中小企業で6%以上の「賃上げ率」が期待されているそうですが、中小企業ってそんなに平均年収が低いのでしょうか…?
この記事では、大企業と中小企業の賃金差を紹介しながら、これからの賃上げの可能性を考えていきます。
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中小企業に6%以上の賃上げが求められる背景とは?
2025年の春闘において、日本労働組合総連合会(連合)は、全体で5%以上、中小企業では6%以上の賃上げを目標と掲げました。
その狙いは、物価高・実質賃金の縮小への対策だけでなく、今後の日本経済を支える消費の底上げにあります。実際、厚生労働省によると2024年の実質賃金は前年比でマイナス幅が縮小しており、国民の生活防衛に向けて賃上げが急務です。
しかし、株式会社東京商工リサーチの「2025年2月『賃上げ』に関するアンケート調査」によると、2025年度に「賃上げを予定する企業」は全体で約85%に達したものの、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業はわずか9.1%にとどまっています。目標は掲げられたものの、現場の難易度は非常に高い状況です。
中小企業と大企業の平均賃金の差は?
厚生労働省の「令和6年 賃金構造基本統計調査」によると、企業規模別の平均賃金に明確な差があることが分かります。
表1
| 大企業 (常用労働者1000人以上) |
中企業 (常用労働者100~999人) |
小企業 (常用労働者10~99人) |
|
|---|---|---|---|
| 男女計 | 36万4500円 | 32万3100円 | 29万9300円 |
| 男性 | 40万3400円 | 35万5600円 | 32万4500円 |
| 女性 | 29万6600円 | 27万1300円 | 25万5500円 |
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」を基に筆者作成
中小企業の賃金は、大企業と比べて月額で4万円~6万円以上の差があり、年換算で約78万円もの差が生じています。
中小企業が高い賃上げを実現するために必要な条件は?
(1)価格転嫁の実践
前述の株式会社東京商工リサーチの調査では、賃上げを見送りとした中小企業の約49.6%が「原材料価格・電気代・燃料費などの高騰」、約48.5%が「コスト増加分を十分に価格転嫁できていない」ことを理由に挙げています。つまり、売価へ反映できなければ、経費の増加には耐えられません。
(2)助成金・補助金の活用
政府や自治体によっては、企業に対して補助・助成の拡充を展開しています。これを活用すれば、一部の賃上げコストを軽減できるでしょう。
(3)業績改善と生産性強化
専門家による業務効率化支援やIT導入補助金などを活用することで、従業員1人当たりの生産性を向上させれば、余剰を賃上げに振り向けやすくなるかもしれません。
(4)業界全体における合意形成
価格転嫁は取引先側の理解も必要です。業界全体で賃上げを共有するスキームをつくることで、負担分を分散・納得させられる可能性があります。
まとめ
中小企業にとって「6%以上の賃上げ」は高いハードルであり、価格転嫁や生産性の向上など、多くの課題を抱えています。統計からも明らかなように、大企業との賃金格差は依然として大きく、その差を埋めるには努力だけでなく、構造的な支援や取引環境の改善が欠かせません。
持続的な成長と人材確保のためにも、賃上げに向けた前向きな取り組みを着実に進めることが重要です。
出典
株式会社東京商工リサーチ 中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」は企業の85%が予定
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況(4)企業規模別にみた賃金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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