国家公務員のボーナス平均は「66万円」! 民間企業との“差”はどれくらい?「大手・中小企業」のボーナス額と比較
配信日: 2024.07.26
2024年夏のボーナスについて、公務員と民間企業会社員の支給額を調べてみましょう。
執筆者:山田圭佑(やまだ けいすけ)
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
2024年、国家公務員への夏のボーナス額は?
内閣官房の発表によれば、今年の一般職国家公務員(管理職を除く行政職職員)への夏のボーナスの平均支給額(成績標準者)は、約65万9400円です。
支給月数は2.21月、昨年同期のボーナスは2.16月であったので、0.05ヶ月分の上昇となりました。同じく、昨年同期のボーナス平均支給額は約63万7300円であったため、約2万2100円増加しています。
同資料によれば、このボーナス額の上昇は以下の理由により定められたとしています。
・昨年の人事院勧告に基づく給与法改正等により引き上げられた期末・勤勉手当の支給
月数のうち0.05月分が、昨年6月期ではなく、同年12月期の期末・勤勉手当と合わせて支給されたこと
・昨年の人事院勧告に基づく給与法改正等により俸給等が増額したことで平均給与額が増加したこと
国家公務員の給与・ボーナスについては人事院勧告に沿って定められており、人事院によれば、その仕組みは以下のようになっています。
1.人事院が毎年、公務と民間の給与を以下の通り調査する
・公務…一般の行政事務を行っている常勤の行政職俸給表(一)適用職員の給与額
・民間…公務の行政職俸給表(一)と類似すると認められる職種(事務・技術関係職種)の常勤の従業員(企業規模・事業所規模50人以上)の給与額
2.主な給与決定要素を揃えた精密な比較を実施する
3.給与勧告を行う
同様に、国家公務員のボーナスについては、
「民間の特別給(ボーナス)の直近1年間(前年8月から当年7月まで)の支給実績を調査した上で、民間の年間支給割合を求め、これに国家公務員の特別給(期末・勤勉手当)の年間支給月数を合わせることを基本に勧告を行っています。」
とされています。基本的に、民間企業(社員50人以上)のボーナス支給実績にあわせて支給月数が決められているのです。
2024年、民間企業への夏のボーナス額は?
それでは、公務員のボーナス支給額の基準となる、民間企業のボーナス支給額はどの程度だったのでしょうか。
一般財団法人労務行政研究所の調査によると、東証プライム上場企業の2024年夏季賞与・一時金の支給水準は、全114社の単純平均で84万6021円となっています。ただし、これは日本の民間企業の中でも極めて限られた企業の平均値です。
企業向けクラウド型業務システムなどを提供する株式会社フリーウェイジャパンが2024年6月に実施した、中小・零細企業の経営者と従業員、個人事業主を対象としたアンケート調査によれば、2024年夏のボーナスが支給された・支給予定の企業は39.2%です。
昨年度よりも7.9ポイント上昇したものの、支給(予定)額は「10万円~20万円未満」が最多で21.1%、次いで「30万円~40万円未満」が18.4%、「50万円~60万円未満」が15.8%となり、平均額は「約35万円」となっていました。
そもそもボーナス制度がない(29.9%)・ボーナス支給の予定がない(26.8%)という企業も多く、国内の大企業や国家公務員・地方公務員とは大きな差があると言えるでしょう。
まとめ
各種の報道・調査によれば、2024年夏のボーナスについて、一般職国家公務員(管理職を除く行政職職員)の平均支給額(成績標準者)は約66万円、東証プライム上場企業の平均では約85万円、中小・零細企業の平均では約35万円でした。
公務員の給与・賞与は基本的に事業所規模50人以上の民間企業の実績に合わせて決められますので、東証プライム上場企業のボーナス支給額には及ばないものの、中小・零細企業のボーナス支給額よりは大幅に上回ることになります。
日本の民間企業の大部分を占める中小・零細企業においてはボーナスが支給されない場合も多く、公務員と民間の中小・零細企業との収入差が大きくなる要因の一つとなっていると言えるでしょう。
出典
一般財団法人労務行政研究所 東証プライム上場企業の2024年 夏季賞与・一時金(ボーナス)の妥結水準調査
内閣官房内閣人事局 令和6年6月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給
令和5年8月人事院 給与勧告の仕組み
株式会社フリーウェイジャパン フリーウェイジャパン調べ 2024年度 夏のボーナスについてのアンケート(PR TIMES)
執筆者:山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント