更新日: 2024.08.02 年収

年収「1000万円」は損って本当? 一番「得」をする年収はいくら?

年収「1000万円」は損って本当? 一番「得」をする年収はいくら?
年収1000万円と聞くと、裕福で贅沢な暮らしができるのではないかと考える方は少なくないでしょう。裕福な暮らしをしたいという思いから高年収を目指し、ひとまずクリアしたい目標として、年収1000万円を設定している方もいるかもしれません。
 
高年収は一見すると魅力的ですが、実は損をしている場合もあります。今回の記事では、年収1000万円の方はどのような場面で損をしているのか、また一番得をする年収はいくらなのかについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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年収1000万円の割合

まずは年収1000万円以上の方がどのくらいいるのかをみていきましょう。
 
国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、年収1000万円以上1500万円以下の方の割合は3.5%となっています。
 
また、1000万円以上稼ぐ方の割合は合計で4.9%です。
 

年収1000万円が損をすると言われる理由

年収1000万円稼ぐ人はなぜ損をするといわれているのでしょうか。背景には税金や国の制度が関係しています。具体的な内容について解説します。
 

所得控除

所得控除とは、所得額から一定の金額を差し引く制度です。
 
現在の所得控除額は表1のとおりです。
 
表1

給与等の収入金額 給与所得控除
162万5000円まで 55万円
162万5001円から180万円まで 収入金額×40%‐10万円
180万1円から360万円まで 収入金額×30%+8万円
360万1円から660万円まで 収入金額×20%+44万円
660万1円から850万円まで 収入金額×10%+110万円
850万1円以上 195万円(上限)

※国税庁「No.1410 給与所得控除」を基に筆者作成
 
そのほかにも配偶者控除や基礎控除などがあり、家計の状況や年収によって税額が変わります。年収が高くなるほど、納める税金は増えていくことが分かります。
 

高額医療費制度

高額医療費制度とは、1ヶ月の医療費の支払いが一定金額を超えた場合に、超えた分の医療費が払い戻される制度です。
 
医療費の限度額を表2にまとめました。
 
表2

所得区分 自己負担限度額
①標準報酬月額83万円以上の方
報酬月額81万円以上の方
25万2600円+(総医療費-84万2000円)×1%
②標準報酬月額53万~79万円の方
報酬月額51万5000円以上~81万円未満の方
16万7400円+(総医療費-55万8000円)×1%
③標準報酬月額28万~50万円の方
報酬月額27万円以上~51万5000円未満の方
8万100円+(総医療費-26万7000円)×1%
④標準報酬月額26万円以下の方
報酬月額27万円未満の方
5万7600円
⑤被保険者が市町村民税の非課税者など 3万5400円

※全国健康保険協会「高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)」を基に筆者が作成
 
年収約1000万円の方は、自己負担限度額が大きくなるため、医療にかかる出費も増える可能性があると考えられます。
 

一番お得な年収

一番お得な年収は、家庭の構造によって異なります。
 
独身の場合は690万円前後が一番お得である可能性があります。所得税率は694万9000円までが20%、695万円以上が23%となり、たったの3%しか差がありません。独身の場合、公的支援が少ない傾向にあるため、所得税や住民税を抑えることで、お得になる可能性があります。
 
子どものいない共働き世帯の場合は、世帯年収700万円を下回る程度がお得だといわれています。年収が900万円を超えてしまうと、年収の30%が税金でなくなります。配偶者控除を使う場合は、配偶者の年収が103万円を超えてはいけません。夫婦間でバランスを考えながら稼ぐことをおすすめします。
 

賢い稼ぎ方をしよう

年収は高ければ高いほど税金がかかるため、バランスを考えて稼ぐことが重要です。まずは自分がどれほど稼ぎ、税金をどのくらい払っているかについて確認しましょう。高年収を目指すことは仕事のモチベーションになるため重要ですが、税金の制度を理解して賢い働き方をすることも大切です。
 

出典

国税庁 令和3年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-
国税庁 No.1410 給与所得控除
全国健康保険協会 高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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