公務員はなぜ「ボーナス」をもらえる? 会社の「利益」に応じてもらえるはずなのに、役所の仕事も利益は出ているの?
配信日: 2024.12.14
本記事では、公務員にボーナスが支給される理由や、その目的について解説します。
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
目次
ボーナス豆知識
ボーナスは「賞与」とも呼ばれます。国税庁によると、賞与は「定期の給与とは別に支払われる給与等」のことをいい、「賞与、ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当等の名目で支給されるものその他これらに類するもの」と規定されています。企業によって呼び方は異なるものの、毎月の給与とは別の「特別な支給」という扱いになっています。
一般的には、年に1~2回支給されることの多いボーナスですが、実はボーナスは労働基準法による支払い義務がありません。そのため、企業によってボーナスを年に何回支給するのか、そもそも支給するのかどうかなど対応が異なります。民間企業に勤務している人は、自分の会社のボーナスについて就業規則や労働契約書を確認するようにしましょう。
公務員のボーナスは法律で規定されている
民間企業のボーナスは、労働基準法での規定や言及がないのは先ほど解説した通りです。一方、公務員のボーナスについては「一般職の職員の給与に関する法律」および「人事院規則」にて規定されています。これらによると、基準を満たした職員には「期末手当」「勤勉手当」を支給することとなっており、支給日も6月30日、12月10日と定められています。
なぜ公務員にも民間と同じようにボーナスが支給されるの?
業績や利益に応じて支給される民間企業のボーナスに対して、公務員のボーナスは「期末手当」「勤勉手当」といったように、業務に対する評価報酬として支給されます。このような手当てによって、個々の勤務成績を評価し、優れた成績を上げた職員に高い報酬を与えることで、仕事へのモチベーションを高めることにつながるのです。
また、一般的に民間企業でボーナスが支給されているため、公務員にも同様にボーナスに当たる賞与を支給することで、給与水準の公平性を保つという側面もあります。
公務員の質アップは公共サービスの向上にもつながる
もしも公務員にボーナスがなかったら、どうなるのか考えてみましょう。仮に同じように「月給20万円」の民間企業と市役所があった場合、ボーナスありの民間企業とボーナスなしの市役所のどちらに、あなたは就職したいですか。
公務員の仕事は、国や自治体の運営を支える重要な業務であり、国民や住民に充実した公共サービスを提供するためにも、優秀な人材の確保が必要不可欠です。給与を理由に、優秀な人材が民間企業にばかり就職し、公務員のなり手が少ない、質が落ちてしまうといったことが起きないよう、民間企業と給与の水準を一定程度揃え、ボーナスを含む給与制度を整えておくことが重要な手段のひとつなのです。
公務員のボーナス支給にはちゃんとした理由があった!
公務員のボーナスは、法律によって支給が定められています。公務員のボーナスは、民間企業のボーナスとは少々性格が異なり、職員の業務遂行に対する評価として支給されています。
ときどき公務員のボーナスに対する否定的な意見も聞かれますが、ボーナスをはじめとした公務員の待遇を下げることは、公共サービスの低下にもつながってしまう可能性があります。公務員へのボーナスの支給は、国や自治体の運営の安定的性を確保するために、不可欠な仕組みともいえるでしょう。
出典
国税庁 No.2523 賞与に対する源泉徴収
e-Gov法令検索 一般職の職員の給与に関する法律
e-Gov法令検索 人事院規則九―四〇(期末手当及び勤勉手当)
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級