「うちはお金がない」と母に言われて育てられてきました。父は部長なのですが、そんなに給料が高くないのでしょうか?
配信日: 2025.01.26 更新日: 2025.01.27
しかし、「お金がない」と聞くと収入が足りていないのではないか、と考える方もいるでしょう。そこで今回は、部長クラスの平均給与と40~50代にかかる支出、「お金がない」と親が言う背景について考察します。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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部長クラスの平均給与はどれくらいなのか
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」によると、部長クラスの平均給与は59万6000円、さらに男性の場合であれば60万4100円です。部長クラスの男性は、年収が725万円ほどある可能性があり、ボーナスが加算されるとさらに増えるでしょう。
同調査によると、非役職者の男性の平均給与は31万1900円のため、部長クラスの方は一般の社員の倍近い給与をもらっていると考えられます。そのため、父親が部長の場合、給料は高いと考えられるでしょう。
また、平均勤続年数や平均年齢は10年ほど違い、部長クラスの男性の平均年齢は52.9歳です。特に子どものいる家庭は子どもが成長し、よりお金が必要な世代でもあると考えられます。
家族が多ければ生活費の出費は必然的に増えるため、毎月安定して収入を得る必要があるでしょう。
40~50代にかかる平均的な支出
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、2人以上世帯の1ヶ月の平均消費支出は、世帯主の年齢が40~49歳で32万3660円、50~59歳が34万8025円です。全体の平均が29万3997円となっており、50代の平均消費支出額は全体で最も高い金額になっています。
これは、住宅ローンや子どもの教育費にお金がかかるタイミングであるためだと考えられます。実際に、総務省統計局の「家計簿からみたファミリーライフ」によると、2023年における2人以上世帯の年間教育関係費は、40代が42万4331円、50代が45万9128円です。
特に40代は塾などの補習教育、50代は大学生の子どもがいる家庭も増えていることが想定され、仕送りや授業料の支出がほかの年代よりも高い傾向があります。
加えて、現在は物価高騰により食費などもかさみやすいため、支出は今後も増加する可能性があるでしょう。
なぜ「お金がない」と言うのか
部長クラスの平均給与から、50代の世帯の平均消費支出額を引くと、手元には25万円ほど残ります。子どもから見ると、25万円はかなり大金だと感じるでしょう。それでも、親が「お金がない」と言うのは、以下の理由が考えられます。
●老後の資金を貯めなければいけない
●子どもの教育費を準備しておく必要がある
●住宅ローン支払いが完了していない
●幼少期にがまんも大切だということを理解してもらう
●収入はあるが、自由に使えるお金は少ない
40~50代は、「人生の3大支出」が重なる時期ともいわれています。人生の3大支出とは、住宅・教育・老後のための支出です。老後資金は一般的に60代から必要となるため、40~50代で本格的に貯蓄する必要があるでしょう。
また、住宅ローンもまとまった収入のあるうちに完済したいと考える方が少なくありません。そのため、40~50代は支出の正念場でしょう。
特に自身が幼少期の頃は、父親も非役職社員で今ほど給料をもらっていなかった可能性もあります。月給が31万円ほどのときから、住宅ローンの返済を始めたり、子どもの教育資金を貯めたりするとなると、必然的に自由に使えるお金は減るはずです。
「お金がない」と考える金額は人それぞれですが、「遊びや娯楽に使えるお金はほとんどない」ため、そのように言っている可能性もあるでしょう。
お金がない=収入が少ないとは限らない
「お金がない」と言っているからといって、収入が少ないとは限りません。というのも、厚生労働省の調査によれば、部長クラスの男性は月に60万円程度の収入を得ている可能性があり、非役職社員に比べて倍近く稼いでいます。そのため、一般的に考えると高収入でしょう。
しかし、収入が多いからといって、自由に使えるお金ばかりとは限りません。生活費はもちろん、40~50代は、教育費や住宅ローンの返済、老後資金の準備など、人生の3大支出が重なる時期といわれています。
親が「お金がない」と言っているのは、常に一定額の支出や貯蓄が必要であるため、遊びや娯楽に使えるお金は少ない、とも考えられるでしょう。
出典
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査の概況 結果の概要 1 一般労働者の賃金(7)役職別にみた賃金(14ページ)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 I 家計収支の概況(二人以上の世帯) 1 二人以上の世帯の家計消費 表I-1-2 世帯主の年齢階級別消費支出額(二人以上の世帯)-2023年-(7ページ)
総務省統計局 家計調査 家計簿からみたファミリーライフ 第4章 年齢階級別に見た暮らしの特徴 二人以上の世帯 3.40歳代及び50歳代で多い教育関係費
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー