日本の平均年収は「ほぼ横ばい」になっている? 30年前と比較しても同じくらいの年収なの?

配信日: 2025.04.25 更新日: 2025.10.21
この記事は約 4 分で読めます。
日本の平均年収は「ほぼ横ばい」になっている? 30年前と比較しても同じくらいの年収なの?
賃上げが注目されるなか、日本の平均年収が気になる人も多いのではないでしょうか。日本の平均年収は、物価上昇にもかかわらず約30年間「ほぼ横ばい」で、むしろ低下傾向にありました。
 
本記事では、日本の平均年収が30年前からどのように推移してきたか解説します。物価や社会環境への影響にも触れるので、ぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

日本の平均年収はどのように推移しているのか

厚生労働省の「令和2年版厚生労働白書」より過去のデータを参照すると、日本の平均年収は1990年代にピークを迎えた後、ほぼ横ばいで推移しています。
 
同資料を基に、1990年から2018年までの平均年収の推移を表1にまとめました。
 
表1

1990年 463万7000円
1991年 471万1000円
1992年 472万5000円
1993年 464万3000円
1994年 465万3000円
1995年 468万4000円
1996年 472万1000円
1997年 471万1000円
1998年 465万3000円
1999年 463万6000円
2000年 467万5000円
2001年 464万7000円
2002年 463万6000円
2003年 461万円
2004年 455万7000円
2005年 455万5000円
2006年 452万1000円
2007年 454万円
2008年 439万3000円
2009年 421万1000円
2010年 431万円
2011年 428万7000円
2012年 427万7000円
2013年 431万7000円
2014年 419万2000円
2015年 420万4000円
2016年 422万円
2017年 430万円
2018年 433万3000円

出典:厚生労働省「令和2年版厚生労働白書 図表1-8-2 平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)」を基に筆者作成
 
平均年収は、1990年の時点で約464万円、1991年・1992年・1996年・1997年は470万円を上回り、その後は465万円から420万円の間で停滞する傾向にあるようです。
 

2023年度(令和5年度)の平均年収

国税庁長官官房企画課の「令和5年分民間給与実態統計調査」のデータによると、2023年(令和5年)における日本の平均年収は460万円です。この数値は、前述の厚生労働省のデータとは異なり消費者物価指数で補正されていないものとなりますが、30年前とほとんど変わっていないことが分かります。
 

賃上げが必要な理由

日本の平均年収は30年間ほとんど変化していないことが、近年の物価高騰により問題視される契機となったようです。物価が上昇しているにもかかわらず、給与が上がらないままでは、収入に対する支出の比率が高くなり、消費を圧迫します。
 
内閣官房内閣広報室によれば、2021年10月、日本政府は「賃上げ、価格転嫁対策」を打ち出し、人件費などのコスト削減から「人への投資」への方針を表明しました。
 
日本政府は、賃金の上昇・購買力の上昇・適度な物価上昇は相互関係にあり、これが賃金と成長の好循環となると観測しています。賃金の上昇が経済において良い循環をもたらす可能性があることから「人への投資」が重要であるという考え方です。
 

物価と賃金の関係

物価が上がり給与は上がらなかった場合に、何が問題となるのでしょうか。最も分かりやすい例は、エンゲル係数の拡大です。エンゲル係数とは、家計の消費支出に占める食費の割合を示し、数値が高いほど家計にゆとりがなく、生活水準が低下していることを意味します。
 
近年の物価高騰を受け、エンゲル係数は高水準の傾向となっており、物価の上昇に賃上げが追い付かなければ、生活に困窮する人は増える可能性があるでしょう。
 

社会環境と賃金の関係

賃上げが実現して年収が増えると、労働環境や社会環境に多くのメリットをもたらすと考えられます。
 
厚生労働省によると、賃上げは雇用機会の促進や生産性の向上を促し、企業・労働者ともに好影響を与えるとの見解です。また、労働者のモチベーションを高めて自己啓発に導くことで、個人の主観的な幸福度を高める効果も期待されています。
 

日本の平均年収は「ほぼ横ばい」で推移しており、30年前とほとんど変わらない

日本の平均年収は30年前とほぼ変わらない状況にあることが分かりました。
 
近年進む賃上げの流れによって、雇用側も雇用される側も、労働対価向上への意識を高めていくことに期待されるでしょう。
 

出典

厚生労働省 令和2年版 厚生労働白書 令和2年版 厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える- 本文掲載図表(一覧/バックデータ) 図表1-8-2 平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)
厚生労働省 令和5年版 労働経済の分析 -持続的な賃上げに向けて- 第2章 賃金引上げによる経済等への効果
国税庁長官官房企画課 令和5年分民間給与実態統計調査 -調査結果報告- II 1年を通じて勤務した給与所得者 2 平均給与(14ページ)
内閣官房内閣広報室 首相官邸 物価高を上回る所得増へ
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問