初任給が「手取り16万円」の新入社員です。求人票では「月給20万円~」だったのに、それより低いのはなぜですか?

配信日: 2025.04.01

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初任給が「手取り16万円」の新入社員です。求人票では「月給20万円~」だったのに、それより低いのはなぜですか?
新社会人として初めて給与明細を受け取ったとき、「思っていたよりも手取りが少ない」と感じたことがある方も多いのではないでしょうか。これは、給与から社会保険料や税金が差し引かれているためです。
 
この記事では、給与明細の基本的な見方と、控除の仕組みについて詳しく解説するとともに、手取り額の計算方法についても具体例を交えて説明します。
FINANCIAL FIELD編集部

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給与明細の基本的な見方

給与明細は、大きく分けて以下の4つの項目で構成されています。

・額面給与(総支給額):雇用契約で定められた給与額
 
・控除額:各種税金や社会保険料
 
・勤怠:欠勤や遅刻・早退などで働けなかった時間分の控除
 
・手取り額:実際に振り込まれる金額

額面給与が20万円の場合、控除額を差し引いた手取り額はおおむね16万円前後です。次の項で、控除額の内訳を説明していきます。
 

主な控除費目

給与から控除される費目には、社会保険と税金があります。月給20万円の場合の、詳しい控除費目を見ていきましょう。
 

社会保険料

表1は社会保険料の種類と控除額をまとめたものです。社会保険料には、健康保険、厚生年金保険、雇用保険などが含まれます。
 
表1

種類 月給20万円の場合の控除額
健康保険料(東京) 約1万円
厚生年金保険料 1万8300円
雇用保険料 1200円
合計 約2万9500円

※筆者作成
 
40歳以上になると、上記に加えて介護保険料も徴収されます。
 

税金

下表2のとおり、税金には、所得税と住民税が含まれます。ちなみに、住民税は1年目は徴収されません。
 
表2

種類 月給20万円の場合の税額
所得税 3700円
住民税 1年目はなし
合計 3700円

※筆者作成
 
所得税は毎月の給与から源泉徴収され、年末調整で過不足分を調整します。
 
住民税は前年の所得に基づいて計算し、通常は2年目以降から発生する税金です。4月入社の新卒社員の場合、社会人2年目の住民税は前年4~12月の所得に基づいて計算されますが、3年目からは前年1~12月の所得に基づいて税額を決定します。社会人2年目と3年目に初任給よりも住民税が高くなるのは、このためです。
 

手取り額の計算例

表1と表2の数値を基に、手取り額を計算してみると、手取り額16万6800円となります。
 
上記より実際に受け取る金額は額面給与よりも大幅に少なくなることが分かります。
 

ボーナス時の控除もある

ボーナスについても、社会保険料と税金が控除されます。表3は、賞与40万円(社会人1年目)の場合の例です。
 
表3

項目 金額
額面 40万円
社会保険料 ▲約5万8960円
所得税 ▲約3万4820円
手取り額 約30万6220円

※筆者作成
 
なお、2年目以降に支給されるボーナスには、住民税も課税される点に留意してください。
 

社会人1年目でもできる税金対策とは?

生命保険料控除などの仕組みを活用すれば、社会人1年目でも取り組める税金対策があります。
 

生命保険料控除や医療費控除を活用

所得税や住民税は、各種控除後の課税所得金額によって決まります。生命保険料控除や医療費控除を活用すれば課税所得金額が少なくなるため、課される税金も安くなる可能性があるでしょう。

・生命保険料控除:支払った保険料が控除(最大12万円)
 
・医療費控除:支払った医療費のうち、10万円を超えた部分が控除(最大200万円)

給与所得者は、年末調整により生命保険料控除の適用を受けられます。なお、医療費控除は年末調整では申告できないので、確定申告が必要です。
 

会社の福利厚生を活用

会社の福利厚生の中には税制優遇を受けられる制度もあり、節税しながら将来の資産形成に役立ちます。
 
財形年金貯蓄や財形住宅貯蓄は、一定の元本までは利子に対して所得税が課せられません。また、確定拠出年金は掛け金を所得控除できるメリットがあります。
 

住民税のタイミングを把握

社会人1年目では住民税が発生しません。4月入社の場合、通常は社会人2年目の6月から天引きされます。住民税の支払いも考慮して、手取りの一部は貯蓄に回すことも検討してみてください。
 

手取りの仕組みを理解して将来的な生活設計に役立てよう

給与明細を正しく理解することは、社会人としての重要なスキルの一つです。手取り額をしっかりと把握すれば、将来の資金計画を立てやすくなるでしょう。さらに、年末調整や確定申告により、各種控除の適用による節税も可能です。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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