就職活動中の大学生です。「公務員」と「民間企業」のどちらを選ぶべきか悩んでいます。生涯年収に大きな差はあるのでしょうか?
配信日: 2025.03.29

「安定と収入、どちらを優先すべきなのか……」、この問いに答えを出すために、公務員と民間企業の生涯年収を比較しながら、それぞれの特徴や向いている人の傾向も見ていきましょう。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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公務員と民間企業、年収はどれくらい違うのか?
まずは、実際の年収水準について確認してみましょう。国家公務員の生涯年収は役職によって異なり、一般職で約2億円、総合職で約2億4000万円と考えられます。地方公務員の生涯年収は自治体の規模などによって異なり、約2億~2億5000万円です。
一方、民間企業の平均年収は、国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査結果」によると、460万円(男性569万円、女性316万円)となっています。ただし、これはあくまで平均的な数字です。
例えば、外資系や高収入の業種ではこれより高くなる一方で、中小企業や非正規雇用の割合が高い業種では低くなることが考えられます。つまり、生涯年収に関していえば、「どの民間企業を選ぶか」によって、公務員との差は大きくも小さくもなるというのが実情です。
公務員のメリットは雇用の安定性と充実した退職金・福利厚生
公務員の最大の魅力は、やはり雇用と収入の安定性です。景気に左右されにくく、リストラの心配がほとんどないため、長期的な生活設計が立てやすいのが特徴です。
年功序列型の給与体系が一般的ですが、近年では成果主義的な要素も取り入れられつつあります。20代のうちは民間より年収がやや低くても、40代以降にはじわじわと追いつく傾向もあります。
また、退職金制度や共済年金、福利厚生が手厚い点も大きな魅力です。昇進は試験制度によるものが多く、実力主義ではあるものの、一定の年数を勤めれば安定したキャリアが築けるという安心感は公務員ならではです。
ただし、職務内容は法律や規則に基づくものが多く、従来は柔軟性や創造性を生かす機会は限られがちでした。しかし、近年では行政改革や地方創生の取り組みなどにより、新しい発想や挑戦が求められる場面も増えています。
それでも、民間企業と比べると変化のスピードは緩やかであり、「挑戦したい」「変化を楽しみたい」と考える人には、少し物足りなさを感じるかもしれません。
民間企業は収入の振れ幅が大きい
一方、民間企業で働くメリットは、業績や成果に応じて収入が大きく伸びる可能性があることです。
特に、成長産業や成果主義が浸透している一部の業界では、20代後半〜30代で年収1000万円超えを目指すことも可能です。ストックオプションやインセンティブなど、報酬体系にも多様性があります。
また、多くの民間企業では職場環境やキャリアパスの自由度が比較的高く、転職や独立などの道も開かれています。スピード感ある業務を通じて、自己成長を実感しやすいのも民間企業の特徴の一つです。
ただし、企業の業績悪化によるリストラや雇い止めのリスクは公務員に比べて高く、安定性では劣る面もあります。また、出世や昇給はポジションの競争を勝ち抜く必要があるため、精神的なプレッシャーもつきものです。
結局どちらがいい? 向いている人のタイプとは
公務員と民間企業のいずれかが正解ということはなく、それぞれに向いているタイプがあります。以下で、それぞれに向いているタイプの人を見ていきましょう。
・安定した雇用と収入を望む人
・社会貢献意識が高い人
・規律やルールに沿って丁寧に仕事を進めるのが得意な人
・長期的な視点で仕事に取り組める人
・チームワークを重視する人
・成果を出して収入を伸ばしたい人
・変化や挑戦が好きな人
・柔軟な発想や創造性を生かしたい人
・競争的な環境で働くことを好む人
・市場の動向に敏感で、迅速な意思決定ができる人
つまり、自分が「どんな働き方を望むのか」「将来何を重視したいのか」によって選ぶべき進路が変わってきます。生涯年収の金額だけにとらわれず、「自分にとっての働く意味」をじっくり考えることが、後悔しない選択につながるでしょう。
まとめ
公務員と民間企業では、生涯年収にある程度の差はあるものの、民間のほうが必ずしも有利とはかぎりません。どんな企業・職種を選ぶかによって差は大きく変わりますし、公務員には公務員ならではの安定した魅力があります。
年収や待遇も大切ですが、最終的には「自分がどう働きたいか」「どんな価値観を大切にしたいか」が進路選びのカギになります。焦らず、しっかり自己分析をして、自分に合った道を見つけていきましょう。
出典
人事院 令和6年国家公務員給与等実態調査の結果
総務省 令和5年 地方公務員給与の実態
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー