更新日: 2024.09.22 年収
42歳で年収は「450万円」です。日本の平均年収は稼げていると思うのですが、年齢的には“低い”でしょうか…?
本記事では、日本の給与所得者の平均年収を解説します。平均値だけでなく、中央値の重要性なども織り交ぜながら解説しますので、参考にしてください。
執筆者:松尾知真(まつお かずま)
FP2級
日本人の平均年収はどれくらい?
給与所得者約5000万人の平均年収については、国税庁が公表している「民間給与実態統計調査」(以下、国税庁調査)で確かめられます。令和4年中に支払われた給与額から年収を考えると、給与所得者の年収平均は458万円となっており、男女別にみると男性は563万円、女性は314万円です。
他にも転職・求人サイト大手「doda」では、2022年9月から翌年8月の期間に「doda」に登録した約63万人の平均年収を公表しており、その結果では約414万円となっています。これらの調査から、もし年収が450万円であれば、ほぼ日本人の平均年収と同額か、それ以上と考えて差し支えないでしょう。
もう少し細かく年齢階層別に見れば、国税庁調査の40歳から44歳の平均年収は491万円、doda調査の40代の平均年収は511万円です。そのため、この数字だけを見れば、42歳で年収450万円の人は「自分の年収は、年齢を考えると少し安い」と感じるかもしれません。
実態をリアルに映すのは平均値ではなく中央値
では「450万円」という年収は、40代あるいは42歳という年齢を考えた場合、本当に低い年収なのでしょうか。実は年収の実態をつかむのであれば、平均値ではなく、中央値のほうが実態に近いとも考えられます。中央値とは、調査の数値を並べたときに、ちょうど真ん中に来る値のことです。
なぜ、中央値のほうがより実態に近いと考えられるのでしょうか。それは平均値においては、ボリュームの多くない高額の年収を得ている人が、平均値を押し上げている可能性があるからです。
国税庁調査での中央値はわかりませんが、例えば「doda」では調査結果の分布が示されており、年収のボリュームゾーンは300万円台で、全体の32%にも及びます。ちょうど真ん中の年収は約360万円で、平均値の414万円に比べ約87%と10%以上安くなっており、この数値がよりリアルな実態に近いとも考えられます。
さらに「doda」の調査を年代別に見てみると、40代の年収中央値は450万円です。国税庁調査の40歳から44歳の年収平均491万円を、「doda」と同じ比率で中央値に逆算すると、491万円×87%=427万円となります。
表にすると図表1のとおりですが、これらの結果から「42歳で450万円」の年収は、平均より少なくても、中央値で見ると、むしろ標準的な年収と考えて差し支えないでしょう。
図表1
年収平均値 | 年収中央値 | |||
---|---|---|---|---|
全体 | 40代 | 全体 | 40代 | |
国税庁「民間給与実態統計調査」 (調査対象約5078万人) |
458万円 | 491万円 ※注1 |
398万円 ※注2 |
427万円 ※注2 |
転職・求人サイト大手「doda」 (調査対象約63万人) |
414万円 | 511万円 | 360万円 | 450万円 |
国税庁「民間給与実態統計調査」及び転職・求人サイト大手「doda」による年収の平均値と中央値の違い 筆者作成
※注1 40~44歳の数値を採用
※注2 「doda」における平均年収414万円と年収中央値360万円の比率約87%から逆算
まとめ
自分の年収が他の人と比べて多いのか少ないのか、また年齢を考えたときに相応な金額なのか気になる人も多いでしょう。しかし、どの程度の収入が必要かは、個人の生活スタイルによっても大きく違うものです。
周りとの比較ではなく、自身の暮らしの収支を考えながら、貯蓄などで少しでも資産を形成していくことのほうが重要です。まずは今の生活を点検して、年収だけでなく支出面の見直しも実践してみてはいかがでしょうか。
出典
国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査
doda 正社員の年収中央値は?男女別・年齢別・都道府県別にも解説
執筆者:松尾知真
FP2級