更新日: 2024.08.28 年収
39歳の会社員、友人に「40歳になると手取りが減る」と言われました。現在の年収は「450万円」なのですが、いくら減りますか? 収入を増やせば手取りは変わらないでしょうか?
本記事では、40歳になると手取り金額が減るケースが多い理由、また、今後も自身が使える収入を維持するためには額面金額をいくら上げる必要があるのかについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
40歳以上になると手取りが減る理由
40歳以上になると手取りが減ってしまう理由は、今までは対象外であった介護保険料の負担が始まるためです。介護保険料は40歳になった月から徴収され、会社員の場合は健康保険料と同様に企業と折半するので全額負担するわけではありません。
介護保険の被保険者は、「65歳以上が対象の第1号被保険者」と「40歳以上65歳未満が対象の第2号被保険者」に分けられます。どちらもいざというときに介護サービスを受ける権利を持っていますが、第2号被保険者は加齢に伴う疾病が原因で要介護や要支援認定を受けた場合に限られます。
介護保険料は毎年見直され、協会けんぽでは2024年3月分からの一般被保険者の介護保険料率は1.6%です。これを2分の1ずつ従業員と企業が負担します。
具体的にいくら減る?
では具体的にいくら手取りが減るのでしょうか。協会けんぽが公表している東京都の健康保険・厚生年金保険の保険料額表をもとに、報酬月額37万5000円(標準報酬月額38万円)と仮定してシミュレーションしてみましょう。
介護保険料の徴収がない場合、健康保険料の自己負担額は1万8962円です。厚生年金保険料は3万4770円で合わせて5万3732円控除されます。
これが、40歳以上となり介護保険料の徴収が始まると全体の保険料率は11.58%となり、折半額は2万2002円となります。厚生年金保険料と合わせると5万6772円です。40歳未満と比べると月額3040円の負担増となり、その分手取り金額が減少します。
実際には社会保険料とは別に所得税や住民税なども控除され、手取り金額の目安は一般的に「額面金額の75%から80%程度」とみなされることも少なくありません。「手取り金額=額面金額×75%」で額面金額が37万5000円の場合は、28万1250円となります。
収入を増やせば手取り金額は減らない?
「月額3000円程度の負担が増えるなら、その分稼げば今までと同程度の手取り金額を維持できる」と考える人もいるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。というのも社会保険料率は実際の収入金額ではなく報酬月額の範囲によって定められる標準報酬月額をもとに計算され、累進課税によって報酬が上がると税負担も増えるからです。
例えば、報酬月額が39万5000円になると「手取り金額=額面金額×75%」の場合は29万6250円となり、見た目の可処分所得は増加します。ただし、社会保険料は標準報酬月額41万円として計算され、介護保険料を含む健康保険料は2万3739円、厚生年金保険料は3万7515円となり、折半合計金額は6万円を超えます。
もちろん、「報酬規模が上がると社会保険料の負担が増えるから損」というわけではありません。例えば、厚生年金保険は加入期間と納付する保険料によって将来受け取る年金額が変わります。納付する保険料が多くなるほど老齢厚生年金額に反映されるため、保険料を多く支払うのは無駄ではありません。
とはいえ、手取り金額は日々の生活に直結するといっても過言ではないため、「同一標準報酬月額の範囲内で報酬月額を最大化させ、社会保険料の負担感を抑える」のも1つの考え方です。
例えば、標準報酬月額38万円は「37万円から39万5000円未満」の人が対象です。そのため、現在37万5000円だと39万4999円に近づけるほど手取り金額の減少を抑えられる計算となります。
まとめ
本記事では、40歳になると介護保険料の徴収が始まるため、手取り金額が減少するケースが多いことを解説しました。
社会保険料の標準報酬月額は実際の収入金額との間に大きな差が出ないようにするため、原則4月から6月の3ヶ月間の報酬内容をもとに毎年見直されます。そのため、残業などで一時的に収入が増えて標準報酬月額の区分が変わると総合的に損する可能性もあるので注意してください。
出典
全国健康保険協会(協会けんぽ) 協会けんぽの介護保険料率について
全国健康保険協会(協会けんぽ) 令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
日本年金機構 定時決定(算定基礎届)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー