40歳で「年収600万円」に! でも意外と「手取り」が少なくてビックリ!? 税金・保険料でどれだけ引かれてるの?「手取り・貯蓄可能額」をシミュレーション
配信日: 2025.03.15

「年収600万円」から引かれる税金・保険料の総額を計算してみるとともに、「手取り額」から生活費にかかる金額を引いた「貯蓄可能額」を求めてみましょう。

執筆者:山田圭佑(やまだ けいすけ)
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
「額面年収600万円」から引かれる税金・保険料は?
額面年収600万円、東京都在住で40歳の一人暮らしサラリーマンを例に取り、1年間に差し引かれる税金・保険料を計算してみましょう。国税庁、日本年金機構および全国保険協会の情報をもとに計算すると、1年間に差し引かれる各種の税・保険料は以下の通りになります。
所得税:18万7200円
住民税:30万4700円
健康保険料:29万9400円
厚生年金:54万9000円
雇用保険:3万6000円
介護保険:4万8000円
合計:142万4300円
手取り額:457万5700円
税・保険料が差し引かれた結果、手取り額は額面年収の約76.3%である457万5700円まで減少します。月額に直すと約38万円程度となり、やや物足りないと感じる人もいるのではないでしょうか。
同様の条件で、給与所得者の平均年収である額面年収460万円で税金・保険料の天引き額と手取り額の計算をすると以下の通りとなります。
所得税:9万7600円
住民税:21万5100円
健康保険料:22万7544円
厚生年金:41万7240円
雇用保険:2万7600円
介護保険:3万6480円
合計:102万1564円
手取り額:357万8436円
額面年収460万円の場合の手取り額は357万8436円、額面年収の約77.8%となります。所得の金額が低い場合は、所得税の累進課税制度の影響で手取り額の割合は若干高くなりますが、そのほかの社会保険料や雇用保険料などは定率であるために、手取り額の割合の変化はそれほど大きくありません。
介護保険を含む社会保険料だけでも給与の約15%が差し引かれますので、その影響が手取り額に大きく影を落としてしまうことが見て取れます。
額面年収600万年の3人家族。およその消費支出を除いた「貯蓄可能額」はどの程度?
それでは、額面年収が600万円で、収入のない配偶者と小学生の子どもを1人扶養している家庭が1年間に貯蓄できる金額はどの程度になるでしょうか。この場合、家族を扶養することで税の控除額が増えるために、1年間に差し引かれる各種の税・保険料は以下の通りになります。
所得税:14万9200円
住民税:27万1700円
健康保険料:29万9400円
厚生年金:54万9000円
雇用保険:3万6000円
介護保険:4万8000円
合計:135万3300円
手取り額:464万6700円
手取り額は約465万円と、扶養家族がいない場合よりも8万円程度増加します。一方で、東京都が発表している令和5年東京都生計分析調査報告の「用途別生計支出」によると、年収600万円以上800万円以下の勤労者世帯の平均生計支出は1ヶ月あたり約30万4000円、年間で約365万です。
単純にこれを差し引くと、額面年収600万円の家庭が1年間に貯蓄できる金額は100万円程度と計算できますが、この統計では生計支出の住宅費のうち「土地家屋借金返済」が含まれていないことに注意が必要です。
住宅ローン返済中の家庭の場合は可処分所得がかなり減少するために、別に貯蓄をすることができる余裕は相当少なくなると言えそうです。
まとめ
額面年収600万円の場合でも、税金・保険料を控除した手取り額は460万円程度となります。東京都において年収600万円の家庭が1年間に生計で消費する金額は365万円程度であるため、計算上は年間100万円近くの貯蓄ができますが、住宅ローン返済中である場合などは、さらに貯蓄を積み立てていくことはかなり難しくなりそうです。
出典
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
東京都 都民のくらしむき(年報)令和5年
執筆者:山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント