「都庁職員」と「道府県庁職員」に年収の違いはある?人事委員会のデータからみえる公務員の収入形態
配信日: 2025.03.31 更新日: 2025.04.01

今回は、東京都と北海道の人事委員会データを基に、都庁職員と道庁職員の給与水準や待遇の違いについて詳しく解説していきます。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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都庁と道庁の給与水準の実態
都庁職員と道庁職員の給与水準を具体的な数値で比較してみましょう。下記の表1は、両者の基本的な給与データを比較したものです。なお、都庁職員の推定年収は、月額給与に12ヶ月を乗じた額に、賞与(月額給与×4.85ヶ月分)を加算して算出しています。
表1
区分 | 都庁職員 | 道庁職員 |
---|---|---|
平均給与月額 | 4万8830円 | 約4万4000円 |
基本給 | 32万4823円 | 約32万円 |
地域手当 | 6万6924円(20%) | ー |
平均年齢 | 41.5歳 | 34.8歳 |
年間賞与 | 4.85月分 | 4.45月分 |
推定年収 | 約690万円 | 485万円 |
令和6年東京都人事委員会勧告、北海道職員採用情報より筆者作成
※都庁職員の推定年収は月額給与×12ヶ月+賞与(月額給与×4.85ヶ月分)より算出
※北海道職員の月額給与は年収485万円÷12≒404000円として概算
表2
役職 | 年収 | 平均年齢 |
---|---|---|
一般職員 | 485万円 | 34.8歳 |
係長級 | 737万円 | 48.8歳 |
課長補佐級 | 829万円 | 53.6歳 |
課長級 | 993万円 | 55.3歳 |
次長級 | 1097万円 | 56.6歳 |
部長級 | 1175万円 | 56.8歳 |
北海道職員採用情報「道職員の一般行政職キャリアパスモデル」より筆者作成
給与構造の特徴と地域差
都庁職員の給与体系における特徴は、地域手当の高さです。基本給の20%が地域手当として支給されることにより、実質的な月収を押し上げる要因となっています。
一方、北海道職員の場合、地域手当の支給地域は限定的ですが、寒冷地手当など地域特性を反映した独自の手当制度が整備されています。このような地域特性に応じた手当の違いが、年間収入の構造に影響を与えているのです。
計算例
地域手当(基本給の20%):66924円/月
寒冷地手当(11月~3月の5ヶ月間支給)
1級地:29400円/月
2級地:26000円/月
3級地:25100円/月
※北海道人事委員会「令和6年 給与勧告等の概要」
同じ地方公務員でも、地域による生活環境の違いが給与体系に反映されていることが分かります。
キャリアパスと給与の変化
都庁職員は主事級から始まり、主任、係長、課長代理、課長級へと昇進していきます。各級において求められる職責は段階的に高度化し、それに応じて給与水準が上昇していく仕組みです。給料表は1級から5級まで設定され、職員の経験や能力の向上に合わせて上位の級へ昇格できる制度が整備されています。
一方、北海道職員の給与は、キャリアの進展に伴って着実に上昇していきます。一般職員として採用された後、係長級、課長補佐級、課長級と順次昇進していく中で、職責の重要性に応じた給与体系です。
専門性の育成とキャリア形成
北海道では、特徴的な二つの育成制度を導入しています。一つは専門人材育成型で、特定の行政分野における専門性を重視する一方で、農政や総務などの分野別に早期から育成を行い、スペシャリストの養成を目指しています。
もう一つは早期人材育成型で、将来の幹部候補生を早期に選抜し、省庁派遣など特別な経験機会を提供しながら、政策形成能力の向上を図る制度です。
給与格差の背景にある要因
都道府県間の給与差が生じる背景には、地域による生活費の違いがあります。東京都の物価水準は全国平均より高く、特に大きいのは住居費の負担です。また、民間給与との比較も重要な要因です。東京都には大手企業が集中し、民間給与水準が高い傾向にあります。
一方、北海道では地域の民間給与水準が相対的に低めです。さらに、行政需要の違いも影響しています。首都である東京都では、国や他の自治体のモデルケースとなる先進的な政策立案が求められ、より高度な専門性や責任が必要です。
公務員の給与には地域特性が影響する
都庁職員と道庁職員の給与を比較すると、基本給の水準は近いものの、地域手当や独自の手当制度により、実質的な収入に差が生じていることが分かります。
今後、単に給与水準の維持だけでなく、職員の専門性向上や人材育成の視点も重要です。東京都では先進的な政策立案能力が求められたり、北海道では地域に根ざした専門性が求められたりするため、それぞれの地域ニーズに合わせた人材育成が必要となっています。
出典
東京都人事委員会事務局 令和6年東京都人事委員会勧告
北海道総務部人事局人事課 北海道職員採用情報(道職員の一般行政職キャリアパスモデル)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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