日本で「年収2500万円」以上の人は、全体の「0.3%」!? それだけ稼いでも、将来の年金は「年収1080万円」の人と変わらないの? 受給金額をシミュレーション
配信日: 2025.04.06 更新日: 2025.04.07


執筆者:福嶋淳裕(ふくしま あつひろ)
日本証券アナリスト協会認定アナリスト CMA、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本商工会議所認定 1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
リタイアメントプランニング、老後資金形成を得意分野として活動中の独立系FPです。東証一部上場企業にて、企業年金基金、ライフプランセミナー、DC継続教育の実務経験もあります。
年間給与額2500万円超の人は約16万人、全体の0.3%
国税庁は毎年「民間給与実態統計調査」を行い、結果を公表しています。この中で、給与所得者の年間給与額をグループ分けし、その人数と割合を集計しています。令和5年分の男女計のデータは以下のとおりでした。
これによれば、民間給与所得者5076万1000人のうち、年間給与額2500万円超の人は約16万人いて、全体の0.3%を占めているとのことです。
●年間給与額2500万円超 16万2000人 0.3%
●2000万円超2500万円以下 14万3000人 0.3%
●1500万円超2000万円以下 45万1000人 0.9%
●1000万円超1500万円以下 203万5000人 4.0%
●1000万円以下 4797万人 94.5%
年間給与額2500万円の人の年金額は?
年間給与額2500万円の人の年金額について考えてみます。仮に「年間給与額2500万円」を20歳から40年間キープできたとすると、将来受け取る年金額はいくらくらいになるでしょうか?
単純化のため、老齢基礎年金も老齢厚生年金も65歳に受給開始するものとし、加給年金などの上乗せ給付や、65歳以降に働く場合の年金額調整などの要素は加味せずに概算します。なお、老齢基礎年金は、2025年度の満額と同水準の83万2000円程度と想定します。
老齢厚生年金は、毎月の給料と賞与の額によって変わるため、以下の3パターンでシミュレーションしてみましょう。いずれも2003年4月以降、40年間働いた場合と仮定します。
A:「月給20万円+夏季賞与1130万円+冬季賞与1130万円=年間2500万円」
B:「月給200万円+夏季賞与50万円+冬季賞与50万円=年間2500万円」
C:「月給100万円+夏季賞与650万円+冬季賞与650万円=年間2500万円」
パターンA(月給20万円+賞与1130万円×年2回)
老齢厚生年金=(年金計算上の月給20万円×年12回+年金計算上の賞与150万円[注1]×年2回)×5.481÷1000×勤続40年=約118万4000円
注1 年金計算上の賞与(標準賞与額)は150万円が上限です。このため、年金計算上の年収は540万円となり、将来受け取る年金額は年収540万円で40年働く会社員とおおむね同額となります。
将来受け取る年金額の目安は、老齢厚生年金118万4000円程度+老齢基礎年金83万2000円程度=201万6000円程度となります。
パターンB(月給200万円+賞与50万円×年2回)
老齢厚生年金=(年金計算上の月給65万円[注2]×年12回+年金計算上の賞与50万円×年2回)×5.481÷1000×勤続40年=約192万9000円
注2 年金計算上の月給(標準報酬月額)は65万円が上限です。このため、年金計算上の年収は880万円となり、将来受け取る年金額は年収880万円で40年働く会社員とおおむね同額となります。
将来受け取る年金額の目安は、老齢厚生年金192万9000円程度+老齢基礎年金83万2000円程度=276万1000円程度です。なお、標準報酬月額の上限引き上げが今国会で議論される見込みです。
パターンC(月給100万円+賞与650万円×年2回)
老齢厚生年金=(年金計算上の月給65万円×年12回+年金計算上の賞与150万円×年2回)×5.481÷1000×勤続40年=約236万8000円
年金計算上の月給(標準報酬月額)も賞与(標準賞与額)も上限で計算されます。このため、年金計算上の年収は1080万円となり、将来受け取る年金額は年収1080万円で40年働く会社員とおおむね同額となります。
将来受け取る年金額の目安は、老齢厚生年金236万8000円程度+老齢基礎年金83万2000円程度=320万円程度となります。
まとめ
将来受け取る年金の格差が大きくなり過ぎないよう、厚生年金保険料や老齢厚生年金の計算に使われる月給と賞与の額(標準報酬月額、標準賞与額)にはそれぞれ上限があります。
上限に近づいた人や上限を超えている人は「上限を超えた分は支払う保険料に影響しない代わりに、受け取る年金にも反映されない」ことを知っておきましょう。また、標準報酬月額の上限引き上げに関するニュースにも注意が必要です。
出典
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
厚生労働省 令和7年度の年金額改定について
日本年金機構 厚生年金保険料額表
執筆者:福嶋淳裕
日本証券アナリスト協会認定アナリスト CMA、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本商工会議所認定 1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)