「50代半ば」で収入が「2~3割」も減る!? 「役職定年」の仕組みと影響とは?

配信日: 2025.02.22

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「50代半ば」で収入が「2~3割」も減る!? 「役職定年」の仕組みと影響とは?
「役職定年」という言葉を耳にしたことのある人もいるでしょう。「役職定年」は「定年退職」とは異なり、会社を退職するわけではありませんが、キャリアや収入に大きな影響を及ぼす可能性があります。
 
そこで今回は、企業が役職定年制度を導入する理由やメリット、役職定年になる人への影響などについてご紹介します。役職定年を数年後に控えている人は、今後の生活のシミュレーションのためにも参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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役職定年とは

人事院の「民間企業における役職定年制・役職任期制の実態」によると、役職定年制とは「役職段階別に管理職がラインから外れて専門職などで処遇される制度」とされています。
 
つまり、一定の年齢になった時点で管理職などの役職から外れ、一般職や専門職になることだと考えられます。役職定年制は、会社側にとってさまざまなメリットがある一方で、対象者にとってはあまり好ましくない制度でもあるようです。
 

役職定年を導入している企業の割合

人事院の「民間企業の勤務条件制度(令和5年調査結果)」によると、役職定年制を導入しているのは、事務・技術関係職種の従業員がいる企業全体では16.7%です。
 
ただし、企業規模が大きくなるほど導入割合は高くなる傾向があります。企業規模別の割合を示したものが表1です。
 
表1

企業規模 役職定年制を導入している割合
500人以上 27.6%
100人以上500人未満 18.4%
50人以上100人未満 10.7%

※人事院「民間企業の勤務条件制度(令和5年調査結果)」を基に筆者作成
 
また、役職定年の年齢設定を見てみると、55歳と設定されている割合が部長級では33.5%、課長級では40.3%となっています。全体的に、役職定年の年齢設定を55歳に設定している企業が最も多い傾向にあるようです。
 
ただし、定年退職の年齢設定を61歳以上にしている企業では、部長級・課長級ともに役職定年の年齢を60歳とする割合が最も高くなっています。このことから、企業の役職定年の年齢は、その企業が定める通常の定年退職の年齢と密接に関連しているといえそうです。
 

企業側から見た役職定年のメリット

役職定年制が浸透してきているのは、企業にとってメリットが大きいためだと考えられます。企業のメリットとして考えられるのは、次の3つです。


・組織内の若返りを図れる
・各社員の能力を最大限に活かせる配置転換ができる
・人件費の適正化ができる

組織を維持していくためには、常に若返りを図り続ける必要があると考えられます。そのために役職定年制を導入することによって、企業の新陳代謝を定期的に促せる可能性があります。
 
また、管理職手当の見直しにより、企業の収支バランスを維持できる場合もあるでしょう。ただし、役職定年制は企業のメリットとなる一方、対象となる社員のモチベーション低下につながる可能性があるという課題も存在するようです。
 

役職定年で給与はどれくらい下がるのか

役職定年後、多くの会社では給与水準が下がる傾向にあります。特に、元々の給与の75%~99%まで下がる企業が最も多く、およそ8割の企業に上るというデータもあります。例えば、役職定年前の年収が600万円だった場合、その75%の450万円まで下がってしまう可能性があるということです。
 
収入の減少は、仕事に対するモチベーションが下がってしまう原因の1つとなる可能性があります。モチベーションを下げずに働くためにも、役職定年前から、役職定年後のビジョンを明確に持っておく必要があるでしょう。
 
そのためにも、あらかじめ役職定年後の給与がどの程度になるのか、仕事内容に変化があるのかといったことを会社側に確認しておくことがポイントです。転職して新たな道を模索する方法や、社内でモチベーションを維持できるような仕事を見つけるなど次のアクションを起こしやすくなる可能性があります。
 

役職定年になると給与が下がるだけでなくモチベーションが下がる可能性も|役職定年前に、今後のプランを立てておこう

役職定年とは、一定の年齢になると管理職などの役職から外れることを指します。
 
役職定年することで、給料が下がるおそれや、仕事に対するモチベーションの低下などが起こる可能性もあるでしょう。役職定年後もモチベーションを維持し続けるためにも、役職定年前から将来のプランを立て、どのように働きたいかをイメージしておきましょう。
 

出典

人事院 民間企業における役職定年制・役職任期制の実態
人事院 民間企業の勤務条件制度(令和5年調査結果)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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