年収は600万円が一番コスパいいってよく聞きますけどなぜでしょうか? 800万円以上の収入だとどんなデメリットがあるのですか?

配信日: 2024.12.11

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年収は600万円が一番コスパいいってよく聞きますけどなぜでしょうか? 800万円以上の収入だとどんなデメリットがあるのですか?
年収が高くなると生活に余裕が生まれる一方で、税金の支払いや手当の制限も増えるため、必ずしも「高年収=メリットが多い」とはかぎりません。日本の税制には累進課税制度が採用されており、収入が増えるほど税率が上がります。
 
年収600万円は税負担を比較的抑えられ、手取りが多く確保できると耳にしたことがある人もいるでしょう。一方、年収が800万円を超えると税金の負担が増加したり、年金や手当の支給要件に制限がかかったりするとの声も聞きます。
 
本記事では、年収600万円がコスパよいといわれる理由と、年収800万円のデメリットについて紹介します。
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年収がアップすると税金も増える

収入が増えれば手取りも増えると考えがちですが、実際には税金が増加します。日本では「累進課税制度」が採用されており、所得が増えるほど高い税率が適用されます。そのため、年収が上がれば引かれる税金も増加し、収入が増えても手元に残る金額が少ないと感じるケースが増えるでしょう。
 
総所得から必要経費や各種控除(扶養控除、社会保険料、生命保険料など)を差し引いた残額が課税所得となり、税率がかけられて所得税が計算されます。収入が増えれば課税所得も増え、超過累進課税方式により一定金額を超えた部分に対して高い税率が適用されるため、税率が高くなります。
 

年収600万円はコスパがよいといわれる理由

年収600万円がコスパがよいといわれる理由は、収入に対する手取りの割合が高く、税負担が上の収入帯よりも比較的軽くなるためです。日本では累進課税制度により収入が増えるほど高い税率が適用されますが、600万円程度の年収であれば、累進課税の影響が抑えられます。
 
なお、課税所得が195万円から330万円未満の範囲であれば所得税率が10%になり、この範囲に該当する年収600万円は所得税の負担が比較的軽く、手取り額が大きく確保できるといわれています。また、社会保障や補助金などの受給も満額受けられる可能性が高いため、生活費に余裕を持ちながら手元にお金が残る年収とされているのです。
 

年収800万円以上のデメリット

年収が800万円を超えると、税金や年金に関する負担や制限の増加といったデメリットが生じます。特に年収が850万円以上になると、所得税や住民税の増加だけでなく、遺族年金や加給年金といった公的支援も一部制限されるケースがあります。
 
また、年収910万円を超えると高等学校等就学支援金が受けられなくなり、年収960万円を超えると児童手当も受けられなくなります。そのため、高収入が必ずしも手取りや将来の補償に有利になるとはかぎりません。
 

所得税と住民税の負担が増す

年収が850万円を超えると、所得税や住民税の負担がさらに大きくなります。2020年に改定された基礎控除や給与所得控除の制度変更により、高収入帯の税負担が増加しました。特に扶養家族がいない高所得者層への影響が顕著です。一方、子育てや介護を行っている家庭は所得金額調整控除の対象になり、税負担が一部軽減されるケースがあります。
 

遺族年金が支給されない

遺族基礎年金や遺族厚生年金は、亡くなった方に経済的に支えられていた遺族に対して支給される年金です。ただし、受給者の前年の年収が850万円を超えるか、所得が665万5000円を超える場合、遺族年金の受給資格を失うことがあります。
 
ただし、およそ5年以内に定年退職などで年収850万円未満になると見込まれ、要件を満たすと判断される場合もあります。
 

加給年金・振替加算がなくなる

老齢厚生年金の受給者で、扶養する配偶者や子どもがいる場合に支給される加給年金や、配偶者が65歳になった際に支給される振替加算も、配偶者や子どもの年収が850万円未満か所得が655万5000円未満の条件を満たしていなければと対象から外れます。年収が850万円以上の妻を持つ夫は加給年金の受給対象外になります。
 

年収が高くなると税金の負担が増え手当が減る

年収が増加すれば手取りも増えると思われがちですが、実際には税金や手当の制限が増える傾向です。
 
年収600万円はコストパフォーマンスがよく、手取りを多く確保できる年収帯といわれる一方で、年収が850万円を超えれば税負担が増加し、加給年金や振替加算、遺族年金などの手当が制限されることがあります。負担しなければならない税金額や、生活に必要な手取り額を考えたうえで、受け取る年収の金額を調整するとよいでしょう。
 

出典

国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁 No.1411 所得金額調整控除
厚生労働省 遺族年金制度
日本年金機構 加給年金額と振替加算
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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