります。
そのため年間休日90日は違法となる可能性があります。しかし1日の労働時間が8時間より短い、36協定を結んでいるといった場合は、年間休日が105日を下回っても違法にならない場合もあります。
まとめ
フルタイム労働で手取り12万円以下の場合、東京などの大都市圏であれば最低賃金より低い賃金で働いている可能性があります。手取り額や年収が多くても、残業代やボーナスの金額が大きい場合は注意が必要です。
また、最低賃金より低い賃金で働いている場合は労働契約全てが無効になるわけではなく、賃金の部分のみが無効となり、最低賃金として計算されますので、未払い賃金として請求することも可能です。
そのため賃金以外の年間休日数や仕事内容に不満があっても、その内容が違法でない限りは会社側に是正を強制したり、労働契約自体を無効にしたりすることはできません。
厚生労働省のWEBサイトには、最低賃金額以上か確認する方法が掲載されているので、不安な人は1度確認してみるのも良いでしょう。
出典
厚生労働省 最低賃金制度の概要
厚生労働省 労働時間・休日
厚生労働省 最低賃金額以上かどうかを確認する方法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー