テレビで「気象警報」を話している気象庁の人は「気象予報士」ですか? 年収はどれくらいなのでしょうか?
配信日: 2025.04.03

気象警報を出せるのは、気象業務法で気象庁のみと定められています。また、気象予報士は気象または地象の予想を行える有資格者を指しますが、気象庁の職員は国家公務員のため、気象予報士と気象庁の職員は異なります。
本記事では、気象予報士と気象庁の職員の違いや、気象庁で働くための流れについて解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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テレビで気象警報を話しているのは気象庁の予報官
気象業務法では、特別警報や注意報等の警報は気象庁のみが発表できると定められています。ただし、テレビで気象庁の職員である予報官が直接出演する場合もありますが、多くの場合は、民間の気象予報士が気象庁から発表された情報を解説しています。
テレビ番組での天気予報や気象庁の発表した気象警報は、気象予報士の資格があれば解説することができます。ただし、天気予報を伝える役割はアナウンサーやウェザーキャスターも担う場合があり、必ずしも気象予報士だけが担当しているわけではありません。
本章では、気象予報士と気象庁の職員である予報官の違いについて解説します。
気象予報士とは?
気象予報士とは、気象または地象(地震動や火山現象、土砂崩れは除く)の予想を行う国家資格保有者のことで、平成6年の気象業務法改正によって新たに設けられました。
気象予報士制度は、民間事業者が提供する天気予報の正確性と信頼性を高めるために導入されたもので、専門的な知識と技術を持つ人材を確保することを目的としています。
気象予報士になるには気象予報士試験に合格し、その後、気象庁長官による登録を受ける必要があります。
予報官とは?
地震や台風などの災害時に、テレビなどで気象庁の職員(予報官)が直接出演し、国民に向けて警戒情報を発信することがあります。気象庁の職員は国家公務員であり、気象庁職員になるためには総合職や一般職などの国家公務員採用試験に合格する必要があります。
また、予報官は気象庁内の専門的な役職であり、天気予報や警報・注意報の発表を含む重要な業務を担います。予報官になるためには、気象庁職員として必要な研修を受けたうえで、天気予報に関する業務の経験を積むことが求められます。
気象庁職員と気象予報士の収入は?
気象庁職員の平均給与は、人事院の「国家公務員給与等実態調査」で公開されています。「令和5年国家公務員給与等実態調査」によると、行政職俸給表(一)の平均給与月額は40万4015円でした。また、ボーナス(令和6年度:年間4.4ヶ月分)を含めた場合、平均年収は約662万円となります
対して、気象予報士は民間企業に就職することが多く、就職する企業によって収入が異なり収入には幅があります。参考までに、厚生労働省の「job tag」によると、平均年収は551万4000円です。
なお、フリーの気象予報士になれば、年収1000万円を超えるケースもありますが、このような高収入を得られるのはごく一部と考えられます。
気象庁で働きたい場合に気象予報士資格は不要
気象予報士は気象の予想を行うために必要な資格ですが、気象庁職員として働く場合には気象予報士資格を取得する必要はありません。
気象庁職員は国家公務員であり、国家公務員採用試験に合格した後、面接などを経て全国の地方気象台等に配属されます。本項では、気象庁で働くための流れと、気象予報士になるための方法を解説します。
気象庁で働くための流れ
気象庁職員は国家公務員のため、気象庁で働くためには人事院主催の国家公務員採用試験に合格する必要があります。
また、国家公務員試験の気象庁採用枠は高倍率で、狭き門となっており、しっかりと試験対策をしておく必要があります。気象庁で働くための流れは次のとおりです。
1.大学の工学部などに入学
2.国家公務員採用試験に合格
3.気象庁に配属
また、将来の幹部候補生として育成するルートとして、「気象大学校」があります。ここでは4年間専門的な知識や技術を学び、卒業後に全国各地の地方気象台や本庁へ配属されます。なお、特定の大学や学部への進学が必須ではありませんが、理工系や物理・化学系など関連分野が有利とされています。
気象予報士になるためには
気象予報士になるには、国家試験である「気象予報士試験」に合格する必要があります。
大学で気象学を学ぶことが試験合格の近道ですが、気象予報士試験に学歴の要件はありません。上述のとおり理工系や物理・化学系など関連分野が有利とされていますが、一般の大学や短大、専門学校卒でも独学や通信講座で学んで資格取得を目指す人も多くいます。
また、他業種に就職した後に勉強をして、気象予報士試験の合格を目指す方も少なくありません。
TVで警報の発表しているのは気象予報官、気象庁で働くのに気象予報士資格は不要
気象予報士と予報官は、似たような名前ですが職務内容などが異なります。気象予報士は天気予報業務を行うために必要な国家資格を持つ専門家であり、気象庁の予報官は国家公務員として気象データの解析や警報・注意報の発表などを担当する専門職です。
気象庁で働くために気象予報士資格は不要ですが、難関の国家公務員採用試験に合格する必要があります。ただし、気象庁の採用枠は国家公務員採用試験のなかでも高倍率のため、狭き門といってよいでしょう。
また、気象予報士の合格率も5%前後と合格するには超難関な試験といわれています。気象庁職員として働く、民間企業で気象予報士として働くには、どちらも狭き門なので本気で職に就きたいと考える場合は、しっかりと準備をしましょう。
出典
デジタル庁 e-GOV 法令検索 気象業務法
気象庁 気象庁の仕事について
気象庁 気象予報士について
北海道幌延町 気象予報士と予報官
人事院給与局 令和5年 国家公務員 給与等実態調査 報告書
厚生労働省 jobtag 気象予報士
気象庁 気象大学校
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