夫以上に稼いでいる妻はどのくらいいる? 日本の世帯年収もあわせて解説

配信日: 2025.03.28

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夫以上に稼いでいる妻はどのくらいいる? 日本の世帯年収もあわせて解説
近年、共働き夫婦世帯の数は増加傾向にあり、夫婦のいる世帯全体の約7割を占めるといわれています。しかし共働きの場合、妻と夫では収入に格差があるようです。夫以上に収入を得ている妻はどれくらいいるのでしょうか。
 
本記事では、共働き夫婦の収入格差を調査してみました。世帯年収の平均や共働き世帯の収入構成にも触れるので、参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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共働き世帯の収入格差はどれくらい?

参議院常任委員会調査室が総務省の統計を基に行った調査によると、現在の日本では、夫と妻の双方が高収入を得ている世帯はかなり少ないとあります。
 
結婚相手の経済力を重視する女性の割合が多く、経済力を男性に期待する傾向にあることから、現状では夫の方が高収入という世帯が多いようです。表1は、参議院常任委員会調査室の「パワーカップルなど結婚にまつわる収入の格差について」から抜粋した「夫と妻の所得階級別に見た共働き世帯数」です。
 
表1

表1

参議院議員常任委員会調査室・特別調査室「パワーカップルなど結婚にまつわる収入格差について」
 
表1を見ると分かるように、妻の所得は夫の所得よりも低く、300万円以下に集中しています。夫の所得を妻が上回る世帯は、夫の所得300万円から399万円で約14万4800世帯、400万円から499万円で約9万5100世帯、500万円から599万円で約5万7200世帯です。
 
夫の所得が600万円以上になるとさらに減少し、600万円から699万で約2万9100世帯、700万円から999万円では約1万800世帯となります。
 
妻の所得200万円以下の世帯数と比較して、妻が夫の所得を超えるケースは非常に少ないといえるでしょう。
 

既婚女性の収入は未婚女性よりも低くなる傾向に

また、同じく参議院常任委員会の調査では、既婚女性の収入は未婚女性よりも低くなる点が留意されています。調査によると、30・40代の未婚女性の所得は200万円から249万円、または300万円から399万円の階級で高い比率が見られます。
 
しかし、同年代の既婚女性では50万円から99万円が最も高い比率となり、次に多いのが100万円から149万円です。この結果からは、結婚・出産・育児などの理由で離職した女性は、「年収の壁」を意識したパートやアルバイトとして働く人が少なくないのだろうという見解が述べられています。
 

共働き世帯の平均年収

共働き世帯では、妻の収入が低めであることが分かりましたが、共働き世帯の年収はどれくらいになるのでしょうか。総務省の「2023年 家計調査(家計収支編)二人以上の世帯」を基に計算すると、2023年度の共働き世帯の平均年収は約831万円でした。
 
一方、夫のみが収入を得ている世帯の年収は約635万円で、共働き世帯の方が収入は高くなる傾向にあります。ただし、これらの金額は、社会保険料や税金を差し引く前の額面となるため、実質の手取りは上記とは異なります。
 
なお、日本の世帯年収を所得で見た場合、厚生労働省の2023年の調査によると、1世帯あたりの平均所得額は524万2000円、中央値は405万円です。平均以下の所得世帯が全体の62.2%を占め、一部の高収入世帯が平均を押し上げているようです。
 

共働きの収入構成

共働きの収入構成は、日本生活協同組合連合会の「家計・くらしの調査 年次報告書 2022」では、年代によって若干の差が見られます。夫の年収は30代から50代にかけて増加して平均約630万円である一方で、妻の年収は約211万円と半分にも満たない状況です。
 
特に、妻の年収は30代から50代にかけて減少傾向にあり、夫は正規雇用が主となるのに対し、妻は非正規雇用が多いことが背景にあると推測されます。
 

夫に以上に稼ぐ妻の割合は世界最低レベル

経済協力開発機構(OECD)の統計調査によると、男女の賃金格差は2022年の時点で21.3%でした。2021年のOECD平均が11.4なので約2倍の賃金格差があることになります。
 
また、国際比較調査グループのISSP(International Social Survey Programme)が過去に行った国際比較の統計調査「夫と対等以上の収入がある妻の割合」では、夫に対する妻の収入比率は最低レベルだったことから、依然として日本における女性の就業の在り方が問われていることが分かります。
 

夫よりも妻が稼ぐケースは極めて少ないのが現状

日本の男女間の収入格差は世界的に見ても大きく、妻が夫より多く稼ぐケースはかなり少数です。その背景には、女性の正規雇用率の低さが指摘されています。既婚女性が正規雇用を得られるよう、働きやすい環境の整備が求められるでしょう。
 

出典

参議院常任委員会調査室・特別調査室 パワーカップルなど結婚にまつわる収入の格差
政府統計の総合窓口(e-Stat)家計調査 / 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表
経済協力開発機構(OECD) 雇用見通し 2024 国別報告書: 日本
経済協力開発機構(OECD) ジェンダーギャップダッシュボード
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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