今年の新卒の給料は「25万円」とのこと。入社5年目の自分と変わらないのですが、法的に問題はないのでしょうか？ 大手企業の「引き上げ額」も確認

近年では人手不足もあって、優秀な人材確保を目的として初任給を引き上げる会社が増えており、テレビやSNS上でもいろいろな情報が出回っています。企業によっては数万円増えていることがあり、既存社員との給料の差が小さくなっているケースも少なくありません。
 
健全で安定した経営を続けるためには優秀な人材は重要で、大手企業の多くでは公式ホームページで初任給の引き上げを明言しています。しかし、初任給を増やして既存社員と給料の差をなくすことは、法律的に問題ないのでしょうか？
 
本記事では、初任給引き上げを明言した企業の紹介や、法律的に問題がないかについて解説するので、気になる人は参考にしてください。

新入社員と既存社員の給料逆転が起こる可能性も考えられる

具体的にどれくらいの給与アップをするかは企業によって違いますが、新入社員と既存社員の給料逆転が起こる場合があるかもしれません。しかし、給料逆転が起こっても、法律的には問題がない可能性が高いです。
 
新入社員のほうが給料が高い場合は、既存社員のモチベーションダウンにつながる懸念もあります。また、同水準に収まったとしても、入社してから5年間勤めてきたのに新入社員と給料が変わらないことに、不公平・不平等と感じる人がいても当然といえるのではないでしょうか。
 
企業には、全体のバランスを考えながら既存社員のベースアップ、賞与制度の見直しなどが求められます。見直しがうまくいかずに既存社員の不満がたまれば、転職による人材流出などのリスクも高くなります。
 
既存社員に対してどのような対応をするかは、それぞれの企業で違うので、まったく対応しない可能性もゼロではありません。
 
社員が安心して働き続けるためには、透明性の高い評価制度の整備や、社員全体に影響する具体的な取り組みを示すことが企業には求められます。
 
企業は、優秀な人材を確保するために初任給を引き上げますが、それに加えて現在働いている社員の定着について意識する必要があります。
 

初任給を上げた企業と金額の例

具体的な引き上げ額についてはそれぞれで異なりますが、実際に初任給を上げた企業は多くあります。
 
その中で、いくつかの企業と引き上げ額の例を、図表1にまとめました。
 
図表1

企業名	引き上げ額
大和ハウス工業株式会社	10万円（25万円→35万円）
株式会社ファーストリテイリング	3万円（30万円→33万円）
キリンホールディングス株式会社	2万8000円（24万2000円→27万円）
みずほフィナンシャルグループ	5万5000円（20万5000円→26万円）

各社HPより筆者作成
 
金額だけを見ると大和ハウス工業株式会社の引き上げ額が大きいですが、キリンホールディングス株式会社では毎年春闘によってベースアップを勝ち取っている背景もあります。このように一口に初任給が高くなっているといっても、値上がり幅などはさまざまです。
 
また、近年では多くの企業が引き上げをしており、これからも継続的に初任給が上がる可能性も考えられます。
 

まとめ

多くの企業で初任給引き上げがおこなわれており、引き上げ額次第では新入社員と既存社員との間で給料逆転が起こるケースがあるかもしれません。そうなると既存社員のモチベーションにも影響するため、企業は全体的なバランスも整えることが必要になります。
 
また、初任給が一気に上がる企業もあれば、段階的に引き上げる企業もあるので、自身の会社の募集要項などに目を通しておいたほうがいいでしょう。
 

出典

大和ハウス工業株式会社 給与水準の改定および初任給の引き上げに関するお知らせ
株式会社ファーストリテイリング 新卒採用 募集要項
キリンホールディングス株式会社 新卒採用募集要項
みずほ銀行・みずほ信託銀行 採用情報サイト 新卒採用情報
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー