年収「300万円」から「350万円」にアップしたのに、手取りはほとんど増えませんでした…「50万円」増える程度では意味がないのでしょうか?

配信日: 2024.08.05 更新日: 2025.10.21
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年収「300万円」から「350万円」にアップしたのに、手取りはほとんど増えませんでした…「50万円」増える程度では意味がないのでしょうか?
会社員として働く人の中には、年収が「300万円」から「350万円」にアップした人がいるかもしれません。しかし、実際の手取りがほとんど増えていないことが気になる人もいるでしょう。
 
今回は年収がアップしたのにもかかわらず、手取りがほとんど増えない理由についてご紹介します。
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年収がアップしたのに手取りがほとんど増えない理由

年収が300万円から350万円にアップしたにもかかわらず手取りがほとんど増えないのは、税金や保険料の負担が上がることが関係しています。ここからは以下3つの税金・保険料について、年収との関係を見ていきましょう。
 

・所得税
・住民税
・社会保険料

 
それぞれの内容について、詳しく解説します。
 

所得税

年収が上がったのにもかかわらず手取りが増えない理由のひとつに、所得税があげられます。所得税は累進課税制度が採用されており、年収が増えるとより高い税率が適用される仕組みです。
 
表1

課税される所得金額 税率 控除額
1000円から194万9000円まで 5% 0円
195万円から329万9000円まで 10% 9万7500円
330万円から694万9000円まで 20% 42万7500円
695万円から899万9000円まで 23% 63万6000円
900万円から1799万9000円まで 33% 153万6000円
1800万円から3999万9000円まで 40% 279万6000円
4000万円以上 45% 479万6000円

※国税庁「No.2260 所得税の税率」を基に筆者作成
 
表1より、年収が300万円から350万円に上がると、税率が10%から20%に変わることが分かります。所得税は「課税所得金額×税率-控除額」で計算され、具体的な金額は以下の通りです。
 

・年収300万円:20万2500円
・年収350万円:27万2500円
※各種控除は非考慮

 
年収が350万円になると7万円ほど引かれる所得税も高くなるため、手取りが思ったよりも増えないことに関係しています。
 

住民税

住民税には所得割と均等割があり、年収が増加すると所得割へ影響を及ぼします。総務省によれば、所得割の税率は、所得に対して10%と定められており、この分が手取りへ影響すると考えられるでしょう。
 
単純計算にはなりますが、50万円年収が増えれば、5万円程度は住民税が高くなります。このように税金が高くなることで、手取りが思った以上に増えていないと感じる可能性があるでしょう。
 

社会保険料

社会保険料についても、年収が上がることで影響を受ける部分のひとつです。保険料額は都道府県によって差があるものの、年収が高くなれば保険料も高額になります。
 
今回は全国健康保険協会が発表している「令和6年度保険料額表(令和6年3月分から)」の東京都の保険料額を例に、健康保険料と厚生年金保険料の合計でどのくらいの違いがあるかをまとめました。なお、ボーナスはなしと仮定して、年収を12で割った数値で計算しています。
 

・年収300万円:3万3936円
・年収350万円:4万2420円
※介護保険第2号被保険者に該当しない場合・折半額

 
上記のことから、年間で10万2000円ほどの負担が増加すると考えられるでしょう。
 

年収が50万円アップすると税金などの負担が増えるため手取りの増加も実感しにくい

年収が50万円アップすると、その分税金や社会保険料の負担も増えてしまいます。そのため、手取りの増加が実感しにくい可能性は十分に考えられるでしょう。
 
今回は各種控除やボーナスを考慮せずに計算しましたが、それだけでも年間で22万円ほどは税金などの負担が増える結果となりました。さらに、実際にはボーナスが増える企業もあると考えられるため、手取りの増加はより実感しにくいでしょう。
 
これらのことを加味したうえで、自分の年収が実質どのくらい上がっているのかを計算してみるとよいかもしれません。
 

出典

国税庁 No.2260 所得税の税率
総務省 地方税制度 個人住民税
全国健康保険協会ホームページ
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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