「年収1000万円」は本当に高年収ですか? わが家は「年収500万円×2」の共働きなのですが、子どもがいて余裕はありません。もう少し“裕福な暮らし”ができると思っていました…

配信日: 2024.08.30

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「年収1000万円」は本当に高年収ですか? わが家は「年収500万円×2」の共働きなのですが、子どもがいて余裕はありません。もう少し“裕福な暮らし”ができると思っていました…
世帯年収1000万円と聞くと「大台」を達成した裕福な家庭を想像しがちかもしれませんが、実際の生活ぶりはどのようなものなのでしょうか。
 
本記事では、最新の調査を参照しながら、「世帯年収1000万円」の暮らしをシミュレーションしてみます。
山田圭佑

執筆者:山田圭佑(やまだ けいすけ)

FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

2024年現在、「世帯年収1000万円以上」の世帯は意外と多い?

まず、「世帯年収1000万円」の家庭は、現在の日本ではどれくらい存在するのかを確認してみましょう。
 
厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によれば、わが国において世帯年収1000万円を超える世帯は全体の11.7%です。約9世帯に1世帯が「世帯年収1000万円」を達成していると考えると、意外に多いと思うかもしれません。
 
しかも、この数字は「高齢者世帯」(65歳以上の者のみで構成するか、またはこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯)を含んでいますので、世帯主や配偶者が現役で働いている世代に限ると「世帯年収1000万円」を達成している家庭の割合は大きく上昇します。
 
具体的には「高齢者世帯以外の世帯」に限ると全体の17.4%、「児童(18歳未満の未婚の者)のいる世帯」では26.6%と、実に4世帯に1世帯以上が「世帯年収1000万円以上」となっています。
 
最近のインフレに伴う賃金上昇も考えていくと、2024年においては「世帯年収1000万円以上」を達成している現役世代の割合は、さらに高くなっていると予想されます。
 
デフレ期の感覚では「世帯年収1000万円」の家庭は数少なく、非常に裕福であるというイメージがあったと思いますが、現在ではそこまで珍しいものではなくなってきています。子育てをしている家庭に限れば4世帯に1世帯以上が当てはまる「ちょっと生活に余裕がありそうな家庭」程度になっているようです。
 

「年収500万円×2人」共働き世帯の暮らしぶりは?

ここでは、事例として「年収500万円×2」で共働きし、16歳未満の子どもを1人養っている世帯の手取り収入額や暮らしぶりをシミュレーションしてみましょう。住民税率・社会保険料率等については東京都在住者の水準とし、世帯主・配偶者ともに40歳未満(介護保険料はかからない)とします。
 

収入:500万円(給与収入のみ)
所得税:約10.2万円
住民税:約24.4万円
厚生年金:約45万円
健康保険:約24.5万円
雇用保険:約3万円
 
年間手取り額:約392.9万円

 
年収500万円×2人で家計を支える世帯の場合、年間手取り額は392.9万円×2=785.8万円、ボーナス等を勘案せず単純に12で割ると、月間手取り額では約65.5万円となります。これに児童手当(月額1万円、年間12万円)を加えると、月間手取り額は「約66.5万円」です。
 
また、2023年における家計調査「年間収入十分位階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出・二人以上の世帯のうち勤労者世帯」によると「世帯年収1000万円程度」(上位から2番目、世帯年収平均額は1055万円)の世帯において、1ヶ月あたりの主な支出費目・金額は以下の通りです。
 

食糧費:9万8248円
光熱水道費:2万5027円
家具・家事用品:1万6579円
被服費:1万5607円
保険医療費:1万6423円
交通・通信費:6万8798円
その他消費支出:7万2370円
 
小計:31万3052円

 
これらに加え、住居を賃貸している場合は東京23区内であればファミリー向け物件で毎月15~30万円程度、子どもが習い事をしたり私立学校に通っている場合などは毎月5~10万円程度の追加支出が必要になると考えられます。
 
仮に住居費に25万円、教育費に5万円を支出しているとすると、そのほかの支出が平均的であったとしても、月間総支出は61万円を超えます。
 
これでは月間手取り額が66万円以上あっても、「生活に余裕がある」とはとても言えない状況です。万が一の事態に備え、家計の見直しを行っていくことが重要になっていくでしょう。
 

まとめ

2023年時点において「世帯年収1000万円以上」の世帯は全体の11.7%、「児童のいる世帯」に限れば26.6%を占めています。「世帯年収1000万円」の家庭は、実はそれほど珍しいものではなくなってきており、抜きん出て裕福な家庭であるとは言えなくなっている状況です。
 
子育て中の共働き世帯おいては、子どもの教育などに費用がかかるほか、両親が多忙であることから外食や家事サービスを頻繁に活用するなどの出費がかさんでいることも考えられます。「年収1000万円」とは言え、本当に余裕のある生活を送れている家庭は、想像より少ないかもしれませんね。
 

出典

厚生労働省 2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況
総務省 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 1世帯当たり1か月間の収入と支出 2-5 年間収入十分位階級別 2023年
 
執筆者:山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

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