「フライトナース」は「一般の病院の看護師」と年収は違う?どのような“資格”や“経験”が必要?
配信日: 2025.03.28

そこで今回は、フライトナースの年収や必要な資格・経験について調べてみました。フライトナースの仕事内容もご紹介しますので、参考にしてください。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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フライトナースとは? 一般の病院の看護師と年収は違う?
フライトナースは、ドクターヘリに搭乗して救急患者のもとへ駆けつけ、フライトドクターの治療をサポートしたり同伴する家族に寄り添って不安を和らげたりする任務を行います。患者を円滑に搬送するために、現場の消防・救急隊員やパイロットなどに協力を依頼する役割もあります。
認定NPO法人救急ヘリ病院ネットワーク HEM-Netによると、2024年2月時点でドクターヘリは全国47都道府県に57機が配備されているとのことです。フライトナースは、ドクターヘリが配備されている病院の救命救急センターに所属し出動要請に備えつつ、出動時以外では看護師の後方支援を行います。
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」を基に看護師の平均年収を算出すると以下の通りです。
・きまって支給する現金給与額:35万2100円
・年間賞与その他特別給与額:85万6500円
・年収換算:508万1700円
実際の年収は、勤務先や勤務年数などによって異なるでしょう。フライトナースの場合は、ドクターヘリを配備している大規模な病院に勤務することになり、さらに危険搭乗手当や特殊勤務手当などが発生して、看護師の平均よりは高くなることが考えられます。
一例として、フライトナース勤務のある求人を調べてみたところ、基本給は27万9000円~34万1200円(夜勤月4回と資格手当などを含む)に設定されていました。ボーナスは年に2回、それぞれ基本給2ヶ月分が支給されます。これを基に推定年収を算出すると、446万4000円~545万9200円です。
フライトナースになるために必要な資格や経験とは?
フライトナースになるには、ドクターヘリを配備する病院に看護師として勤務する必要があります。基本的に救命救急センターに所属している看護師から選ばれるようです。
厚生労働省の「ドクターヘリの安全な運用・運航のための基準」によると、フライトナースは以下のすべての要件を満たすことが望ましいとされています。
・救急医療の臨床経験と知識を有すること
・心肺蘇生法および外傷初期治療について十分な知識と技術を有していること
・ドクターヘリ事業従事者研修等を受講していること
また日本航空医療学会フライトナース委員会では、フライトナース選考基準を以下のように策定しているようです。
・看護師経験5年以上救急看護経験3年以上、または同等の能力が望ましい。リーダーシップがとれる
・ACLSプロバイダーおよびJPTECプロバイダー、もしくは同等の知識と技術を有している
・日本航空医療学会が主催するドクターヘリ講習会を受講している
これに加えて、勤務先の病院が定める選出基準を満たす必要があると考えられます。
フライトナースの仕事内容
とある病院では、フライトナースの1日を紹介しています。これを基にすると、仕事内容は大きく以下の2つに分けられるようです。
・救急処置に必要な物品の忘れがないよう、使用する薬品や医療器具をチェック
・ドクターヘリ内の電子機器に不具合がないか確認し、無線の音声チェック
・フライトドクターや操縦士などとともに、天候や運用時間などを情報共有
・ERで手伝いをしつつ、ドクターヘリの出動要請に備える
・ドクターヘリの要請があると屋上ヘリポートへ移動し、数分以内に離陸
・機内で無線を使って基地病院より情報収集を行い、フライトドクターと打ち合わせて必要な物品を準備
・着陸したら救急隊と接触し、救急車内で患者の診察および救命処置を行う
・患者を収容して基地病院へ帰還し、行った処置、経過、バイタルなどを次の看護師へ申し送り
・機内の物品補充や洗浄を行い、次のフライトに備える
・使用した物品やバイタル、時間経過など、フライト記録をつける
・ドクターヘリの運用についてスタッフと共有し、問題点があれば次のフライトへ向けて改善
フライトナースの年収は危険搭乗手当や特殊勤務手当などで看護師の平均より高くなる可能性あり
フライトナースはドクターヘリに搭乗して、フライトドクターのサポートをしたり同伴する家族のケアをしたりします。厚生労働省のデータによれば看護師の平均年収は508万1700円ですが、フライトナースの場合は危険搭乗手当や特殊勤務手当などがついて、看護師の平均よりは高くなる可能性が考えられます。
フライトナース勤務のある求人を基に推定年収を算出したところ、446万4000円~545万9200円でした。実際の年収は、勤務先や本人の年齢、勤続年数などによって異なるでしょう。
フライトナースになるためには、ドクターヘリを配備している病院の救命救急センターに所属することが一般的です。「看護師経験5年以上救急看護経験3年以上」など選出基準を満たしたうえで、フライトナースに選ばれる必要があります。ドクターヘリを配備している病院が限られていることから、狭き門であるともいえるでしょう。
出典
政府統計の総合窓口(e-Stat) 厚生労働省 賃金構造基本統計調査/令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
認定NPO法人 救急ヘリ病院ネットワーク HEM-Net ドクターヘリを知る 拠点
厚生労働省 ドクターヘリの安全な運用・運航のための基準 II. ドクターヘリにかかわる施設・設備、要員等の基準 5. 事業者が配置すべき医療要員(以下医療クルー)(8ページ)、資料3:フライトナースラダーについて(19ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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