物価高騰のなか、給与って上がっているの?実際に「引き上げ」を実施した企業はどのくらい?
配信日: 2025.02.27

しかし、自身の生活では、給料が上がっていると感じにくい人もいるかもしれません。そこで今回は、平均年収の増加率や実際に給与の引き上げを行っている企業の割合、年収を上げる方法についてご紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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現在の平均年収
国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者全体の平均年収は459万5000円でした。では、過去10年さかのぼって、平均年収の推移を確認してみましょう。
表1
平均給与 | 前年からの伸び率 | |
---|---|---|
平成26年 | 420万9000円 | ― |
平成27年 | 423万4000円 | 0.6% |
平成28年 | 425万円 | 0.4% |
平成29年 | 433万6000円 | 2.0% |
平成30年 | 439万1000円 | 1.3% |
令和元年 | 438万4000円 | -0.2% |
令和2年 | 435万1000円 | -0.8% |
令和3年 | 445万7000円 | 2.4% |
令和4年 | 457万6000円 | 2.7% |
令和5年 | 459万5000円 | 0.4% |
出典:国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」を基に筆者作成
令和元年と2年は平均年収が前年比で減っていますが、それ以外は徐々に伸びており、平成26年と比べると、40万円弱、割合にしておよそ9%伸びていることになります。
賃金を引き上げた会社の割合
全体の平均年収は上がっているものの、すべての企業が賃金を引き上げているとは限りません。賃金を引き上げた企業の割合も、確認してみましょう。
厚生労働省の「賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、令和5年中に賃金を引き上げた企業は全体の89.1%。しかし、企業規模や産業によって、賃金改定率に違いがあるようです。
例えば、企業規模5000人以上の企業では引き上げた企業が97.3%に上るのに対し、企業規模100人~299人の企業では87.4%と9.9%の差があります。さらに、産業別の賃金引き上げを実施した企業は、企業規模以上の開きがあります。
表2は、「賃金引上げ等の実態に関する調査」を基に産業別に賃金を引き上げた割合が高い上位3種と下位3種を表にしたものです。
表2
産業 | 平均賃金を引き上げた割合 |
---|---|
建設業 | 99.7% |
製造業 | 97.4% |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 92.9% |
生活関連サービス業、娯楽業 | 79.4% |
宿泊業、飲食サービス業 | 77.4% |
運輸業、郵便業 | 71.0% |
出典:厚生労働省「賃金引上げ等の実態に関する調査」を基に筆者作成
建設業では、99.7%と100%に近い数字となったのに対し、運輸業、郵便業では、71.0%と建設業と比べ28.7%少ない数字となっています。
年収を上げる方法
10年前と比べ、多くの企業が賃金アップを行い、平均年収も増えています。しかし、なかには、賃金アップできていない企業があることも事実です。では、年収を上げるためには、どのような方法があるのかを考えてみましょう。
考えられる方法としては「転職する」「昇進・昇給を目指す」「副業を始める」などがあります。
転職する場合は、事業拡大が見込める企業など賃上げの可能性が高い企業を選ぶ、賃上げ率の高い産業を選ぶなど、転職先の選定がポイントです。転職目的が給料アップなのか、仕事内容ややりがいなのかといったことを考えて選びましょう。
現在の会社で昇進や昇給を目指す場合は、スキルアップや資格の取得、昇給しやすい部署への移動を申し出るといった方法が考えられます。
副業が許可されている企業であれば、クラウドソーシングを利用して、副業を始めることも1つの方法です。
令和5年に賃金引き上げをした企業は89.1%!平均年収は上昇傾向にある
厚生労働省の「賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、令和5年の賃金の引き上げをした企業は全体の89.1%です。また、平均年収も徐々に増えてきており、10年前の平成26年と比べおよそ9%上昇しています。
しかし、すべての企業が賃金引き上げできているわけではありません。自身の給料がそれほど増えていないと感じる場合は、給料アップが見込める業種への転職や副業などを検討するのも1つの方法です。
出典
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査 Ⅱ1年を通じて勤務した給与所得者 2平均給与(第8表)平均給与 (15ページ)
厚生労働省 賃金引上げ等の実態に関する調査:結果の概要 令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況 1賃金の改定の実施状況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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