更新日: 2024.09.26 年収

いわゆる「年収の壁」が気になって思うように働けません。扶養内で最大限に働く方法はありますか?

いわゆる「年収の壁」が気になって思うように働けません。扶養内で最大限に働く方法はありますか?
パートやアルバイトで働いていると、「年収の壁」が気になるという方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。収入が増えると税金や社会保険料が発生してしまうため、特定の金額がボーダーラインとして「年収の壁」などと呼ばれています。
 
「年収の壁」を気にしないで働く方法はないのでしょうか。そこで、この記事では「年収の壁」と政府の取り組みについてまとめました。「年収の壁」の具体的な内容や、政府による「年収の壁・支援強化パッケージ」について解説したので、ぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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「年収の壁」とは

「年収の壁」とは税金や社会保険料が発生しないように、年収を抑えようと意識する金額のボーダーラインのことです。政府広報オンラインによると、さまざまな「年収の壁」が存在しますが、社会保険制度加入における年収の境界線としては「106万円の壁」「130万円の壁」が挙げられます。
 
厚生労働省によれば、「106万円の壁」は勤務先の企業規模によって、健康保険・厚生年金保険への加入義務が発生する年収、「130万円の壁」は国民健康保険や国民年金の保険料支払いが発生する年収のボーダーラインです。
 
この「年収の壁」を少し超えて働いてしまうと社会保険料の負担が発生するため、結果として手取り収入が減少してしまいます。「年収の壁」で手取りの収入を減らさないために、働く時間を調整される方も少なくありません。こうした現状は労働者の収入アップを阻害するだけでなく、企業の人手不足を助長する原因として問題になっています。
 
そこで政府は対策として、2023年10月から「年収の壁・支援強化パッケージ」の実施をスタートしました。
 

年収の壁・支援強化パッケージ:「106万円の壁」対策

厚生労働省によると、「106万円の壁」対策として労働者を雇用する企業向けに、キャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」が新たに設置されました。内容としては、年収106万円を超えて働いて、新たに社会保険加入となった労働者の手取り収入を減らさない取り組みを行った企業に対して、助成金が交付される制度です。
 
政府から労働者に直接お金が支給される制度ではありませんが、企業側から手当の支給や労働時間の延長などの対応が期待できます。この制度を活用する企業であれば、労働者は「106万円の壁」を意識せずに働くことが可能でしょう。
 

年収の壁・支援強化パッケージ:「130万円の壁」対策

「130万円の壁」への対策も、支援内容に含まれています。厚生労働省によると、パートやアルバイトで働く方が繁忙期などで一時的に収入が上がって年収130万円を超えてしまっても、事業主がその旨を証明することで、引き続き扶養に入り続けることが可能である、という記載がありました。
 
一時的な収入変動であることを事業主に証明してもらう必要はありますが、この制度を活用できれば、扶養内で最大限に働くことができるでしょう。
 

「年収の壁」を超えるメリット

ただし、「年収の壁」を超えると社会保険に加入することになるので、労働者にとって大きなメリットがあります。代表的なメリットについて、厚生労働省の資料を基に、以下にまとめました。
 

・老後の年金額が増える
・傷病手当金がもらえる
・出産手当金がもらえる

 
このように、老後や病気などに備えるための保障内容が充実します。「年収の壁・支援強化パッケージ」が適用される企業に勤めている方であれば、手取り収入を減らさずに社会保険のメリットを受けることが可能となります。手取り収入が減ってしまうなどのイメージが強い社会保険ですが、加入するメリットが多くあることも認識しておきましょう。
 

まとめ

「年収の壁」の問題が解消されれば、労働者は収入を気にしないで働けるようになります。企業としても、貴重な労働力を確保することが可能です。
 
「年収の壁」で困っている方は、政府による支援策の内容や条件を改めてチェックしてみましょう。そのうえで、「106万円の壁」や「130万円の壁」を超えて働いても収入が減らないか、勤務先に確認してみることをおすすめします。
 

出典

政府広報オンライン 「年収の壁」対策がスタート!パートやアルバイトはどうなる?
厚生労働省 『年収の壁について知ろう』 2 「年収の壁」とは(11ページ)、(参考)社会保険への加入のメリット(医療保険)(20ページ)、(参考)社会保険への加入のメリット(年金)(21ページ)
厚生労働省 年収の壁・支援強化パッケージ
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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