4月から新社会人になる子どもから「生活費が不安だから仕送りが欲しい」と言われました。一人暮らしの生活費は「初任給」を上回るのでしょうか?
配信日: 2025.02.28

そこで本記事では、新社会人の平均初任給と平均支出額などを解説します。仕送りの必要性を検討する参考としてご活用ください。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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平均初任給は23万6000円
パーソルキャリア株式会社「2022年 初任給実態調査の詳細レポート」によると、2022年の新規卒業者の平均初任給は23万6000円、平均手取りは19万7000円でした。
ただし、初任給は学歴によっても異なります。同資料によると、最終学歴が大学院修了者、大学卒業者、専門学校卒業者の平均年収は、表1の通りです。
表1
学歴 | 平均初任給 |
---|---|
大学院修了者 | 24万8000円 |
大学卒業者 | 23万2000円 |
専門学校卒業者 | 19万7000円 |
出典:パーソルキャリア株式会社 Job総研「2022年 初任給実態調査の詳細レポート」を基に筆者作成
なお、手取りは額面の8割程度が目安とされます。この割合を表1の金額に適用した場合、大学院修了者の手取りは19万8400円、大学卒業者の手取りは18万5600円、専門学校卒業者の手取りは15万7600円です。
なお、初任給はそれ以降の給料に比べて引かれる額が少ないようです。そのため、実際の手取り額は、上記の値を多少上回ると考えていいかもしれません。
34歳以下・単身世帯の平均支出は約15万8000円
総務省の2022年「家計調査」によれば、34歳以下の単身世帯の平均消費支出は、月15万8198円です。調査元が異なる点には留意するべきですが、前述の学歴別の収入と比べると、専門学校卒業者の推定平均手取り(15万7600円)を上回ります。
また、物価の高い地域に住んでいる場合は、平均を上回る支出が生じるかもしれません。こうした不足分を補うために、仕送りを求めるケースもあると考えられます。
ただし、平均消費支出15万8198円のなかには、娯楽や趣味などに投じられる「教育娯楽費」(平均2万1908円)も含まれます。削減の余地がある可能性もあるため、節約を徹底すれば、より少ない金額でも生活できるかもしれません。
子どもへの仕送りは平均9万2000円
子どもの初任給や生活費によっては、仕送りをしなければならない場合もあるでしょう。その場合のポイントが金額です。
厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」によると、仕送り対象が子どものみの場合の平均月額は、9万2000円です。金額の分布は表2のようになっており、10万円以上が約5割を占めます。生活費の不足分だけでなく、けがや病気などによる突然の出費に備えるためのお金も含まれているかもしれません。
表2
仕送り額 | 割合 |
---|---|
2万円未満 | 約2.69% |
2~4万円 | 約12.96% |
4~6万円 | 約19.41% |
6~8万円 | 約10.61% |
8~10万円 | 約8.8% |
10万円以上 | 約45.53% |
出典:厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」を基に筆者作成
ただし、同調査における「子ども」には学生も含まれます。社会人よりも学生の方が仕送り額が高いと考えられるため、社会人に限った平均額は9万2000円を下回る可能性があります。
平均前後の初任給があれば生活費を賄えると考えられる
2022年の平均初任給は23万6000円、想定される手取りは19万7000円です。一方、34歳以下の単身世帯の平均消費支出は、月15万8198円となっています。したがって、平均レベルの手取りがあれば、消費支出を賄えると考えられます。
ただし、平均初任給は学歴によっても異なります。例えば、専門学校卒業者の場合、平均手取りが平均消費支出を下回る可能性もあるようです。
なお、今回使用したデータはいずれも2022年のものです。初任給の引き上げや物価の高騰などにより、現在は状況が変化している可能性もあるため注意が必要です。
出典
総務省統計局 政府統計の総合窓口(e-Stat)
家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表(2022年) 第2表
令和4年国民生活基礎調査 世帯 第57表 06 仕送りの状況(第56表~第61表) 仕送りをしている世帯数-1世帯当たり平均仕送り額,仕送り額階級・仕送り先別
パーソルキャリア株式会社 Job総研「2022年 初任給実態調査の詳細レポート」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー