更新日: 2024.09.17 年収

高校生の娘が、「卒業後は大学に行かず公務員になりたい」と言っています。進学したほうが“収入が高い”と思うのですが、年収はどれだけの差になりますか?

高校生の娘が、「卒業後は大学に行かず公務員になりたい」と言っています。進学したほうが“収入が高い”と思うのですが、年収はどれだけの差になりますか?
景気に左右されにくく、安定した給与をもらえることで人気の公務員。しかし、高校生の娘から「卒業したら進学せず、すぐに公務員として働きたい」と言われたら、「大学を卒業してからのほうが高年収を期待できるのでは?」と気になる人もいるかもしれません。
 
本記事では、高校卒と大学卒の公務員の年収の差について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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高校卒と大学卒の年収の差とは?

高校卒業後と大学卒業後各1年目から公務員になった場合、初任給やその後の年収がいくらくらいになるのかを確認していきましょう。総務省が公表している「令和5年 地方公務員給与の実態」を基に、都道府県の一般行政職として就職したと仮定して比較します。
 
図表1

勤務年数 高校卒平均年収 大学卒平均年収 高校卒と大学卒の
平均年収差
1年以上5年未満 322万6000円 408万2000円 85万6000円
5年以上10年未満 387万5000円 484万8000円 97万3000円
10年以上15年未満 463万円 574万4000円 111万4000円
15年以上20年未満 548万4000円 678万1000円 129万7000円
20年以上25年未満 638万6000円 746万8000円 108万2000円
25年以上30年未満 714万7000円 790万円 75万3000円
30年以上35年未満 749万4000円 809万9000円 60万5000円
35年以上 770万1000円 838万3000円 68万2000円

総務省 令和5年 地方公務員給与の実態を基に筆者作成
 
図表1の通り、どの勤続年数の区分でも大学卒のほうが年収は高くなっており、最も年収差がある「15年以上20年未満」の時期だと「約130万円」も差が出ることが分かります。
 
年収が高いのは大学卒ですが、生涯年収総額はどのくらい違うのでしょうか。60歳まで働くと仮定すると、高校卒の場合は41年、大学卒の場合は37年働くことになります。図表1を基に、生涯年収を計算してみると以下の通りとなります。

■高校卒の場合

(322万円×5年)+(387万円×5年)+(463万円×5年)+(548万円×5年)+(638万円×5年)+(714万円×5年)+(749万円×5年)+(770万円×6年)=2億3725万円

■大学卒の場合

(408万円×5年)+(484万円×5年)+(574万円×5年)+(678万円×5年)+(746万円×5年)+(790万円×5年)+(809万円×5年)+(838万円×2年)=2億4121万円

高校卒のほうが働いている期間は4年間多いですが、生涯年収は大学卒よりも396万円低いことが分かります。この差をどう見るかは人によって異なるかもしれませんが、高校卒のほうが大学卒よりも、初任給やその後の年収、生涯年収もやや下回っているといえます。
 

高校卒で就職するメリット・デメリット

高校卒で就職する場合のメリットとデメリットについても見ていきましょう。まずメリットとして挙げられるのは以下の通りです。

●経済的に早く自立できる
●大学への進学費用がかからない
●社会人キャリアを長く、多く積める

就職をすれば給料がもらえるようになるため、親の扶養を出て自分で生活し、自分の思う通り自由にお金を使えるようになります。また大学卒よりも早く社会人になるため、社会人としてのキャリアをより長く、多く積むことができます。
 
一方でデメリットとして以下のものが考えられます。

●年収や生涯年収が大学卒よりも低くなる
●応募できる仕事が制限される傾向にある
●大学卒に比べてキャリアアップがしにくい可能性がある

先ほど比較したように年収と生涯年収は大学卒のほうが高くなっていることや、公務員の仕事内容によっては「大学卒業」を要件としている職種・職務があるため、選択肢が大学卒よりも少なくなる可能性があります。
 

公務員における高校卒と大学卒の年収差はやや大きい

今回は公務員における高校卒と大学卒の年収差について解説しました。年収では最も年収差がある時期で高校卒のほうが大学卒よりも約130万円下回り、生涯年収で比較するとのほうが396万円低くなっています。まずは子どもに高校卒で就職するメリット・デメリットを十分理解したうえで就職を希望しているかどうかを確認してみましょう。
 

出典

総務省 令和5年地方公務員給与の実態 第8表 団体区分別、会計別、職種別、学歴別、経験年数別職員数及び平均年間給与
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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