2020年代のうちに最低賃金「1500円」を目標にしていると聞きました。現在九州地方の最低賃金は1000円未満ですが本当に可能なのでしょうか?

配信日: 2025.04.06

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2020年代のうちに最低賃金「1500円」を目標にしていると聞きました。現在九州地方の最低賃金は1000円未満ですが本当に可能なのでしょうか?
最低賃金1500円時代は、本当に実現するのでしょうか? 政府は2020年代のうちに1500円へと引き上げる方針を示しました。これが実現すれば、生活はどう変わるのか? 企業への影響は? そして、本当に可能なのか?
 
本記事では、九州地方の現状を踏まえながら、この問題を深掘りしていきます。
FINANCIAL FIELD編集部

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九州地方の最低賃金の現状

九州地方の最低賃金は、全国平均と比較して低い水準にあります。令和6年度の九州地方の各県における最低賃金は以下のとおりです。
 
表1

県名 最低賃金
福岡県 992円
佐賀県 956円
長崎県 953円
熊本県 952円
大分県 954円
宮崎県 952円
鹿児島県 953円
沖縄県 952円

出典:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」を基に筆者作成
 
その他の地域については、例えば大阪は1114円、愛知は1077円、東京は1163円となっています。全国平均は1055円であり、九州地方はこれを大きく下回っています。
 
特に、熊本県・宮崎県・沖縄県の最低賃金は952円と九州で最も低い水準であり、全国でも2番目に低い金額です。一方で、熊本県の物価水準は九州8県中3番目に高いとされており、最低賃金と物価のバランスに課題があると指摘されています。
 

最低賃金1500円の目標とその影響

政府は当初、最低賃金1500円の目標を2030年代半ばとしていましたが、石破政権はこれを2020年代に前倒しする方針を示しています。 この目標を達成するためには、2025年度から2029年度にかけて、年平均7.3%の引き上げが必要です。
 
しかし、最低賃金の急速な引き上げは、中小企業への負担増加や雇用環境の悪化を招く可能性が指摘されています。 日本商工会議所の調査によると、地方の小規模企業の約25%が「対応は不可能」と回答しており、休廃業を検討する企業も多く存在します。
 

最低賃金引き上げに向けた課題と対策

最低賃金を1500円に引き上げることは、労働者の生活向上につながる一方で、企業経営や雇用環境にさまざまな課題をもたらす可能性があります。

●中小企業への経済的負担
●雇用調整のリスク
●地域間格差の拡大

最低賃金の大幅な引き上げは、特に中小企業にとって人件費の負担を増大させ、経営を圧迫するかもしれません。実際に、約5割の企業が最低賃金1500円への対応は困難だと回答しています。人件費の増加が経営を圧迫し、最悪の場合、倒産リスクを高める可能性もあります。
 
また、企業が人件費増加に対応するため、労働時間の削減や新規雇用の抑制を行うこともあるでしょう。その結果、労働者の収入減少や雇用の不安定化も懸念されます。
 
さらに、最低賃金の全国一律引き上げは、地域の経済状況や物価水準を十分に考慮しないため、特に地方の中小企業にとって過度な負担となり、地域間格差を拡大させるおそれがあります。
 

まとめ

最低賃金1500円の目標は、労働者の生活向上につながる一方で、企業への影響も大きいことが懸念されています。特に、九州地方のように現在の最低賃金が低い地域では、企業の経営環境や雇用情勢に与える影響を慎重に検討し、適切な支援策を講じることが求められるでしょう。
 

出典

厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧
日本商工会議所 「中小企業における最低賃金の影響に関する調査」の集計結果について~新たな政府目標に対し、地方・小規模企業の4社に1社が「対応不可能」、2025年度より7.3%引上げとなれば、地方・小規模企業の2割が「休廃業を検討」~
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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